第7話 奴隷商の息子と聖女と剣聖
「汝に女神様の祝福を――――――な、なんじゃと!?」
教会内に驚いた神官の声が鳴り響く。
神官の驚きぶりにどうしても心が躍ってしまう。
果たして、彼の能力はどんな素晴らしいものなのだろうか。
「神官さん。早く教えてくれよ」
「はっ! そ、そうじゃったな。おぬしの能力は――――――『剣聖』じゃ!」
「「「「うおおおおおおお!」」」」
教会内から歓声が飛び出た。
今日はシュルト奴隷商会の収入が一定値を超えたので、その
還元というのは、奴隷達の奮闘により『シュルト奴隷商会』の名前は王都内に瞬く間に広がって、奴隷達は毎日のように仕事が舞い込むようになった。
もちろん安いとはいえ、日割り計算だと
金貨1枚で10人の奴隷達に『能力開花儀式』を受けさせてやれる。
僕は早速集めた金貨10枚から8枚を持ってきて、うちの奴隷達80人に『能力開花儀式』を受けさせている。
お父さんはものすごく渋い顔をしたけど、そこはいつもの優しい説得で何とかなった。
「アベル様!」
「ヴァレオ。よかったね!」
「この力は全てアベル様のものです! これからも一生懸命働かせて頂きます!」
「あはは~ヴァレオはいつも大袈裟だよ~いつもの言葉は?」
「はっ! 無理して体を壊すくらいなら休む。でございますね?」
「うん! 忘れないでね!」
「はいっ!」
ヴァレオは元々うちの中でも腕っぷしだけなら1か2を争うくらい強い。
そんな彼がとても強い能力を開花したのは喜ばしいことだ。
ヴァレオはいつも熱い漢で、僕に感謝を言いまくるんだけど、ちょっと言い過ぎな気がするが、悪い気はしないので笑ってごまかしている。
彼の眩しい笑顔に僕まで笑顔になっている時、場内からまたもや歓声があがった。
「「「「おおおおお!」」」」
割れんばかりの拍手を受けていたのは――――――なんと、エリンちゃんだった。
「あれ? エリンちゃんも凄い能力を開花したの?」
「アベル様! そうなんですよ! なんと、『聖女』だそうです」
「ええええ!? 凄くない!?」
「とんでもないことです! ただ、彼女は奴隷なので、教会がどう出るか……」
うちの奴隷のギスルは、普段から非常に賢くて、色んな情報を持っている。
最近は冒険者の荷物持ちとして、あらゆる場所に出向いては情報を仕入れてうちに拡散してくれるのだ。
これがまた大助かりなんだけど、それはまた今度。
「アベル様!」
嬉しい笑みを浮かべたエリンちゃんが真っすぐ僕の前にやって来た。
「エリンちゃん! おめでとう!」
「はいっ! この力は、全てアベル様のモノです! これからも精一杯勤めさせて頂きます!」
「あはは、エリンちゃんもヴァレオみたいなことを言うんだね。でも――」
「無理して体を壊すくらいなら休む! ですよね?」
うん。彼女もしっかり分かってくれたみたいだ。
「そうだよ。それにしてもエリンちゃんが聖女様か~
「…………」
その日は、二人の素晴らしい能力開花を祝して商会内で大きな宴会となった。
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