エピローグ

夢……

私と千秋は、少し走った先のファミレスに来ていた。


「お名前は?」


千秋の言葉に雪那ちゃんは照れくさそうにしている。


「せ、せつな」


「雪那ちゃんか!いい名前だね」


「うん」


嬉しそうに、頬を染めていた。


「何か食べていいよ」


「せつなね!パフェが食べたい」


「頼んであげる」


千秋は、コーヒーと紅茶とパフェを頼んでくれた。


「葵、みんなで暮らそう」


「無理だよ、千秋」


「大丈夫!お金は、おろしてきたから」


そう言って、千秋は私に鞄を渡してきた。


「千秋?」


「葵が預かってて!二人で貯めたお金のうち500万だけはおろしてきたから」


「本気で言ってるの?」


「本気だよ!」


「見た目は、私じゃないし。子供が二人もいるのよ」


「そんなのたいした問題じゃない。問題なのは、葵と生きれない事だから」


千秋の優しさに泣いていた。パフェと紅茶とコーヒーがやってくる。


「ママー、食べていい?」


「うん」


「いただきます」


そう言って、嬉しそうに雪那ちゃんは食べている。

その姿を見つめながら、千秋はニコニコしていて…。私は、千秋と一緒に暮らしていけたらいいのにと思っていた。


「でも、あの男が許さないわよ」


「どうにかするよ!だから、葵!俺を信じて」


千秋は、私の手を握りしめてくれる。


「信じていいの?」


「うん!当たり前だよ」


「だけど、両親にもお金を払ってるのよ!私は…」


「それは、いつか時期がきたら…。この街を出ればいいじゃないか?二人で1から…。嫌、四人でゼロから始めよう」


「千秋は、家族に会えなくなるのよ」


「それは、葵だって同じだろ?この家族で生きる為なら仕方ない事だよ」


「千秋…」


「大丈夫、大丈夫!俺が何とかするから!だから、葵は何も心配しなくていいから…」


そう言われて私は、泣いていた。暫く泣いていて…。

気づいたら、眠っていた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「葵、帰るぞ」


その声に目を開けた!


「誠、私寝てた?」


「寝てた!行こう」


「うん」


さっきまで、幸せな夢を見ていた気がするけれど…。現実は、違っていた。


「さっきは、ごめんな」


「あっ、うん」


優しく言われて許してしまった。初めて、平手で殴られた。誠は、雪那を抱っこしてくれる。


「帰ろう」


「うん」


そう言って、歩き出す。


「パパ、車なんかないよね?」


「えっ!あっ!!本当だな!間違えて来たよ。行こうか」


「うん」


歩いて帰るには、距離があるファミレスに来ていた。


「車買おうかな?」


「膝が痛いのに、大丈夫?」


「軽自動車ぐらいなら、運転出来ると思う」


そう言って、誠はニコニコ笑っている。

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