45.決勝戦その4

 第2クォーターが始まった。山本学園はメンバーを総入れ替えしてきた。9番10番11番12番13番。スタメンではなくサブメンなのかとおもいきや第3中学はこのメンバーに大いに苦しめられる事となる。


 10番にボールが渡った。10番はガード。地を這うような走り方をしてふくらはぎがムキムキなのが誰の目にも見てわかる。


 11番がミートした。12番はスクリーンをかけに来てパスの本命は11番なのか12番なのか読みづらい。


 10番は11番を選んだ。凛がついた。と思いきや即座に10番にパスを戻す11番。奏歩はあっと息を飲んだ。


 10番から華麗なスリーポイントシュートが放たれる。綺麗に決まった。やられたと奏歩。


 しかしここからが山本学園の本領発揮だ。


 11番から10番へのパス。10番はスキップのステップでそれを受けた。1歩半追いつけなかった奏歩を置き去りにしてワンフェイクいれた10番が2度目のスリーポイントシュート。決まる。


 さすがに10番への間合いを詰める奏歩。後ろに9番がスクリーンをかけにくる。追いつく信子。すると13番の正面が空きになる。雄の相手だ。


 13番に渡るボール。雄がぴったりとマーク。ここでボールに関わらなくなった奏歩は一瞬気を緩めてしまった。それを待っていたかのように13番から10番へまたしても戻されるパス。


 10番が3度目のスリーポイントを決めてきた。これで9点ビハインド。

 

 チャージドタイムアウト、村上軍。


「スリーポイントの連続で畳み掛けられてるわ。ここで引き離されたら優勝はないわよ。食らいつかないと。ディフェンスの間合いを奏歩、凛、麻帆は腕1本分詰めなさい。抜かれても良い。スリーはだめよ。相手のリズムを崩すような守りをしなさい。相手の苦手へ追い込むことよ。凛、得意よね。副キャプテンの凛、相手を観察してきてちょうだい。もうこれ以上スリーを打たせないこと。ディフェンスは地味かもしれないけど点差が離れると取り返しがつかないわよ。守りは大事。今踏ん張り時。はい、気合い入れてファイト!」

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