★調査報告(ここまでのまとめ)★人外が5人も集まればNTRの調査ぐらい出来るらしい

※最早…次回予告は意味無いですね…


 ここは根多家という家の居間…この家には人を超越した者が5人住んでいる。

 かの者たちに日本最大の秘密組織・不知火のお館代理の定満千代は調査依頼していた。

 この国を衰退に導くドラッグについて…

 そして千代は過去に遡れば、かの者たちを名付けた事がある…


【NTR相談探偵社(女性スタッフ対応可)】


…と。


 一昔前に世界を震撼させる騒ぎを起こし、世界最強の一角と恐れられる者達…しかし、今は探偵社を潰し、なるべく静かに暮らしているが…動かざること亀頭の如しと言われた根多家の家長は、巷で流行しているドラッグにだけは怒りを露わにしていた…

 


 そこで家長…根多博之が口を開く。

「それぞれ調査報告を千代さんに頼む…まずは暗転、上名、下音から…」


 全身黒のロリータファッションで目の下の隈が目立つのは暗転、彼女は虫を繰り、ありとあらゆる場所に虫を忍ばせ情報を得る。


 そして真面目を絵に描いた様な上名、ラフなBガール風ファッションの下音、顔がほぼ同じ双子の2人が暗転の左右に立つ。

 この双子…単独では、離れていてもお互いの心を繫げるだけだが、二人揃うと他人の心を読み取る事が出来る。


 3人が緊張の面持ちで不知火の千代の前へ、真ん中に座る暗転が調査を読み上げた。


「まずワラシたちの物理と心理諜報と聞き込みによる4人の過去データと関係性に関する報告です」



――――――――――――――――――――――――


 ワラシ、暗転と、双子は恋愛なんてした事無いのに何故か高校生の恋愛調査をさせられた。

 今から語るのはその調査結果である。


 昨年7月まで、高校2年の多方面蘭子(以下、蘭子)と付き合っていた同学年の犬山太郎(以下、太郎)だが、太郎は同学年の図浦シア(以下、シア)の事を以前から気にかけていた。

 そして、そのシアは太郎の気持ち以上の恋愛感情を持っていたようだ。


 しかしその7月、シアはモデルやら芸能活動が活発になり、日常生活や将来性によるすれ違いが生まれ、太郎とシアは思い出の動物園にて、距離を取る事になる。

 その時期、太郎はシアを強く意識していた事にやっと気付いたようだが、もう遅かった。

 その影響で他の男達と性行為をしていた蘭子とも仮のお付き合いだったらしく、結局蘭子とは別れた。


 この太郎という男、一見幼馴染達にモテているが…

 隣に住む昔馴染み、蘭子は自分に好意は感じるが、彼女は肉体的に奔放で太郎自身は恋愛感情を持てず。

 片やもう一人の太郎に好意を持つ幼馴染、シアは才能や立場の違いでシアの取り巻き迫害され、太郎自身少なからず恋愛感情があるものの結局は独りになる事を選んだ。


 その後、太郎がフリーになった事により、2歳年下の義理の妹、犬山恵(以下、メグミ)が義兄である太郎と距離を縮めようとする。


 しかし我々の心理調査のよると、その心は恋する気持ちと物心つく頃には距離の離れた父親への感情や過剰な性欲、そして家族愛の混ざった歪なものだった。

 結局、関係性が壊れる事を恐れ気持ちを押し込んでいる。


 同時期にシアの妹、同じく2学年下の図浦サラ(以下、サラ)も九州から神奈川に転入する為この街にやってきた。

 サラは太郎の事を以前から知っていた様で、太郎の働いている仕事場に押しかけ無理矢理仲を深めた。

 彼女もまた、本人は過去の思い出やストーカーから助けられた事が惚れたきっかけだと思っているが、我々の調査では…本質はシアという届かない姉と、その姉が好意を寄せる男だからこそ憧れるという劣等感と優越感の混ざる歪なものだった。


