悪夢

帰宅して、荷物をおろした。雪那は、スーパーの袋を持って行ってくれる。私は、恭介君をベビーカーからおろして抱っこする。苦戦しながら、ベビーカーを畳んだ。


「ワァー、アアー」


今までスヤスヤと眠っていたのに起き出してしまった。


「はいはい」


ポンポンと背中を叩きながら、部屋に入る。


「ママ、冷蔵庫いれとくね」


「ありがとう」


私は、恭介君におっぱいをあげる。あんまり母乳の出はよくないらしい。


イタッ…。小さな歯がはえてるのか噛られた。

暫くしたら、また眠ってくれた。私は、ベビーベッドに寝かせてあげた。


「お腹すいた」


「うん、作るね」


手を洗って、お米を炊く。炊飯器は壊れそうな程、古いものだ。私は、鶏肉を取り出した。包丁は、全く切れない。肉を潰してるように切っていく。キッチンは、狭いし汚い。そこにある道具も古くて汚い。玉ねぎをみじん切りにする。いかにも身体に悪そうな剥げたフライパンで、玉ねぎを炒めなくてはいけないらしい。とりあえず、切った鶏肉をブラウン液に放り込んだ。これは、晩御飯用の唐揚げだ!


お米が炊けたのを確認して、みじん切りにした玉ねぎと細かく切った鶏肉と干からびたにんじんも細かくしていれた。半分程のケチャップを冷蔵庫から取り出し、塩コショウをする。そこにご飯を手際よく混ぜる。出来上がったものを、種類も色もバラバラな食器を二枚取り出していれた。卵一個で、オムライスを作った。くるりとは、巻けないから、上に乗せる形になった。ケチャップで、せつなと書いてあげた。


「出来たよ」


「わあー!美味しそう」


「どうぞ」


スプーンとオムライスを差し出した。


「いただきまーす」


まだ、5歳ぐらいだ!美味しそうにオムライスを食べているけれど、胃袋にさっきのとオムライスが混ざると想像したら胃酸が上がってきた。


変な想像はするな!私は、首を振った。少なからず、私だって千秋のそれを胃袋に納めた事がある。その日、ご飯を食べたって気持ち悪さなんかなかったのだ。千秋が身体中にいると思って嬉しかったのだ。ただ、彼女はどうなのだろうか?何の疑問も持たずにそんな事をしてるのだろうか?


私は、オムライスを食べなから娘を見つめる。もしかしたら、これはただの悪夢を見てるだけに過ぎなくて!私は、今、眠っているだけなのかもしれない。


それなら、この彼女を助けてあげたら現実の世界に戻れるのではないか…。


私は、千秋との生活に戻るのではないか…。


じゃあ、雪那ちゃんを助けてあげて!この、悪夢を終わらせてしまおう

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