第8話 スライム討伐?!

「あ、黒華君!」


「千夏」


千夏は広場のど真ん中に待っていた。やはり、お互い顔をいじっていない事にすぐに気付く。


「エルフにしたのか」


千夏の耳はぴょこぴょこと動いていた。種族を選べばその種族の見た目に勝手に変わる。黒華も近くの窓に映った自分を見ると、頭の上にツノが生えたり、同心円系の様な真っ赤に染まった赤い目に牙のように鋭くなっていた。


「え?なんだこの目は?攻略本には載ってなかったぞ?」


「カッコいいですよ。やはり顔が良く見える方が好きでよ」


「お、おうそうか。ありがとう」


千夏に面と向かってかっこいいと言われ少し照れ臭そうにする。


「千夏は何の職業を選んだの?」


「私は回復術師を選びました。怪我した黒華君を頑張って治します!」


「回復術師か!それは助かる!」


回復術師は必須な職業だが、第一職業しか解放してない者には不人気なのだ。何故なら回復術師は後ろで仲間を回復をしたり、強化付与をしたりしかしないのでつまらないとやりたがら無い人が多い。


「お〜い、2人とも!こっちだよ!」


凛の声が聞こえてくる。凛の腰には両手剣をさしていた。


「やっほ!チナツと...こっちはコクハかな?すごいキャラメイク頑張ったね?」


いつもと違う顔に、物凄くいじったと勘違いされてしまったようだ。


「いえ?黒華君の顔は変わってませんよ?」


「え?!コクハっていつも前髪のマスクで顔隠してるから分からなかったけど、こんなにイケメンだったの?!それは驚き...」


「ふふ、そうですよね?!黒華君は物凄く端整な顔立ちですよね!それに加えて優しくて、料理も出来て、意外とお茶目な所もあって、惚れる要素だらけですよね」


「あはは」


千夏が体をモジモジとくねらせなかまら、黒華の事を語り始めた事に凛は苦笑いしていた。隣で聞いていた黒華は赤くなった顔を手で隠す。


「凛は何の職業と種族なんだ?」


「あたしは〜剣士と人族だよ」


人族はバランス良く平均並みにステータスを上げてくれるが、強力なスキルはない。あるとしても経験値の取得が少し多くなる経験値増加(中)のスキルぐらいだ。まぁ、強い所と言えば種族スキル以外の殆どのスキルを覚えられる。


「やっぱり、人族が一番だよ!生き慣れてるからね!2人は何にしたの?」


黒華と千夏は自分のステータスを説明をした。3人でパーティを組んでクエストを受ける。まず初めのクエストはスライム討伐だ。3人の職業で役割分担を決めた。凛は敵をバッサバッサ倒す前衛、黒華は敵を倒しながら千夏を守る中衛、そして千夏は2人のサポートをする後衛となった。新規プレイヤーには1000gのお金と職業に合った革防具や鉄の武器を貰う。黒華は鉄の短剣を貰ってるが、剣を使いたかったので800gのボロボロの安い剣を買った。


「凛!そこに3匹いる!」


「了解だよ〜」


凛はバッサバッサとスライムを斬りつけていた。ステータスポイントは平等に振り分けているそうだ。 


 そう言えば千夏の方は聞いていなかったな。確かエルフと回復術師はどっちもMPに1000も付与させる極振り職業と種族だったよな?なら、MP以外のステータスを平等に上げたとか?後で聞こう。


「うっし!」


陰密スキルのお陰でスライムの後ろに回り込んでも気づかれずに倒せた。凛と千夏はゲームに熱中し始めたのか次々とスライムを倒していった。


「黒華君!危ない!」


「え!」


黒華は背後から攻撃してきたスライムに気付かず、それを千夏が守り走る。黒華は回復術師がスライムの攻撃の前に立った事に驚いてしまった。


ガキン!


「「え?」」


千夏に当たったはずの攻撃が鉄の様なぶつかった音が響いた事に凛と黒華はキョトンっとする。攻撃された筈の千夏は無傷でピンピンとしていた。


「チナツ?なんか硬くない?」


「ふふ、私は黒華君や凛さんを守る役目として、防御力にステータスポイントの全てを振りました。これからも2人のサポートをする為に、MPと防御力を上げますね!」


っとドヤ顔で言う千夏は少し可愛いかった。どうやらHP:100 MP:2100 防御力:1010、その他は10のステータスになっていた。確かに防御力が高ければ効かないが、敵の攻撃力が少し高かったり、移動速度も遅い事に少し不便なステータスだが、千夏が楽しんでいるのなら、何とかなるのだろうと2人は親御さんの気持ちになりながら、今1番ゲームを楽しんでいる千夏を見守った。


「「すげ〜」」


スライムの集団がぽこぽこと千夏に攻撃するが、一切効かなかった。だが、逆に千夏もスライムに攻撃するがスライムにも効かなく、お互い無限に攻撃している事に思わず凛と黒華は笑ってしまった。












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