第5話 クリーチャー降臨!

「ここがあのクソ上司のハウスね」

「は、ハウス? えっと会社です……」


 なにその台詞、どこがで聞いた事あるんだが……。

まあいいか、今は上司の観察が先だ。


 地上4階建のビルの3階。

そこそこ広い空間にデスクが10個。


 窓は入り口向かいしかなく、その窓の側には上司のデスクが置かれている。


 配置的に社員の目線が上司に集まるようになっており、上司と部下双方に解放感が一切感じられないのは意図的なものなのだろうか。


 サナとシミズさんはそのまま壁を、俺は幽体化スプレーですり抜ける事で、上司を間近に観察する。


 勿論俺達が突然現れた事を、上司も、そして周りの人間も気づく様子はない。


「しっかし夜遅くまで精が出るな」


 今の時刻は20時。

社会人の大半は帰宅をしているか、もしくは帰宅の準備を始める時間帯だろうに。


 そんな時刻にも関わらず、上司と周りの人間はせっせと仕事をしている。


 いや、正確には上司はただいるだけで周りの人間のみが仕事をしている、だな。


「なにアイツ! こっそりとゲームしてるじゃない!」

「昔からあんな感じでして……で、気が向くと――」


 サナの酷評にシミズさんが補足をしようとすると、会話を遮るかのように上司は席を立った。


 そして――


「こんのノロマ野郎!」

「ヒッ!」

「いつまでこの仕事に時間をかけてるんだ!」

「し、しかし部長……こんなの1日で終わりませんよ……」

「うるさい! それを終わらせるのがお前の仕事だろう! 口答えするな!」


 うわぁ。

なんというか、感心するほど典型的なクソ上司だな。


 一周回って変な安心感すら感じてしまう。

だがそんな呑気な俺の感想とは裏腹に、サナは上司にご立腹なようだ。


「何よアイツ! ゲームしてる時間があるならその仕事を手伝いなさいよ! 偉そうにしてムカつくわ!」


 そして怒りは言葉だけでは治らないのか、ガルルと犬の威嚇のように歯を剥き出しにすると、今にも噛みつきそうなほど殺意のこもった目で上司を睨みつけていた。


「まてまて落ち着けサナ。怒っても仕方ないだろ」

「何よ! コウはアイツの味方なの!?」

「そんなわけ無いだろ。だけど今怒りを撒き散らした所で話は進まない。まずはあの上司を更正させる方法を考えよう」

「更正? 生ぬるいわよ! こうしてやる!」


 サナはそういうと預けておいた現世転生の輪をサッと耳につけ、思いっきり殴りかかった。


 ……え? 殴りかかった……?


 まって、なんで殴ってんの!?


「痛っ!? だ、誰だ! って、女子高生!?」

「ちょ、おまっ!?」


 行動力の化身が過ぎる!!


