第10話 どれがいい?

 「透、髪型どれがいいかな?」

「家で?」

「学校で」

「好きにしなよ」

「透が好きなのがいいの」

「俺が好きな髪型は学校でしないで欲しい。家でだけして独り占めしたい」

「じゃあなにが好きなの?」

「なんだろ」


うーん。

今は肩よりちょっと長いくらいで、結ばないで下ろしてるしな。

サイドテールか結んで肩の前に流すかだな。

よし。


「冬、サイドテールと結んで肩の前に髪の毛を流すやつやってみて」


「わかった」


そう言い冬が髪を結い始める。


「できたよ」

「可愛い。抱きしめたい」

「っ//じゃっじゃあ次行くね」



「ん。できたよ」

「可愛い。抱きしめたい」

「さっきと同じゃん」

「誰かに見せられないな」

「じゃあ。何ならいい?」

「無難にポニーテールだね」

「わかった」


はい。決まりー。

抱きしめたい。


「透、さっきの二つだったらどっちがいい?家で結ぶ時」

「どっちもいい」

「どっちか決めてよ」

「じゃあ、日替わりで」

「ん。今日は何がいい?」

「サイドテール」

「分かった」


そう言い冬が髪をほどき結い始める。


「できた」


気づいた時には冬は俺の腕の中にいた。


「可愛すぎやろ」

「もっもう驚かないもん」

「はいはい」

「本当だもん」


相変わらず可愛い。

2、3週間一緒に暮らしただけで冬中毒になってしまった。


「可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い」

「ひぇっ。こっ怖いよ」

「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き大好き」

「知ってる」

「じゃあ二の腕触っても文句ないよな?」

「うん」

「久しぶりに二の腕にありつけるぜ」


もにゅ、もちっ


「もちもちで気持ちいい」

「ありがと」

「どういたしまして」

「それは違うでしょ」


とたわいもない会話をする。


「冬、なんでそんな可愛いんだ。俺をこんなにしやがって」

「ごめんね」

「本当だよ。可愛いすぎて冬を抱きしめまくることしか出来なくなっちゃったじゃん」

「私は嬉しいよ」

「そういうところが可愛いねん。食べちゃいたいわ」

「いいよ」


えっ?いいの?

じゃあ遠慮なくいくか。


「いただきます」といい冬の二の腕を食べ始める俺。


「ひゃっ⁈」

「どうひひゃの?」

「急に舐めるから」

「おいしいよ」

「別に嬉しくない」


なんだと。


「嫌だった?」

「別に」


もう可愛すぎんだよ。

俺は二の腕を食すのを止める。


「この可愛いやつめ」


と言い冬をソファに押し倒す。


「ひゃっ⁉︎」

「この」

「この?」

「ういやつめー。甘やかしフルコースだ」

「ひゃぁぁぁぁ」


そう言い俺は冬を全力で抱きしめ、頭を撫でる。


「うぅ」

「可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い」

「うぅ」

「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き」

「っもう」

「冬は今日俺の抱き枕な。強制だから」

「恥ずかしいけど⋯⋯ぃぃょ」


消え入りそうな声で冬が言う。

可愛すぎんだろぉ。

冬のお父さんお母さんありがとうございます。

いっぱい可愛がります。

独り占めさせていただきます。


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

「どうかした?」

「独り占めしたい」

「もうしてるじゃん」

「外に出したくない」


そう言うと冬がにやりと笑みを浮かべる。


「それは困るなぁ?透デートできないし」

「お家デートというものがあるぞ」


「あれ?思ってた反応とちがうなぁ?」と冬が呟く。


「でも、冬と外でデートしたいかも」


そう言うと冬が分かりやすく喜ぶ。


「そっそうでしょ!手も繋いであげるよ?」

「それは魅力出来だな」

「んふふー。じゃあ今度デートしよ?」

「うん」


可愛い⋯。


「独り占めしていい?」

「またぁ?いいよ」

「大好きだよ」

「わっ分かってるよ」

「可愛いなぁ。今日の夜は抱き枕冬を抱きしめまくりたい気分」

「ん」


可愛すぎやん。

こんなんずっと抱きしめてられるわ。





  その日の夜冬は眠れず、二の腕が透の涎まみれになりました。

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