壮年篇(5)『遠藤麻理』 FM-PORT「MORNING GATE」

 本日、2020年6月30日23:59をもって、新潟県民FM放送は停波となり閉局した。

 最後の8分間は、前・現職問わずFMPORTのDJ、レポーターからリスナーに向けたコメントが放送された。そして、24:00、79.0MHzは、本当にザーっていうノイズ音だけとなった。


 とにもかくにも、このFM局を聴くようになったのは、朝の情報番組「MORNING GATE(通称モーゲー)」が入り口だった。


「〇〇さん(同僚の名前)、朝の通勤の時に、車の中で何を聴いてますか?」

「私は、昔からエンドウマリよ」

「エンドウマリ?」

「そ。FMポートの朝の番組。彼女、面白いの」

 その会話がきっかけだった。


 その頃の通勤は、自宅から距離30kmを車で30分、という田舎道通勤でだったが、毎朝、欠かせないラジオ番組となった。

 

 遠藤麻理。

 朝の番組には似つかわない、低めで色っぽい声(個人の感想です)、そして、なんといっても、朝から酒の話、おつまみの話、ホラーの話、恋の話… 酷い時は、30秒から1分以上の止まらない高笑い。こんなにも、自由で、馬鹿々々しくて、それでいて、職場に着くと、なかなかドアを開けれないくらいに名残惜しくなってしまう番組は、他になかった。


 番組特製のおふだステッカーをリクエストすると、遠藤麻理直筆のお手紙付きで家に届いた。

 ダジャレのコーナーで月間チャンピオンになったときは、私のラジオネームを高らかと呼んでいただき、賞品のドレッシングの詰め合わせには、やっぱり、遠藤麻理の直筆の手紙が添えられていた。

 ステッカーキャンペーンの時は、2時間の行列を耐えた甲斐あって、私のことを覚えていてくださったし、一緒に写真に納まってくれた。


 自虐、他虐、止まらない高笑い、ちっとも、わきまえてなさそうで、実は、大事なところを押さえている安心感をラジオの音声だけで表現し続けてきた遠藤麻理。

 

 さらば!





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四畳半ラヂオ御噺 橙 suzukake @daidai1112

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