大人気ランドに負けない風景

「あー。どこだよ。ネズミの国以上のプロポーズスポットなんて」

 どこだろうか?

 告白スポット特集なんてものはみつからず、夜景のきれいなスポットで探す。

 確かにここならいいかもしれない。

 観覧車の眺めよりもはるか上の階でディナー。

 知名度はないが、落ち着いた大人が宿泊できるホテルだ。何かにつけての記念にも来やすそうな位置と価格設定だ。


 ここなら大丈夫だろう。

 予約をしようとしてハタと気づく。

 さて、場面は整った。

 その次は婚約指輪だ。


 はたとヤバいことに気づいた。

 指輪のサイズなんて知らない。


 退社後、そわそわしていたら彼女はクスリと笑う。


「何ですかぁ? ちらちら手元みてきて……もしかして指輪のサイズがわからないとかですか」

「なんでわかんだよ」

「そうですねぇ。私つけたことがないんですよね」

「え? 苦手なのか?」

「違いますよ」

「ジンクス知りません?」

「指輪を付けた人たちは別れるって」

「つけてなくても別れてきたんだろ」


「……でも、その時は真剣に好きでしたから。噂でもそういわれると気になってしてこなかったんです」

「でも本当に大人の約束事だから平気だよ」

「そうですね」

 笑ってくれたのがうれしい。

「今度、はかりに行きましょうか」

「ああ」

 時間を見つけてといったが、社会人の因果なのか、ジュエリーショップに行こうとしても営業時間内に行けない。

「うちの会社ってブラックなんじゃ……」

「さすがに、1か月も2人とも営業時間に間に合わないのはブラックだよな」

 2人してため息をつくしかなかった。




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