第5話 英語は苦手だよ


 朝になると、不発弾の見つかった、弓道部の建て替え現場に向かう。それは簡単なロープで区切られていて、とても不発弾とは思えない現場であった。


 増して世界が終わるとはとても思えない。俺が小首を傾げていると。


 スーツを着た外国人が話かけてくる。


「……」


 聞き取れない。どうせ、今の時代は不得意な科目が有っても卒業できる。

あれ?昔からそうか。まるで時空が不安定になる気分だ。


 とにかく、俺はNO、NO。と言ってその場を去る。


 そう言えば、ひと昔前に人工的にブラックホールを作る実験をしたとか。一部の学者が大反対して話題になった。


 この不発弾はその系統かな?などと思いながら、空を眺めながら教室に向かう。


 しかし、退屈な生活だ。


 おや?綾乃さんがバニーガール姿にて廊下ですれ違う。


「綾乃さん、今日はどんな理由でバニーガール姿なのですか?」

「頭の固い学年主任にバニーガール姿で部活の勧誘していることがばれて、どの程度、健康的かを説明する為なのです」


 大人の事情だな。本当なら即禁止のはずが、文学部の綾乃さんだからこうして説明する機会が得られたのだ。


「それで結果はどうでした?」

「勿論、許可が下りました」


 ほーう、やはり、綾乃さんはオーラが違う、ただのバニーガールで終わる訳もなく。こうして許可が下りるのだ。そして、綾乃さんは『じゃ』と言って文学部のロッカールームに向かう。


 俺は頭をカリカリして教室に戻るのであった。


 そして、授業が始まる。二時限目に入ると英語の授業である。エスケープするか悩んだが、今日は雨の予報であった。屋上では雨に弱い。ここは教室で過ごすことにした。


 俺は暇な授業中にノートに綾乃さんの似顔絵を描く。勿論、バニーガール姿だ。


 これは本人に見せられないな。女性の描き方の基本を知らないので二頭身になってしまった。


 恋心か……。


 純粋に好きなはずなのに、本人の前ではぼやけてしまう。きっと、告白してもダメなのが分かっているからだろう。


 そう、綾乃さんは学内のアイドルである。十日に一度は告白されるらしい、


 その一割は女子である。むしろ、一部女子の方が熱狂的である。


「先生、トイレ行ってもいいですか?」

「ああ、行っていい」


 俺はやはり英語の授業をエスケープすることにした。文学部の部室にでも行くか。文学部のドアを開けると。宮前先生が文庫本を読んでいる。


「先生も休養ですか?」

「ああ、定期的に文庫本を読んでおかないと調子が出なくてな」


 なるほど、活字中毒か。その存在は知っていたが目の前にするのは初めてだ。

あれ?宮前先生は面識があるのだから初めてではないか。

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