 この4人の女、そして太郎との関係は1人の男が傍から見ればモテるだけに見えるがどれも先のなさそうな…


 そして昨年の年末年始、そして3月にかけてまではそれぞれの歪んだアプローチ合戦が激化していたが、問題が起こった。


「ここからが我々の本来の目的ですね…調査の結果、仮想敵対組織【大聖堂】への取っ掛かりが見えた時期です…セクシャルドラッグ“ラヴィ”の出元リストについてですが…」


 いよいよとワラシが声を上げるが、依頼主の千代から待ったがかかる。


「待て、ドラッグとか大聖堂とかの話は良いから、そういうのお前等に期待してないから…お前等に期待しているのは潰す時の暴力だけ、それより4人と太郎の恋愛模様はどうなったの?」


「え?えぇ!?…あ、はい…よ、4人はですね…」


 まず、ランコ。

 蘭子は太郎の事を諦めた…いつか戻ってくると思っていた。それはただの願望であり夢であった。

 2年から3年に上がり、自分を磨く内に、如何に自分の都合の良い夢を見ていたか…また、世界は自分が思っているより自分に都合良く動かず興味も無い。

 要は客観視出来るようになった。

 すると太郎への見方も変わった。

 太郎は未だに止まっている事を知る。

 だから蘭子は支える事にした、ずっと隣に住み、親も認める公認のカップルに一度はなった。

 太郎が自分を本気で好きにならなかったから、今のこの関係が作れた。

 いつかは自分も誰かに恋をして、太郎に祝福してもらおう…それまでは太郎を支える事にした。

 そう言いながらも太郎と会えると言いながら隣のバイク屋の鬼頭とやらの所に入り浸り、心惹かれてるようにみえる。

 コレで普通に付き合ったらどうなの?

 ちなみに私、暗転はバイク屋の常連客を装って潜入している。


 メグミは更に訳がわからなかった。

 ラッキースケベが多発し、家族愛を持とうにもエロい展開になり色々ごちゃ混ぜになっている。

 ただ、サラと同じクラスになり太郎の事を気に入っているという点で仲良くなり、今はその才能を認め、もしもサラなら太郎と付き合っても…と上から目線で考えている。

 メグミは心の奥底で、付き合いの長さは認めざる得ないが、それでも太郎か辛い気持ちになる幼馴染2人とは引き離したいと思っているからだ。

 ちなみにこの女、やたら防犯武器の使い方が上手く、何かの異能持ちの疑いかある為、私、暗転が接触中。

 

 そしてシア、何やらサラと太郎がデートしている所を見て狂いそうになったり、夜中に太郎の家に忍び込んだり奇っ怪な行動をしていたが、新学期の始まる手前で芸名のシアラという名前はピークを迎える。

 同時期に所属事務所にドラッグが蔓延、仕事と称した映画の披露試写会パーティーで事務所のパトロンからドラッグを盛られ、そこから最近までパトロンの愛人になっていたという噂が出ていた。

 実際はパーティーの日の前日、事務所を辞めると言い出したのでドラッグを大量に盛られ、結局、意識が不明瞭のまま夜は大人の玩具に、昼は芸能活動を続けていた。 

 一時期は人間性を失い欠ける程…人間性とは彼女にとって本能や自然のままに生きる事であり、仮面をつけたような優等生を演じる事しか出来なくなっていた。

 もはや自分が無いと言える程まで重度な状態であった。

 しかし過去にドラッグの名前に付くほどセクシャルドラッグ“ラヴィ”と関係のある元・大聖堂【賢聖ラフィエル】こと、ラヴィエラと知り合いである幸運と、本人の強い肉体もあり現在はドラッグがほぼ抜けた状態まで来ているが…見る限り調査開始直後の元の動物的な純粋な心は失われている。


 それでも太郎の事を思う気持ちと、妹に何もしてやれなかった後悔を、何かを取り戻そうと、するかのごとく考え行動していると思われる。

 

 しかしまぁ…特に先日、シアにタツ姉さんとイクエさんが接触した結果…余計、頭と状況が拗れた様にみえる。

 タツさんは敢えて好きな人がいちゃついている所を見せて脳破壊しようとするし、イクエさんの多量の情報から割り出す未来予知を無理矢理脳内に流し込み脳破壊しようとする…正直、シアが可哀想と思った。