俺もすぐに受肉し、サナを一発殴りつけて無理やり現世転生の輪を取り上げた。


「何すんのよ!? 返してよ!!」

「返してよ! じゃねーよ馬鹿野郎! 何考えてるんだ本当に!」

「バカは何したって治らないのよ! だったら殴って解決するのが1番でしょ!」

「お前の記憶は筋肉にでも吸われたのか!? なんでそうなるんだよ!」


 幸い上司には怪我は無いようだが危なかった……。


 基本的に死者が現世の人間に危害を加える事はご法度だ。


 しかもその危害の原因が案内人の仕事道具となれば始末書どころでは済まないだろう。


 危ない危ない……。

危うくこの脳筋女のせいで俺の首が比喩的にも物理的にも飛ぶ所だった。


「カンザキさん? どうしたんですか急に騒いで……」

「お、俺は騒いでない! クソ、なんか頭がいてぇ……」

「いや女子高生って……」

「何馬鹿な事言ってやがる! いいから仕事に戻れ!」


 うわぁ……現世転生の輪の悪い所が思いっきり出てる……。


 本人はアレで誤魔化しているつもりだろうが、周りはしっかりとあのカンザキとかいう男が、女子高生!? と騒ぎ出した所を見ている。


 しかもタチが悪い事に、本人含め今いる全員は原因がサナとは分からない。


 やばいな、社会的な意味で危害を加えてしまった……。


「ふん! ざまぁ無いわね!」

「あのなぁサナ。お前の気はそれで晴れるかも知れないが、殴った所で更正させるっていう問題は解決してないだろ?」

「そうだけど……」

「とりあえずサナはそこで頭を冷やしてろ。俺に考えがある」


 ったく、元気があるのは良い事だがあり過ぎるのも問題だな……。


 いやもう生きてないのだから元気も何もないか。


 っと、変な事を考えている暇は無いな。

俺がさっさと解決しないと次は何されるか分かったもんじゃない。


「それでコウさん、考えっていうのは何ですか?」


 俺が呆れてため息をついていると、シミズさんは不思議そうに質問をした。


 おっと、これはシミズさんの未練の解決だからな。

説明は真っ先にしなければ。


「これから人払いをします。そしたら次はあなたが動く番です」

「へ?」


 シミズさんが俺の言葉を理解する前に、俺は空間転移術である仕事道具を取り出す。


 こういうのは勢いが大事だ。


「まあ見ててください。サナもみてろ!」

「ガルル……え、あっはーい!」


 頭を冷やせと言ったにも関わらず、性懲りも無く威嚇を続けるサナの目線を、俺は自分に向けさせる。


 そして仕事道具、人払いの鐘を鳴らした。


『ゴーン……ゴーン……』


 重低音の音色が響くと、上司以外の人間が一斉に席を立つ。


 そしてそれぞれがトイレや喫煙室、外のコンビニへと向かっていった。


「な、なんだ? お、お前達どこに行く!?」


 この仕事道具は任意の人間を、現実界に影響がない程度に移動させる効果を持つ。


 だが操るのではなく、あくまで自分自身の意志で移動をさせるため、移動する理由がないと効果を発揮しない。


 今回は会社という事もあり、皆は小休憩を理由に移動を行ったようだ。


「す、すごい。クソ上司以外居なくなっちゃったよ!」


 そして任意の人間を動かす道具のため、動かしたくない人間を指定する事も可能だ。


 今回は当然、未練の対象である上司には効果を発動させていない。


「さて、人払いは済みました。ただ効果は一時的です。なのでこの間にシミズさん、あなたの未練を果たしましょう」


 俺はその言葉と同時に現世転生の輪を差し出す。

 

 だがシミズさんはそれを受け取ろうとはしなかった。


「ぼ、僕に何をしろというんですか? どうやって上司を更正させろと……」

「説得でも驚かすでもなんでも大丈夫です。あ、暴力はダメですけど」

「で、でも……」


 しかし説明が不足しすぎたか。

シミズさんは中々受け取ろうとはしない。


 こういうのは勢いというか、ノリが大事だったりするから敢えて説明を省いたのだが、思いっきり裏目に出てしまった。


「シミズさん! やるって決めたんじゃないんですか!?」


 人払いの鐘の効果はあくまで一時的。

あと少しすればトイレから人が戻るだろう。


 そうなれば現世転生の輪は使えない。


 人払いの鐘もあくまで自分自身の意志で移動をさせる道具だ。

一度使ってしまうと対象が新たに動く理由を見つけない限り同じ事は出来ない。


「シミズさん!」

「う、うぅ……」


 さっきまで外から聞こえなかった話し声も、微かに耳に届くようになってきている。


 まずいな、一部の人達は戻ってきているようだ。


 刻一刻とタイムリミットが近づいている事実に、痺れを切らし声を荒げてしまう。


 くそ、この作戦は強引すぎたか……。


 俺が作戦の失敗を覚悟したその時――


 同じく痺れを切らした者が手を差し伸べてくれた。


 いや、差し伸べてきやがった。


「あなたがやらないなら私がやる!」

「あ、お前また!!」


 しまった。完全に油断していた。

サナの声と共に俺の掌から現世転生の輪が消える。


 そして同時にサナが受肉した。


「な、なんだお前!? どこから入ってきた!」

「そんなの……関係ないでしょ?」

「ヒッ!」


 サナは俺すらも震え上がるほどに殺意のこもった声でそういうと、ゆらゆらと体を揺らし近づいていく。


「ユルサナイ……」

「ヒイッ! お、俺がお前に何をしたっていうんだ!?」

「ウウゥ……ユルサナイ……」

「ま、まさかお前、サトウの娘か!?」

「ウウゥ……コロシテヤル!!」


 おおう、ここに来て全く関係のない人の名前が出てきたな。


 どうやらあの上司はシミズさん以外も退職に追い込んだようだ。

 

