第2話・「なんか電流を体に流されたので、とりあえず変態と戦ってみます」変態若妻怪人【カタツムリムリ】登場

 円形の台に手足を固定された、華奈にバマンが言った。

「それじゃあ、こういうシーンの定番の電流バチバチいってみようか」

「えっ、今なんて……なんですか、その機械のレバー。やめてぇ!」

 チ・バマンがレバーを下げると、華奈の体に電流が流れる。

「うぎゃあぁぁ」

 電流を流されてピクピク跳ねる華奈の肢体。


 電流レバーを切ったチ・バマンが、呼吸を整えている華奈に言った。

「どうだ、ニ百ボルトの電圧の味は……巨大ヒロインの因子が残る、等身裸体ヒロインになったカナの体には、どうってことはないだろう」

「はぁはぁ……あたし、人体改造されちゃったんですか?」


「今どき、そんなレトロなマネを女子高校生にするか! 裁判沙汰になる! その格好は変身したら、そうなるっていうのを見せただけだ……ちなみに、巨大ヒロインの時の【別世界のキャラの力を借りる能力】は継続してあるから使えるぞ、さあ行けカナ! 町で暴れている変態女子高校生を倒せ」

「イヤです」

「…………通電再開……ガチャ」

「うぎゃあぁ! 行きます! 行きます!」


  ◇◇◇◇◇◇


 団地の壁にヤモリのように張り付いて、壁を歩きながら。

 生パンツを穿いた女子高校生を探していたヤモリデゲスは、部屋の中で好みのパンツを穿いて寝転がってスマホを見ている成人女性を発見した。

「ヒューイ、ヒューイ、窓を開けっぱなしで不用心でゲス」


 開いた窓から部屋に侵入してきた、ヤモリデゲスを見た成人女性は特に驚いた様子もなく言った。

「その校章……私立ヴィラン・ヴィラン学園の生徒ね……なんの用?」

「驚かないんでゲスか?」

「そりゃそうよ、だってあたし」


 下乳見えのTシャツとパンツ一丁の姿で立った成人女性は、ヤモリデゲスに背を向けると前屈みになって、脱いだ生パンツを「はい、プレゼント」と言ってヤモリデゲスに手渡してから、頭上に向かって手の平サイズのカタツムリの殻を放り投げた。

 カタツムリの殻から、溢れた粘液に包まれ。

変態若妻は怪人【カタツムリムリ】に変わった。


「ヴィラン・ヴィラン学園を卒業された、先輩だったでゲスか……失礼したでゲス」

 カタツムリムリの股間部分は、前面をカタツムリの殻で、お尻の谷間はYバック下着のように粘液で保護されていて見えない。

 カタツムリムリが言った。

「変態女子高校生は卒業して、変態社会人や変態大学生になる。さらに、変態な夫と結婚して変態若妻に……生まれてくる子供も変態の英才教育をして、変態家族が完成する……それがヴィラン・ヴィラン学園が理想とする未来ムリ」

 拍手をするヤモリデゲス。

「おぉ、すばらしい理念でゲス」


 カタツムリムリは、スマホの画面をヤモリデゲスに向けて言った。

「ところで、敵が現れたようね……『裸じゃないんです、こういう模様なんです』って言っている痴女を倒す指示が、ヴィラン・ヴィラン学園の卒業生の変態怪人たちにも送信されたわ……久しぶりに腕がなるわねムリ」

「じゃあ、一緒に痴女を倒しに行くでゲス」


  ◇◇◇◇◇◇


 ヤモリデゲスと、カタツムリの殻を背負ったカタツムリムリが町に出ると人々は。

「変態怪人だぁぁ」と叫んで逃げていく。

 怪人・カタツムリムリは、 逃げる人々の足元に向かって口からヌタウナギの粘液のような、ローション粘液を発射する。

 ツルツルの道に転倒者が続出する。

「うわぁ!?」

「なにこれ? 坂道が滑って登れない」


 大笑いをする変態怪人。

「ヒューイ、ヒューイ、日頃の家事のストレスが解消される……さて、あたしの能力〝透視眼〟で、衣服が透いた恥ずかしい姿を見てやりますかねムリムリ」


 変態若妻怪人は、指メガネを作って言った。

「透視眼! みんなスッポンポンになれ」

 指メガネを通して見た世界は、着衣が透視された裸世界が広がっていた。裸で転ぶ人々の姿にカタツムリムリは狂喜する。

「あははははっ、愉快、愉快……日頃のストレスが消えていくムリ」


 指メガネで周囲を眺めていた、カタツムリムリの動きが止まる。

 地面から縦になった土管の筒か、パイプのようなモノが現れ、その中からグルグルと回りながら、変身した裸体等身ヒロイン『サカナカナ』ライダーが現れた。

 カナの腰に装着された変身ベルトが、点滅しながら声を発する。

《サカナカナァ!》

 ヤモリデゲスが言った。

「現れたでゲスな、痴女ヒロイン」

「痴女じゃありません! 裸じゃありません、こういう模様なんです!」

「学園の崇高な計画を邪魔する痴女は、倒すムリィ」

 襲いかかってくる、変態女子高校生怪人・ヤモリデゲスと、変態若妻怪人・カタツムリムリ。


 コインを変身ベルトにセットして、モードチェンジするカナ。 

《怪人ヒーロー『モリブテン』!》

 ヤモリデゲスが長い舌を使って投げてきた、空き缶がカナの体を貫通する。

「攻撃が体をすり抜けるでゲス?」

 怪人ヒーロー『モリブテン』は、体の分子構造を自由に変えるコトができた。


 ジャンプしたカナは、背中からジェットを噴出して、ヤモリデゲスとカタツムリムリに向かって。

 斜め四十五度の角度で急降下する、カナキックの体勢に入った。

 それを見たカタツムリムリが、後輩のヤモリデゲスに指示する。

「左右に分かれて! 一度に二体の怪人にキックはできないからムリィ」


 急降下するカナの体が空中で、右と左の半身に分離する。

 真っ二つに切断されたような格好で、カナは半身の両手でそれぞれの股間を押さえ隠しながら言った。


「裸じゃありません、こういう模様なんです! カナキック!」

 蹴られて吹っ飛ぶ、変態怪人。

「そんなの、ありでゲスかぁ?」

「ムリィィ」

 二体の怪人の変態怪人スーツが砕け散り、女子高校生と若妻は意識を失い倒れた。


 裸体等身ヒロイン『サカナカナ』と『ヴィラン・ヴィラン学園』の戦いがはじまった。


 第一章・等身ヒロインになってもやっぱり「裸じゃないんです!こういう模様なんです!」~おわり~


註・作中に「二百ボルトの電流を女子高校生の体に流す」という描写がありますが、家庭用電力が百ボルト~二百ボルトです。

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