 洗脳のエキスパート、妄想変態ヒロイン・イクエは不満を口にする。

「は?私が悪いみたいなのはおかしい、私は道を示しただけ、悪いのは淫乱尻穴クソ漏らしゴリラ、間違いなく」


 淫乱尻穴クソ漏らしゴリラ、タツも不満を口にする。

「は?どう考えても嘘の不幸未来みたいなのをシャーに教え込んだ淫乱クソ眼鏡変態が悪い、私はメンタルトレーニングを施したのみ!なのに博之さんが折檻した!断固抗議する…眼鏡に…」


 最早、不幸な恋愛小説な話、しかも自分の興味のあるNTR展開となり、続きが気になるの小説家気取りの千代からも不満が飛ぶ。

「どっちもろくなもんじゃないし、どうでも良いけど大聖堂とか出すな、うち(不知火)が囲ってる堕天したレヴィだろ?話が見えなくなるから恋愛模様だけ言え。後、クソと変態は喋るな」

 

「は、はぁ…では最後にサラですが…この子が一番やっかいですね…ここに関わる時は終わる時だと思います」


 現状、一番酷い事になっているのがサラという少女だ。

 彼女は高校に入る前から、高校受験に影響が出ない程度にネット上でやり取りをしていたアーティストがいる。ポプラという中年…と呼ぶには若いが、既に中規模のデザイン事務所を構えるアーティスト…その男に気に入られる。

 転校が決まり都心に来てから…デザイン事務所で本格的に仕事を始めていた。

 

 サラ自身も、社長であり自分の師匠であるポプラに尊敬の念を抱いており、彼のやっている事に何も疑問に思わなかった。


 それが例え人として外れた行為であっても…しかし普通のドラッグであれば…いや、もう少し世間を知っていれば…気付けたであろう話。

 ドラッグの“ラヴィ”は血液、粘膜、そして気化しての呼吸器…どの方法でも接種可能で、ポプラのデザイン事務所ではアロマという事で仕事場にラヴィが蔓延していた。

 事務所の人間の様子がおかしい事に気付かなかったのは、サラが他人を見てこなかったから。

 

 そしてラヴィの恐ろしい所…キマっている時の凄まじい快楽、記憶が曖昧になり後から正確な情報を思い出せない。

 ただ、ラヴィが欲しくなる。そしてラヴィをしている者と性行為をすると同じ快楽を享有出来る。

 記憶の欠如と強い快楽により、おかしな事をしているという状況に対して、常識的な判断が出来ないし振り返る事も出来ない。


 故に後悔も起きない、シアの様におかしくなった後に、違和感を感じれるのは極稀、シアもドラッグ自体には疑問を感じていない…ただ、不貞行為と太郎への気持ちが後悔をよんだだけ。


 ドラッグを持ち込んでいるポプラの愛人、まぁ大聖堂の手のものなのだが、千代さんが睨むのでその話は置いといて…その愛人がサラに目を付けた。

 新進気鋭のデザイナー、見る人が見れば幼いながら将来は姉のシアラに近付くであろう容姿、そして常識知らずの人見知り。

 人形にするには最高の素材であった。

 彼女を軸に“ラヴィ”を日本国内で拡げる事を愛人は計画した。人が集まる所に拡大経路がある。

 

 サラは高校入学のお祝いという事で、入学してから最初の事務所の顔出しパーティーであっさりと身体を差し出した。

 少しづつ、まだ幼い中学生のサラを侵していたドラッグのラヴィ…

 ドラッグの蔓延しているキメセクパーティー…そこで行われる自己啓発…これこそがアートであり…サラの様な芸術に生きる者の道だと…一流のアーティストにしか入れない境界、サラも仲間入りしたと周りは語る。

 師であるポプラも、事務所の先輩達も口を揃えて言った。サラもその言葉に共感し受け入れた。

 正確には受け入れるという選択しか脳が動かない。


 ラヴィ…このドラッグは…自己の強い強靭な意思や偏った性癖、性に強いこだわりを持つ様な者、性に対して達観している様な者には効き目が薄い。

 つまり変態尻穴糞漏らしみたいな偏った珍獣には効果がない。

 逆に人を知らず、曖昧な愛情に飢え、自己評価の低く性に関心の無い者には深く入り込み常識が改変される。


 もうサラという少女は…自分の力では引き返せない。悪意は無く、まるで自分が正義であり他者に対しても正しい事の様に、間違え続ける。

 海でデートしたいと言いながら大人のパーティーに出席し、仕事が忙しくなってきたと言いながら…

 息をするように太郎の事を好きだと言いながら、仕事場では乱交し、キメセクを繰り返すだろう。

 仕方ないのだ…彼女に取って性行為とは、愛する人とだけする愛情表現や、大切な子供を授かる行為とは思っていないのだから…


 

