空調服

@ramia294

第1話

 ハンディファン。

 女性に、人気です。

 真夏の

 薄着。

 露出の多い素肌。

 ハンディファンが、

 行ったり来たり。


 僕の視線も。

 行ったり来たり。


 男の人だって、

 夏は

 暑く。

 中には、ハンディファン

 を 使う人。

 

 更には、

 空調服を着込む

 強者も。


 空調服。

 ファンの強さで、

 涼しかったり。

 期待できなかったり。

 それでも、真夏の暑さに対抗する人類の英知。

 誕生。

 

 時は、流れ。

 季節は、巡り。


 空調服が、

 大きく

 進化。


 すでに。

 その服には、

 ファンが無くなり。


 Tシャツになり。

 下着になり。

 人々を

 夏の暑さから

 冬の寒さから

 守る

 リチウムイオン電池。

 も、繊維状。


 進化を

 遂げました。


 夏の冬の厳しさから

 解放された

 人間たち。


 おひさまの舌打。

 粉雪の歯ぎしり。

 北風の八つ当たり。


 僕たちは、

 季節感を失いました。


 赤道直下の熱い熱い白い砂。

 暑さに耐える我慢強い人々。


 極地の冷たい冷たい、白い雪。

 寒さに耐える我慢強い人々。


 今では、同じ服装です。


 野菜の旬。

 何故あるの?

 分かりません。


 台風の季節。

 何故集中?

 分かりません。


 ネコが、飼い主の上で丸くなる時期が限定的なのも、

 クマが、ある時期だけ、長い眠りにつく事も、

 人々は、分からなくなりました。


 昔の人々が戦争をした理由?

 分かりません。


 地球上。

 どこにいても快適です。


 どこだって、

 いつだって、

 その人の立つ場所。

 地球が、その人のふるさと。

 快適な地球。

 平和の使者、

 空調服。


 しかし…。


 ある日。

 俳句の勇者。

 立ち上がりました。


 ベリーショートの髪、

 似合う美しい顔立ち。

 キーボードの上。

 たおやかに舞う

 白い指。

 清楚な女性。

 立ち上がる。


 切り取る季節、失い。

 

 季語の意味、

 求める

 俳句の勇者。

 戸惑う。

 

 俳句の勇者。

 空調服を脱いでみました。

 途端に。

 迫りくる季節の

 厳しさ。


 勇者に迫る本当の季節、

 と、季語の意味。

 空調服を捨てた勇者。

 歯を食いしばる。


 ツライ、ツライ。

 1年が過ぎ。

 季節の厳しさ、優しさを理解した勇者の、

 うたう俳句。

 その迫力。

 皆んなの心を鷲掴む。

 その本。


 しかし…。

 電子書籍、

 SFのカテゴリー。

 本屋さんでも、

 SFのコーナーへ。

 考古学のコーナーにも、一冊。

 

 昔の生活に、興味を持つ人々。

 その本を手に取り。

 楽しむ。

 快適な環境で、楽しむ。

 最先端の空調服を身につけ、

 自分たちの知らない遠い昔に、憧れる人々。


 勇者。

 空調服を脱ごうと、 

 季節を感じようと、

 提案。


 しかし…。


 空調服を脱げば。

 厳しい世界に、 

 放り出されることを知っている人々。

 空調服を手放しません。


 この世界から、消えた季節。

 季節を探す冒険。

 俳句の勇者。

 始める決意する。

 この世界の未開の土地。

 季節の。

 残る人々の文化。

 残っているはずの文化。

 求める。


 準備を始める、彼女。

 の、自宅の近く。

 道の駅。

 野菜の美味しいお店。

 

 彼女は、季節を感じたくて、

 道の駅を、

 野菜を見て回る。


 一人の若い農夫。

 お店に、

 野菜を陳列。

 彼の作った、瑞々しい、鮮やかな色の持つ

 野菜。

 美味しそうな野菜。


 よく見ると彼の額に汗が。

 空調服。

 彼は、

 身に着けず。


 何故、空調服を着ないのか?


 彼女の質問。

 季節の動きを分からなくては、野菜は育てられない。

 俳句の勇者の彼女。

 興味を持つ。


 彼と話す時、

 多く持つ。


 気づく、

 周囲の季節の動きの大事な人々。

 手打ちの蕎麦屋さん。

 空調服を着ると、

 蕎麦が打てない。

 デリケートな蕎麦。

 湿度を気温を感じる力。

 大切。

 

 空調服の研究者。

 より、快適なものを、

 日々求める。

 彼らは、

 空調服を身につけず、

 快適さの研究のため

 長い時間

 過ごす。


 ものづくりの方々。

 季節を肌で感じる

 必要有りの方

 皆さん、お仲間。

 

 季節を大切にするお仕事の人々から学ぶ、勇者。

 空調服。

 時には、身に付け、

 時には、脱ぐ。

 季節を感じて、

 快適な世界。

 両立。

 ハードルの下がる提案。

 世間に受け入れられる。


 俳句の勇者の新たなるお勧め。


 ベリーショートの彼女。

 若き農夫のお仕事。

 農業のお手伝い。

 額に汗。

 明るく笑う、彼女。

 彼女の俳句。

 明るい、明るい、楽しい季節をうたう。


 彼女の最新作。

 恋の詩。 

 登場。



          おわり

 

 

 

 


 

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