最近の高校生はどうも過激らしい

「じゃあスマホ貸して?」


「いやいやなんで?」


初対面であんなこと言った相手にはい、どうぞとスマホを渡すバカがいて溜まるか。


「いや、連絡先わかんないと不便でしょ?まぁ困るのははるはるだけど。」


「は、はるはる?」


「え、あだ名だよ。晴也だからはるはる」


おい、陽キャはこんなにも簡単に距離を詰めてくるのか?

俺には無理だぞ。この空気がまず無理だ。


「は、はぁ?まぁいいけどなんでも。」


受け入れるしかないじゃんこんなもん。


「じゃあこれで追加しといたからっまた明日ね。」


素早い指さばきで俺のスマホに連絡先を登録し可愛らしいくまのスタンプが送られてくる。


手つきがもう慣れてる人なのよ。

俺はトーク画面を眺めることしかできなかった。


「おい、そこで何をしている。今日から工事だと連絡されたはずだが。」


声がする方向を見るとそこには作業服を着たいかにも工事現場で働いている人がいた。


「す、すみません!」


俺は逃げるようにはしごを降りる。

葛原さん俺の事身代わりにしやがったなこの野郎。

次会った時は覚えとけよ…


俺はそのまま3階渡り廊下を走り抜け、階段を降りる。このまま帰路に着く…はずだった。


「ちょっと、落合晴也さん。止まってください。」


「え、?なんですか?」


綺麗な声の主を見ようと声をかけられた方を振り向くとそこには委員長の姿があった。


「えっと、委員長、どうかしたの?」


委員長こと国木田さんはそんな俺の投げかけを無視して俺の方へと近づいてくる。

今日はどうしたんだよ俺。


「単刀直入に言います。昨日、駅で私の事見ましたよね?」


「い、いや見てないよ。」


俺はもう面倒事には関わりたくない。ここは逃げさせてもらうぞ。


「どうして少し言うのを戸惑っているのですか?嘘をついていると認めているようなものですよ?」


ず、図星…だと…

もしかして俺って嘘下手なのか。


「見たんですよね?」


「見ました…」


委員長の強気な姿勢にコミュ障の陰キャが勝てる訳もなくあっさり自白してしまった。

俺会話できないのかな。自信なくしちゃうよ。


「昨日見た事は、忘れてください。誰にも言わないでください。いいですね?」


「えっと、彼氏といることの何が問題でも?まぁああいういかがわしい場所だと見られて恥ずかしいかもだけど。」


「あの人は別に彼氏じゃないです。とにかく忘れてください。」


え、彼氏じゃない?じゃあ一体誰だ。


「私、弟たちの迎えがあるので失礼します。約束は守ってくださいね。」


そう言い残し先に階段を下っていく委員長。

なんだったんだ、これ。


俺の今日の情報量は日々少ない脳内容量で過ごしている俺にとってはキャパオーバーだった。


それにしても女子高生ってこんなに簡単にグイグイ来れるものなのだろうか。あの二人がおかしいだけか?

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