 しかも娘がいると言うのを知った上で退職に追い込んでいるとは、救いようのないクズだな。


「ま、待ってくれ! 頼む!」

「ウウゥ……」


 サナは長い髪の毛を揺らし、一歩一歩近づいていく。


 黒髪ロングなのが不審者の雰囲気をだしており、めちゃくちゃに怖い。


「くそ、サナのやつ、また勝手に動きやがって……まあ、だけど……」


 今回のはお手柄と言わざるを得ないな。

サナのおかげで未練解決の糸口が生まれた。


「シミズさん。今です。サナを見てください」


 俺はサナを指差し、目の前の事象にビビっているシミズさんへ声をかける。


「彼女と同じようにシミズさんも自由でいいんですよ」

「で、でも……」

「あなたはもう死んでいる。しがらみなんてありません。それとも――」


 俺はそこで言葉を切り、もう一つの現世転生の輪を差し出す。


「それとも、あなたと同じような人間を生み出す事を、良しとするんですか?」

「それは……」


 シミズさんは一言俺の目をみて呟くと、目線を俺の掌へと移す。


 そしてやっと、力強く現世転生の輪を握りしめてくれた。


「……そんなのは嫌です! 僕、やります!」


 シミズさんは俺の問いに力強く答え、すぐさま受肉してサナの横へと向かう。


「ひっ、ひぃ! 今度は誰だ!?」

「おいクソ上司! ぼ、僕を覚えてないのか!」

「今度は誰だよぉぉ!」


 上司はすっかりと怯え切ってしまったらしい。


 顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにし、机の足をがっしりとつかみガクブルと震えている。


 発せられる声も、もはや成人男性のような声ではなく母親が居ないことに怯える子供のような声だった。


「お前のせいで人生台無しにされたシミズだ! 覚えてないとは言わせないぞ!」

「シ、シミズ……?」


 ……はぁ、まさかここまでクズだとはな。


 退職にまで追い込んだシミズさんを、本気で覚えていないようだ。


 おそらくサトウさんとやらはここ最近で仕事を辞めたから覚えていたのだろう。


 いっそ、清々しいな。


「……っ! くそっ! いいか! 今度ひどい理不尽を部下にしてみろ! どこにいても追い詰めて、こ、殺してやるからな!!」

「ヒッ」

「ウウゥ……ワタシモコロシテヤルッ!!」

「ヒッヒィィィィィ! すみませんでしたぁぁぁぁ、もう2度としませぇぇぇぇぇん!」


 シミズさんはともかく、サナはもう悪霊どころかクリーチャーだな……。


 俺はどうしようもない上司のズボンから、暖かい湯気と大きなシミが現れたのを確認した所で2人を回収し撤退をした。



♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎



 それから次の日、俺はあの上司の様子を確認するため、サナと2人で会社に向かっていた。


「ねぇ、あれからシミズさんは成仏してくれたけど、本当によかったの?」

「良かったのって何が?」


 昨日、上司を懲らしめたシミズさんは満足したのか成仏し魂となった。


 上司の記憶にはシミズさんの事は無かったが、未練は解決したのだろう。

シミズさんは魂となる最期の時まで、満足げに笑っていた。


 だが、それでもサナは納得がいっていないらしい。


「何がって、記憶よ。私達がどんなに頑張っても現世転生の輪……? を外すと記憶が無くなっちゃうんでしょ」

「ああ、その事か」

「そ、その事って……もしあのクソ上司が性懲りも無くハラスメントを続けてたら、シミズさんの行動に意味が無くなっちゃうじゃない!」


 サナは心底心配なのか、不安そうな顔で俺を見つめる。


「サナ、意味がないなんて事はないよ。実際シミズさんは成仏できたじゃないか」

「それは……そうだけど……」


 そう答えるサナだが、まだ納得はいってないようだ。

今度は不満そうな顔をして口を閉じる。


 まあ言いたい事は分かる。

もし改心せずにまだハラスメントを続けているようであれば、シミズさんの勇気に意味は無かったという事になるからな。


 だけどサナ。

この世に意味がない行動なんて1つもないんだ。


 俺はその事を証明するためにも、足早に会社へと向かった。


「お前達! 今まで本当に申し訳なかった!!」

「えっ!? なんで!?」


 サナはあの上司が皆の前で頭を下げていることに驚愕し驚きの声を上げる。


「なっ、意味があっただろ?」

「た、確かに変わったけど……どうして? 記憶がなくなるんじゃないの?」


 サナは不思議そうな顔で俺を見つめてくる。


 昨日のクリーチャーと同一人物とは信じられないほどの豹変さだ。


「はははっ」

「ちょ、何笑ってるの! 私は真剣に……!」

「ごめんごめん、そうだな、答えはあれだよ」


 俺は上司の震えている体を指差す。

そして今なお不思議そうな顔をしているサナに説明を続けた。


「確かに記憶には残っていないだろうさ、シミズさんもクリー……じゃないサナの事も」

「え、栗……なんて?」

「ごほんっ! えっと、まあ纏めるとだな! お前が相当怖かったんだろうな、記憶には残ってなくても体が覚えているんだよ」


 俺は口が滑った事を全力で誤魔化し、半ば無理やりに説明を続ける。


