第一章・等身ヒロインになってもやっぱり「裸じゃないんです!こういう模様なんです!」

第1話・変態女子高校生怪人VS等身裸体ヒロイン「華奈、改造っぽいコトされちゃいました」変態女子高校生怪人【ヤモリデゲス】登場

 穏やかな日差しの休日──女子高校生の『阪名 華奈サカナ カナ』は、公園のベンチでアイスクリームを食べていた。

(平和だねぇ)

 半年間の記憶の欠落……その間に何があったのか、華奈は思い出せない……いや、無意識の領域に華奈は羞恥の記憶を封印した。


 サイの角を生やしたタマタマンも、埼○から故郷の星に帰る時に、タマタの母とタマタの乳に頼んで、地球上の人々から怪獣少女が暴れていた記憶を消去した。

 華奈がいる世界〈地域〉は、怪獣は映画やアニメの中だけの存在で実在しないコトになっていた……そして華奈の一家も、埼○から○葉に移住した。


「本当に平和」

 公園の砂場では落とし穴に落ちた子供を、他の子供たちが砂をかけて埋める遊びをしていて。

 ママ友たちは、砂場での子供たちの遊びを見て見ないでフリをして雑談している。


 そして「変態怪人だぁぁ!」と叫んで、華奈の方向へ向かって逃げてくる人々。

(ん? 変態怪人?)

 ママ友たちは、砂場で遊んでいた我が子を脇に抱えたり、砂の中から引き抜いて逃げていく。

 華奈の近くまで走って逃げてきた一人の女子高校生生徒が転んで、横座り状態でベンチに座っていた華奈の生足をつかんで助けを求める。


「変態に狙われています、助けてください!」

「足を離して、あたしには関係ないでしょう」

「そんなコトを言わないでください……わぁ! 変態たちが来た!」


 見ると、全身黒タイツに赤いグルグル渦巻き模様が入った黒い覆面をかぶり……胸に『ザコ男子』と白地で書かれた男たちが。奇妙な、かけ声を発しながら現れた。

「ヒューイ、ヒューイ」


 ザコ男子の頭には、装着者の脳内に、服従波を発生させる金属の輪がはめられている。

 ザコ男子に続いて、生物の能力を発揮できるバイオ変態スーツを装着した。

 変態女子高校生が出現した。

「ヒューイ、ヒューイ……この変態怪人『ヤモリデゲス』さまからは逃げられないでゲス……おとなしく今、穿いている生パンツをこちらに渡すでゲス……えへへへっ」

 変態女子高校生怪人ヤモリデゲスは、完全にイッちゃった目をしていた。


 パンツを狙われている女子生徒に、華奈が淡々とした口調で言った。

「生パンツ欲しがっている変態女子高校生に、脱いで渡しちゃったら?」

「嫌です! ノーパンにされるのはイヤァ」


 変態怪人ヤモリデゲスが言った。

「心配ないでゲス……パンツの代わりに、フンドシをザコ男子が穿かせてくれるでゲス」

「フンドシは、もっとイヤっ……そうだ、あたしよりもこの人のパンツを」

 女子生徒は、華奈のスカートをめくり上げて目が点になっる。


 華奈の股間には、隠すように笑顔の華奈の顔が浮かんでいた。

「この人、最初からパンツを穿いてない……変態だ」

「違います、変態じゃありません……裸じゃありません、こういう模様なんです」


 華奈の口から無意識に出た言葉に、反応するヤモリデゲス。

「その、セリフは! まさか、おまえは学園長が話していた例の……おまえは敵! ここで始末するでゲス」

 ヤモリデゲスの口からカメレオンのように伸びた舌が、大樹を引き抜き華奈の顔面に向かって投げつけた。


 生パンツを狙われていた女子生徒は、咄嗟に飛んでくる大樹から逃げて。

 ベンチに座ったままの華奈の顔面を、横倒しになった大樹の幹が直撃する。

「どべべべっ」

 華奈はベンチごと後方に倒れ意識を失った。


  ◇◇◇◇◇◇


 次に華奈の意識がもどった時──華奈は手足を大の字に広げた格好で、円形の台に仰向けで寝かされていた。

(どこ? ココ?)

 天井からは手術室にあるようなライトがあり、華奈の体を照らしている。

 体を起こそうとした華奈は、手足が金属のベルトで固定されているのに気づく。

「なに? これ?」

 必死に手足の金属ベルトを外そうと、もがく華奈は首から下を肌色で模様が付いた薄いスキンのようなスーツで包まれているのに気づく……裸ではないが、恥ずかしい姿だった。


 さらに、手と足には黒い革の手袋とブーツ……首には赤い襟巻きのような、マフラーが巻かれていて頬に触れている。

 そして腰には玩具オモチャのような、ベルトが巻かれていた。

(なにこの、恥ずかしすぎる姿?)


 華奈が驚いていると、近くで男の声が聞こえてきた。

「おっ、気がついたか……さすが、元巨大裸体ヒロイン……普通の女子高校生だったら、顔面潰れて即死していたぞ」


 頭に波の飾りが付いたヒーローマスクをかぶり、青いヒーロースーツを着た男が白衣コートを着て立っていた。

「あなた、誰?」

「オレの名前は、『チ・バマン』……タマタマンの知り合いだ」

「タマタマン?……あぁぁぁっ」

 華奈の脳内に、思い出したくない怪獣少女たちとの、羞恥な戦いが甦る。


「ち、違います! あたし裸じゃありません! こういう模様なんです!」

 華奈の言葉を聞いて、うなづくバマン。

「うんうん、その様子なら等身裸体ヒロインも大丈夫そうだ……サカナカナ!

 君は今日から等身裸体ヒロイン『サカナカナ』となって、【私立ヴィラン・ヴィラン学園】の変態女子高校生怪人と戦うのだ!」

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