『まりちゃんは檻を作ってる』に関する覚書(ネタバレあり)

尾八原ジュージ

覚書

 2022年8月22日に完結したホラー長編『まりちゃんは檻を作ってる』ですが、例によってプロットなどもなく、行き当たりばったりで書いていたので、途中で方針を変更したり色々やっていました。


 こちらはそういったことに関する覚書です。なお、大いにネタバレを含みますのでご注意ください。



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・『巣』完結後、毎日の更新作業がなくなったのが寂しく、とにかく連載をやりたくて仕方なくなった。我慢できなくなって第一話らしきものを書き始めた。時間を遡ってこの第一話に戻るようにすれば、ともかく体裁は一応整うだろうと思った。「まりちゃんがなにかやばいものを育てている」ということだけは決めていた。

・あまりに無計画な始め方だったので、特に中盤以降ずっと後悔していた気がする。今となってはいい思い出。

・タイトルは「冒頭でまりちゃんがなんかペタペタ固めてた」から。回収できなくなりそうで連載中ハラハラしていた。

・Twitterで宣伝する際、まりあと思われる顔のない女の子の画像を使っていたが、連載当初に見た夢に出てきたホラー小説の表紙を真似たものなのであまり意味はない。

・始めたときは五〜六万字くらいになると思っていた。

・第一回目を公開したとき、葵とまりあとあいちゃん以外のキャラクターはまだ存在していなかった。必要に応じて家族から増やしていった。

・あいちゃんの詳細は「あおいちゃんのこと」の章までほぼ決まっていなかった。おねえさんが病室に来たとき、しゃべるネタがなさそうだったのであのようになった。

・■■■については別立てで話を作れたらいいなと思うので、とりあえずそれっぽい名前を探している。

・本編中に書く機会がなかったが、実は担任の多岐川は小早川家を訪問した後早期流産している。児童にわざわざ知らせないだろうし、医療機関に勤める父兄などから情報漏洩することも余程でなければなさそうなので、情報開示できなかった。

・おねえさんは『みんなこわい話が大すき』に出てきた「きょう」にあたる。古いので当初の記録がなく、また素体の特定を防ぐため、まったくの無関係者を含む複数人が素体となっている可能性が高い模様。よみごかそれにごく親しい人物が作ったことは確定しているので、「よみご内で処置すべき案件」として受け継がれている。これもまた開示のタイミングがなかった情報。視点人物が子供なので、「常識的に考えて大人の判断で伏せられてしまいそうな情報」をなかなか出せなかった。

・妹尾は百歳くらいのおばあさん。遠出はしんどいけどまだ現役のよみご。実力と年季の入り方が半端ないので、たぶんよみごの元締みたいな立ち位置にいる。白杖や介助なしで普通に外出するが、地元の人は見慣れているので特に心配したりしない。格ゲーが趣味でゲーセンのヌシ。若いひとの恋バナが大好き(なお自分より年下なら大抵「若い」と判断する)。おそらく『きょうを読むひと』に登場したよみごが彼女。なお資産がすごいらしい。

・途中で「もう誰か霊能者的なひとがいないと話が進まない!」と思って登場させたのが環。物語が詰みそうだったため、ひたすら自分を甘やかして「キリっとしたショートカットのスレンダー美女」という完全に好きなタイプのお姉さんにした。好きなタイプにしすぎて死なせにくくなった。

・書いていて一番楽しかったキャラクターはまりちゃんママ。

・環が病室でおねえさんとあいちゃんを箱に閉じ込めたあと、実はエンディングに入るつもりだった(環が箱を持って帰る。タイトル回収のためまりあも彼女についていく)。なぜか全然筆が進まなかったので、オチるのは一旦やめて交通事故を起こした。

・環が行動不能になったので、今回登場させるつもりがなかった志朗が出てくることになった。ただ『みんなこわい話が大すき』では強いきょうの痕跡を追っただけで体調を崩しているので、即興で封じられてるだけのおねえさんには近づけない気がした。ものすごく臭かったりするのではないかと思う……。

・そういうわけで登場時から嘔吐していたが、そのあとどうやって箱に近づかせようかまるで考えていなかった。本当にまずいなと思っていたが、武州人也さんの『酒乱女の血闘伝 ~えっ、酒好きなあたしが最強に?~』を読んでいたときに、「飲酒して感覚にデバフをかける作戦」を思いついた。酒乱女がなければ本作はエタっていたかもしれません。あらためて武州さんにお礼申し上げます。

☆なお『酒乱女の血闘伝 ~えっ、酒好きなあたしが最強に?~』は以下URLから。お酒を飲むとなぜか強くなる女性がステゴロで猛獣その他と闘う、いい意味でB級っぽさが溢れる物語です。ゴキゲンなストーリーと硬派で整った文章のマリアージュがとても美味しい。おすすめです。

https://kakuyomu.jp/works/16816927861946507539

・まりあの弟子入り先は迷ったが、彼女がよみごの本拠地に行くとなると、父親と離れて暮らすか、ごく短期での転職を強いることになるので、志朗のところに来てもらうことになった。ただ、「人にものを教える」という点においては、志朗より環の方が優れていると思う。

・志朗と黒木が出てきたとき反応をいただいたので、シリーズ化したキャラクターはやっぱり強いなと思った。弟子も追加されたので、また彼らの話が書けたらいいなと思います。

2022年8月25日追記

・「おねえさんのこと」のラストで葵が死ぬ方向も考えた。それから十年くらい一気にジャンプして茜の話を始めようかと思ったが、具体的な方針を思いつかなかったのでやめた。

・まりあが環に病室であいちゃんのことを話さなかった場合、環は山の小屋で拾ったあいちゃんの箱を志朗のところに持ち込むつもりだった。


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 ひとまず以上です(2022年8月25日現在)。なにか思い出したら適宜追加していきたいと思います。

 お付き合いいただき、まことにありがとうございました。

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