 幸いクリー……じゃないサナはあまり気にしてないようで、それ以上突っ込む事は無かった。


「ほら、シミズさんもサナも言ってただろ? 殺してやるって」

「う、うん」

「おそらくそれが原因だな。言葉自体の記憶は無くともハラスメントを続けると殺されるっていう恐怖が体に刻まれたようだ」

「え、じゃあっ!」

「ああ、今後被害者は生まれないだろうし、あの上司にも今後何かしらの制裁はあるだろう。シミズさんの死もきっと何かしらの形で報われると思う」


 正直、かなりゴリ押しな更正の仕方だ。

見方によっては精神的な危害を与えた、と判断される場合があるかもしれない。


 だがまぁ、それならそれでいいさ。

始末書を書くのには慣れているからな。


 何枚だって書いてやるさ。

俺は悪い事をして無い……ってな。


「良かったぁぁぁ……」

「そうだな、本当に良かった」


 俺は透き通る空を見つめ、サナの安堵の言葉に少し笑って返した。


「……」

「ん? どうしたサナ」


 俺の言葉に何がおかしな所があったのだろうか。

サナは少し笑って答えた俺を、じっと見つめている。


「ねぇ、ずっと聞きたかったんだけど」

「……ん?」

「どうして強制成仏のお札があるのに、未練の解決を手伝うの?」


 サナは少し前まで、にやけていた安堵の顔を隠し真面目な表情で俺に質問をする。


「私の時は未練も聞かずに成仏しようとしてたのに、それがずっと引っかかってて」

「あーそうだな……」


 俺はサナと初めて会った時を振り返る。

あの時俺がサナを強制成仏させようとした理由はとても単純な理由だ。


 本人が転生……というか異世界転生を心の底から望んでいたからだ。


 ならば前世の未練を無理やり聞き出すよりも、未来の希望に応えてやるのが優しさってものだろう。


 だがシミズさんは違う。

あの時はシミズさんは――


『クソつまらない人生から今すぐにでも、おさらばしたいんです』


 そう答えていた。


「もしあの場で俺がシミズさんを成仏してたらどうなってだと思う?」

「どうなってたって……うーん……」

「俺は、それこそシミズさんの人生が無意味なものになってたと思うんだ」


 あの時のシミズさんは転生をしたいのではなく、すぐにでも消えたい思っていた。


 そんな彼の願いを手伝ってしまったらシミズさんの人生は、本当にクソつまらないものとなっていただろう。


「そんなのは悲しすぎるじゃないか。それに――」


 ここから先は俺の本当の思いだ。


 まじめに答えるのが少し恥ずかしいので、一度言葉を区切り視線をサナから空に戻す。

 

「報われない最後じゃ誰だって嫌だろ?」 

「うん……そうだね、確かに!!」

「……」


 あれ……?

サナも笑ってるし、ここは笑う雰囲気だろ。


 なんで俺、笑えていないんだ?


 まだ……俺はあの時の事を引きずってるのか……?


「ん? コウ、どうしたの?」


 サナは首を小さく傾げる。

長く綺麗な黒髪がさらりと垂れる。


 そしてその髪に重なった唇が、次の質問をしようと開いた時、俺は意図的に会話を断ち切った。


「ま、そんな事より……頑張ってくれたお礼だ。パンケーキでも食いに行こう」

「え! いいの!? やったー!」


 どうやら俺への興味はパンケーキ以下らしい。

それはそれで思う所はあるが……まあ今回は良しとするか。


「私、3段重なったパンケーキが食べたい!」

「はいはい」

「アイスもトッピングね!」

「はいはい」

「あと食べ終わった後はホストでドンペリシャンパンタワー!」

「はいは……ってそれはいいわけないだろ!! パンケーキ無しにするぞ!」

「うそうそ、調子に乗りました、ごめんなさーい!」


 やれやれ、普段と真面目な時の落差がジェットコースターみたいなやつだな。


 まあでも、楽しいやつだ。

きっと今の俺みたいに誰かを明るくしていたのだろう。


 きっと前世は良き友に囲まれた素晴らしい人生だったに違いない。


 ……だがこんな彼女の生前にも強い未練があったんだよな。


 一体どんな未練なのだろうか。


「何してんのー? 置いてくよー! はーやーくー!」

「置いてってもいいが、俺無しじゃどうにもできないだろ?」

「へへーん! これがあるから大丈夫だもーんだ!」

「あ! お前いつのまに現世転生の輪を! まて!!」

「やーだよーだ!」


 色々と気になる部分がある幽霊だ。

 

 まっ、でも……。


 変な相棒がいる仕事ってのも、案外悪くはないもんだ。


♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


「あれが噂のベテラン案内人、コウ……」


 昼の12時、人通りが多い道の中心で銀髪の女性は静かに目の前の2人組を見つめる。


 周りがスーツやお洒落な洋服で着飾る中、黒を主張とした和服とピンク色の帯が印象的な彼女に、なぜか誰もが興味を向けない。


 しかしそれは当然の話だ。


 何故なら彼女もまた……。


「あんな非効率的な案内など、存在していいわけがないわ……」


 コウと同じ案内人だからである。


 その案内人は騒がしい2人組を見下すように呟くと、人混みの中から一瞬にして姿を消してしまった。

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