 千代さんが渋い顔で馬鹿みたいな事を言った。


「つまりサラは事務所でズッコンバッコンNTRか?いや、NTRじゃないな。ただの嘘つき淫乱低知能馬鹿か…個人的には禊を終えたサラエンド希望だ…許されエンドあるべきだ…まあ、これからも調査よろしく。」


 サラエンド…?許され?

 そこで先日、海でシアに謎のメントレを強要したタツが呆れ顔で言った。


「クソスライム(千代)はまたそれか…まず自分の罪を禊げよ…しかしタロァマン、好意のある知り合いメッチャ寝取られてるじゃん…知ってる人間だけで4分の3寝取られるって凄くね?全員タロァマンが好きだって言いながら家族(メグミ)以外の奴は全員違う奴としてるんだろ?しかも1人はケツ、んで妹は玩具突っ込んだと…コイツラめちゃくちゃやんけ!?」


 全員お前が言うなと思ったが、確かにメチャクチャだった。

 話がおかしくなってきたので調査報告を〆る。


「千代さん、い、以上で説明終わりですぅ…一応、ワラシ、暗転はこのままメグミやら蘭子やらの周りの潜入捜査を続けますが…正直、デザイン事務所にイクエさんが突っ込んだりタツさんがシアの所に突っ込んだり、変装してまで潜入している身としては本気でやめてほしいのですが…そもそもイクエさんは何を見せたんですか?」


 イクエは答えた。指を一本、二本と立てていきながら…


「一つは知、頭を使わなければ避けられず起こるべき現実。二つ目は体、行動し他人に接しなければ必ず起こる結果。三つ、自分の事しか考えなければ向こうから訪れる未来…つまり心。

 見たいんだったら見せてあげるけど?

 まぁ…我らが主、ネタキュンの戒に従うなら…セオリー無視は根多君のセオリー?とにかく私は私で好きなようにさせてもらいますから…」



「最初のは難しいこと言ってるようで意味はないし、最後のは俺の部屋にある料理漫画のセリフだろ…好きなようにやったら戒めでも何でもないし。とにかく千代さん、この2人は俺、コントロール出来ないんでよろしくお願いします…」


「タツとイクエ…知は虫以下、技は歪み、体というか戦闘力だけは異様に高いのにコントロール出来ないんじゃ駄目だろコレ…」


 タツさんとイクエさんが目を見開き、匙を投げたヒロ兄様を見る。

 そして千代さんの返事に対して、タツさんは鷹のように睨み、イクエさんは蔑んだ濁った目で見る。


「プルプルクソスライムが…」「床○ナ専用クソ犬が…」


「お前等、私が依頼者って忘れているだろ…」


 ヒロ兄様が頭を抱えながら言った。


「2人共、とにかくその5人の恋愛模様に関しては口を出すな、当人の問題だからな。千代さん、ドラッグを回してる大聖堂は不知火側が調整したり調べてるみたいだけど、限度超えていると判断したら片っ端から。タツとイクエも分かってるよな?既に学生達に手を出している時点で…まぁお館様によろしく言っといて下さい」


 椅子に座っているヒロ兄様の足が急に痙攣したと思ったが…よく見ると…海で見た日本人の男と外国人の女が足の下で土下座していた。

 そして分からせると言った瞬間…震え始めた。

 千代さんは「はぁ…この二人にしてヒロかぁ…」と、溜息をついた。


 個人的には…ヒロ兄様と一緒。この国、そしてこの世界を愛している…

 そしてこの世界で…学生達は普通の青春を送るべきだ。

 まぁ、学生達よ…青春するといいと思う。

 ドラッグに関しては私達大人が何とかすべき問題だと思うから。





※ちょっと順番を置き換えようと思います、そしてコメント返したいと思います、そして皆様を愛してますよ♥

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