1:斥候フレディア嬢の独白





 私は斥候スカウトのフレディア。冒険者だ。


 手持ちのスキルは斥候以外に盗賊シーフ野伏レンジャーを少々。


 二カ月ほど前、勇者リンカから要請を受けパーティに加入した。


 パーティといってもメンバーは勇者リンカと私の二人きり。


 彼はどういうわけか、武勲の誉れ高き騎士団長や聖女と呼ばれる治癒術師、伝説の大魔法使いといった超大物の斡旋あっせんをすべて断って、他国出身の冒険者にすぎない私だけを仲間に加えた。


 勇者の使命は魔王討伐に決まっている。斥候わたしとふたりでどうにかなるようなものじゃない。そのはずなのに。


「どうして他に誰も雇わないんスか?」


 私が尋ねたとき、勇者リンカは素っ気ない態度で「邪魔になるから」とだけ答えた。


 それにしても「邪魔」って? 騎士団長や聖女、大魔法使いが邪魔……。すごい言い草だ。本人たちが聞いたらブチ切れるに違いない。


 ……だったら私は何故雇われたんスかね。


 雇われたからには邪魔だと思われてはいないはず。ただの一般冒険者にすぎない私を人間界最高峰の英傑よりも役に立つと考えているのだろうか、勇者リンカは。


 よくわからない。




 結論。ウチの勇者様はちょっとおかしい。




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