WORLD ARTIST

Norton Ⅰ

第1話 始まりはダンス教室。

 幼稚園から帰宅後、バッグを置いてお菓子とジュースで一服。

「英ちゃん。ダンス教室のバッグ用意しといたよ。5時半には出るよ。」ママが言う。

「わかったー、それまでSwitchでポケモンやってるねー。」

「あ、ダンス教室辰巳の先生からこの前子役のオーディションの話あったけど、受けてみる?」

「んー、ちょっとめんどくさいけど、面白いのかな。」

「うーん、経験にはなるかもね。」

「けーけんかぁ。」

「あんまり、わかんないよね」笑いながらママは答えた。

「うん、まだ生まれて数年だもん。したことある経験ない。」

「その言い方は生まれて数年には思えない。」ママは笑う。

 5時半ダンス教室に向かう。

「今なんのダンス練習してるの?」

「小さい子でもできるの。」

「そう。(まぁ、そりゃ小さいからね)」

「あ、でもダンス教室の先生が体操教室の先生と友達らしくてよく体操教室にも連れてってもらってる。」

「それ先生から聞いたことある。体操教室と合同で体操教室の人もダンス教室来るんでしょ?」

「あの、よくくる子たち体操教室の子か。」

「そうだよ。(なんだと思ってたの?)

「なんか、技できるの?」

「えー、あ、バク転の練習よくする。バク宙も少し。」

「すごいじゃん!」

「まぁね。なんか、やってみたら意外とできた。」

ダンス教室到着。

「着いたよ。行っておいで。」

「はーい。」

ガチャン。

「こんにちはー。お願いしまーす。」

「お、英伝君。来たね。先に着替えて、柔軟してようか。」

「はーい。」

次々に他の子たちもレッスンにやって来る。

「せんせー、おねがいしまーす。」

「おう、慶樹君。こんにちは。」

「こんちはー。」

「先生こんにちはー。」

「莉愛ちゃんこんにちは。」

「こんちゃー。」

「はーい。魁斗君こんにちは。」

レッスン初め。

パチパチトントン。先生が手拍子やリズムを取る。

「慶樹くん。ストーリークリアした?」

「全クリしたよ。夏に映画館行って配布されるのをもらえばとりあえずコンプリート。」

「僕もあとちょっとだけど、リーグに苦戦してるんだ。」

「リーグはパパにクリアしてもらった。」

「それ、ずるくない?」つい笑っちゃった。

「クリアしちゃえばいいの。」

「そういうもの?」

「でも、自分でやりながらサポートしてもらったんだよ?」

「それなら任せっきりじゃないね。」

「うん。」

「魁斗くんは?」

「別のゲームしてる。」

「え、なに?」

「モンスター狩るやつ。」

「…ポケモン狩るの?」

「あれは、狩るじゃなくて捕まえるやつね。」

「あ、そっか、何やってんの?」

「モンハン。」

「テレビでやってるやつ?」

「うん。兄ちゃんのやつ。」

「へー。面白い?」

「そこそこかな。」

「ふーん。」

「はーい、おしゃべりやめだよー。」

「はーい。」

シュッタッタ、シュッタッタ、パンパンパチパチトントンタッ。

音楽が止まって、レッスン終了。毎回1時間のレッスン時間。

 レッスン終了をして、ストレッチをする。ストレッチが終わって先生が話し始める。

「皆近いうちに子役オーディションがあるけど、受けたい人いるかな?ママたちにはもう話してあるんだけど。先生の知り合いの人が関係者だから受けたい人紹介しとくよ。また、先生に言ってね。」

着替え中、慶樹君が「英伝君、オーディション受けない?CMの子みたいにテレビ出れるよ。」

「受かったらね。今YouTubeもあるし、テレビは絶対じゃないよ。」

「そうかもね。魁斗君は受けるらしいよ。」

「ふーん。」

皆が続々と帰っていく。先生から「英伝君、オーディション受けてみない?」

「どっちでも良いです。」

「そうか、わかった。」

ママが来た。「先生、いつも、ありがとうございます。」

「いえいえ、英伝君、先に車に乗ってな。ママとお話しがあるから。」

「はーい。」

車に乗る。

「お母さん、英伝君、僕たちではいけなかったところに行けると思うんです。なのでオーディションを受けてみてほしいんです。」

「あの子の意向もありますし。」

「わかってます。一度やってみて続けたいか続けたくないかで本人に任せてみるって方向でお願いできませんか。」

「わかりました。」

 帰宅中、ご飯の話をして家に着いてご飯を食べてお風呂に入り、溜まってたアニメを見る。パパが帰ってきた。

「ただいまー。」

「おかえりー。」

「あー起きてた。アニメ見てるんだ。早く寝なよー。」

「はーい。」

アニメを見終わって、トイレに行ってベッドルームに行き、そのまま寝た。


 レッスン教室の話について。

「パパ、英伝に子役オーディション受けさせてみようかなと思うんだけど。」

「やらせてみればいいんじゃない?やってみてやりたいかどうか本人に任せれば良いし。あ、でも小学校のお受験もあるか、まぁ時間はあるし、子役の経験がプラスになるかもしれないから良いんじゃない?」

「そうね。」

「寝ようか。」


 朝、身支度を整えて幼稚園バスが来るのを待つ。バスが来た。

「英伝君、おはようございます。」先生はニコニコ笑っている。

「おはようございます。」

バスに乗って、幼稚園へ向かい幼稚園で1日を過ごし、帰宅してちょっと休憩してお受験の塾に向かう。塾に着いて、授業を受ける。家に帰って、いつものように過ごし、テレビを見てるとママから話をされた。

「英ちゃん、オーディション受けようよ。」

「えー、ドラマ出るの?」

「お受験にも役に立つかもしれないし、ゲームかお小遣いあげるよ?」

「うーん、まぁ、じゃあ、わかった。」

「受ける?」

「うん。」

「よし。」

 後日。

プルルルプルルル。

「はい、もしもし。」

「あ、辰巳先生、こんにちは。」

「あ、英伝君のお母さんですか。」

「はい。あの、英伝オーディション受けることにしました。」

「ホントですか!?いやー、ありがとうございます。彼の才能なら間違いなしです。」

「当日、会場に一緒に行くので場所と日程を教えてください。」

「はい!」

 


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