第2話 空蝉の君とのお話5
あれから数日たった。
「姫宮さま、帝から氷が届いております。」
父から氷が届いたどうなので、おやつに
そう。兄が行動を起こすのである。もう一通私は文を書いた。
数日後、兄が訪ねてきた。さあ、話してもらおう。
「紀伊守が任国へ行っていたそうですが、もしや・・・」
そこで言葉を切り兄を待つ。しばらくの沈黙のあと、兄は
「紀伊守の館には行ったよ。」
「あら、それにしては浮かない顔でございますわね。」
「ああ。うまく逃げられてしまった。」
「まあ。今度はどのように逃げられてしまったのです?」
「小君の策が悪かったんだ。」
「とは?」
「はあ・・・」
兄はため息をついて話し始めた。天下の光源氏のため息だ。私以外の人はみな、心動かされるのだろう。
「あの日、小君から、紀伊守が任国へ下ったと聞き、夕闇に紛れて小君の車で屋敷へ向かったんだ。」
「あら、よく考えましたわね。それなら目立ちませんね。」
「そうなんだよ。子供の車だと、屋敷の人も何も気にせず通してくれてすんなり入れたんだ。東の
「そこまでは順調ですわね。」
「まあまあかな。小君がいつもより締め切っている
「あら、困りましたわね。」
「そうなんだ。だけどとりあえず、見たいなと思って
「見れましたの?」
「ああ。灯りが近くによく見れたよ。」
「どんな方でしたの?」
「思っていた通り小柄な方だったよ。
「そ、そうですの。」
こ、細かい。
「義理の娘のほうは、白い
義理の娘(
「あら?西の対の方のほうがお気に召しましたの?」
「嫌いではないし、興味もあった。だが・・・」
「かの方(
「ああ。そうだったんだ。」
「それで、どうされましたの?」
「小君が出てきたから見るのをやめたよ。」
今更・・・
「帰られましたの?」
「まさか。小君にも、帰らせるつもりか?と聞くと、娘が帰ったら案内するといわれて待ってたんだ。」
「じゃあ、しばらくお待ちになりましたのね。」
「うん。でも、しばらく待っても娘は帰らなかったんだ。」
「あら、それでは帰るしかございませんわね。」
「いや、でも帰るわけにはいかないと思い、小君にどうにかしろと言ったんだ。」
小君、大変だったね。と思いながら先をうながした。
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