第4話 錬金ポーションの効果
ソフィアの剣が炎を纏う。
なるほど確かに、この攻撃には伝導率の僅かな差異が大きな影響を及ぼすだろう。
こちらも同じく剣に魔力を伝わらせる。
「はぁぁぁぁ!」
──ガキン。
模造剣同士が激しくぶつかり合う。
同時に纏っていた炎がこちらを包むように動き出したが……。
「なるほど」
「えっ……」
予め纏わせていた魔力に水属性を付与することでソフィアの魔法はあっけなく焼失する。
なるほど。ソロの実力としてはCランクの下といったところか。
パーティーを組めばCランクの依頼は大抵こなせるだろう。
魔力もそこそこあるようで、育てがいがありそうだ。
「はぁ……はぁ……と……とても敵わないです」
地面に倒れてしまった。ソフィアくらいの実力ならば冒険者パーティーに加入できそうな気もするがな」
「よし、ではこれを飲んでもう一回模擬戦をしてみるか」
持っていたエリクサーを渡そうとしたが……。
「え……!? 良いんですか? 一瓶金貨十枚も必要なんですよね!?」
「あー、ロックの方はそういう価格設定にしたんだな」
金貨十枚はAランク相当の依頼を達成した報酬額とほとんど同じだ。
Cランクがやっとのソフィアではそう簡単に手が出るものではないだろう。
だが……。
「ソフィアは俺の弟子になったんだろう? この程度ならそのうちいくらでも稼いでもらうから心配するな」
「わ、わかりました……」
遠慮がちに受け取るソフィア。
エリクサーなんて消耗品だ。使わずにいるのは宝の持ち腐れになる。
ソフィアの才能は十分感じたし、このギルドはエリクサーで増強した力を使って稼ぎを出すのが基本方針。
専属冒険者にはこうして支給することはもう、決定済みだ。
「うわぁ!! 凄いです! 疲れが一気に吹っ飛びました! おまけに力が漲ってくるようで……」
「よし、じゃあ続けてみようか。今度は俺も本気を出すが」
「え!?」
「はぁぁぁぁ!!」
俺は先ほどより強力な魔力を剣に伝わらせる。
魔力による光で輝くほどまでに強化された剣をソフィアに向けた。
だが、ソフィアの剣はそれよりも激しい輝きと火炎で包まれていた。
更に、ソフィアは先ほどとは比べものにならないくらいのスピードで向かってくる。
剣の素振りは間一髪で避けたが、風圧で生み出された火炎が後方の岩にまで当たり、若干溶けていた。
「す……すごい! エリクサーの効果がこ、これほどまで……」
「ふう……流石にこの力のぶつかり合いはお互いに危険だな。ソフィアの戦い方は大体わかったからここまでにしておくか」
本人には言わないでおいたが、模造剣だけで戦っていたら俺は負けていたかもしれない。
いくらエリクサーを使用していたとはいえ、負けてしまっては師匠としての面目もないからな。
「エリクサーがここまですごいとは……」
いや、これはエリクサーの力だけではない。
ソフィアに元々秘められていた能力が、エリクサーを飲んだことで引き出されたのだろう。
俺の錬金したエリクサーは飲んだ人によって、魔法習得や能力開花など様々な効果が出るようだ。
「今のソフィアならソロでもBランクのモンスターなら難なく倒せるはずだ。エリクサーの効き目もまだ数時間保つから試しに討伐してみるか? 最初は危険だから俺も同伴する。丁度良い依頼がきているんだ」
ギルドランクB相当のジャイアントモンキーを討伐する依頼書を渡す。
「こ……こんな恐ろしいモンスターを私がですか……?」
「大丈夫だ、今のソフィアならきっと倒せる。それに、いざとなったら必ず俺が助けるから身の危険は心配するな」
「はい!」
ギルド自体も俺がいなくともしっかりと運営できるようになっている。ここは彼達に任せ、俺とソフィアで討伐へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。