シアと馬鹿のトラウマ・フラッシュバック…前編〜いつかきっとでは無く今、問題が起きる

 私はTに拉致られたが、やっと帰ってきた。

 結局恋愛マスターTとは何だったのか?

 一つ確か事は、私は変装してタロァにウ○コかけただけ…

 もう夜も遅い…明日も仕事だ…もしかしたら夢だったかも知れないしなあ…

 私は寝袋で丸まりながら今日の事を考える…色々思うところはあるが…ふと、思う。


「あの人、恋愛マスターじゃなくない!?」


 疑うには十分な理由であ『ガララララララーっ!』


『シャァーッ!逃げたなキサマァッ!』


 窓ガラスが突然開いたと思ったらさっきまで一緒にいて、何処かにフラフラ行ったと思った恋愛マスターTが帰ってきた…


「フゥフゥ…この歳になってもまだ拷問をかけるのはどうなんだ!?子供もいる淑女におしっこかけて電気流した!電線よりもスタンガンとか!?タツじゃないと言ってるのにタツ認定して拷問するのはとうなんだ!?タツというのはいつもあんな拷問を!?タツじゃないタツはタツをTと勘違いしてタツのように扱うのはどうなんだ!?私はタツだぞ!?あ、しまった!」


 何言ってんのか全然分からない…

 何となく、この人はタツなんだろう…よく見ればさっきまで着ていた全身タイツみたいなのはボロボロ、アイドル(じゃないけど)と知り合いになりたいという理由で私に接近してきたらしい人…多分、自らの思考すらマスターしてないTがフラフラしながら私を指差ししてきた…


「ハァハァ…とりあえず安全確認…じゃねぇや…今日がステップ1…タロマ○コに会いに行く…明日はステップ2…哀れ妹風ビッチとの海デートに潜入する…分かったか!?」


「明日は仕事ですが」


「フウフウふ〜…………分かった…帰りにお前の仕事を破壊してくる……それじゃ、また明日」


「いや、ちょっと…待っ…破壊?」


 窓から出ていったT…破壊って何?明日は何をやるつもりなの?

 とりあえずしっかり寝たほうが良いような気がしたから素早く寝た…

 それにしても…タロァ、格好良くなってたなぁ…

 祝福しようと思ってたけど…本当にサラと付き合ってたら耐えられるかなぁ…



 次の日の朝…事務所から連絡が入った…


『昨晩、事務所に強盗らしきものが入りたてこんでいますので、今日の仕事【リアライズ】の撮影ですが直接連絡して向かって下さい。

 ちなみに今、警察が来ていますが、犯行声明の様な手紙がおいてありました。

【シャーは大変なモノを盗んでいきました、それはアナタの事務所です。請求は千代亭へ】

 この件で何か心当たりがありましたら私に連絡下さい』


 添付された写真では人型に壊れた鉄のドア、カラフルな色に塗られた部屋に各所に【ペンキ塗りたて】の紙、社長の趣味で集めた調度品や机等が全て曲げられている…まるで力自慢の動物か何かに荒らされた様な…それと怪文書の…シャー…


 バタン!


「おはよう!オレ、藤原の朝は早い、何故なら現場監督だから…あ、しまっ…てない、旧姓だから問題無い」

 

「おはようございます…じゃなくて、事務所に何かしたのってTさんですか?…え?あ!イヤッ!?それイヤッ!」


 人の話を一切聞かず、朝からいきなりあの服を着させられそうになったので抵抗したが、Tの驚く程強い力で無理矢理着させられた。

 あの服とは意味不明の身体のラインが浮きまくる赤色の変なサイバー忍者スーツだ…


「潜入には?くノ一1番!対話は2番!賛美の言葉は現場で指示してんのにジジイ共が繰り返す『タッチャンはおもしれぇなぁ』という鳴き声!まぁカステラと一緒だな!」


「いや、馬鹿にされてますし、対話だけで良くないですか?」


 私は人類でありカステラでは無くて、人類ならなら対話すべきでは…


「不満と悪口ばっかりだな…糞ネコにそっくりだわ…そんなんだとホームタロォンをNTR出来ないぞ?ほら、外にスーパー根多号が止めてある、さぁ乗っていいぞ!」


 ヘンテコな格好をさせられ外に連れ出される。

 外に出ると…そこには【根多建設】と書いてある現場作業をするような荷物か積まれた、ボコボコになった軽トラの助手席のドアが開いていた…正気ですか!?


「これに乗る…?何で?ですか…?」


「お前はいちいち質問するのな…毎回説明しないといけないのか…悪いのはその口か?」


 Tがボール型の口枷と先日のエナメルマスクを取り出しので黙って従った。アレを付けると一切私の意志が伝わらなくなるし…

 私も最近、既に誕生日を過ぎていたので仕事ついでに取った免許を持っているが、黙っておこう。


キュキュキュッガララガラガラガラガラッ!


 明らかに何か壊れているであろうエンジン音…正面は少し行くと崖があり行き止まりなのでバックするんだろう…ドヤ顔で助手席に左手を添え、ハンドルに右手を起き、後ろを見て格好付けながらバックをしようとするT。


「オレの豆腐屋を超えるドライビングテクニック、見せてやるよ」


ブォオンガラガラがラララ!

「ギャアアアアアアアアアッッッ!?!?」


ギギギギィィィィぃッッッ!!!

「ウオオオおおおィィ!?」


 何と言えば良いのだろう。

 まず真後ろを見ていたTだが、車が全速力で前進したのだ…崖に向かって…

 変な忍者スーツと一体化しているハイヒールブーツでは踏み込めないというか…パニックになった私はTの足元に潜り込み全力で足をどかし、両手でブレーキを押した。パニックになったTも私の首根っこを掴み引き上げた。

 だが私も死にたくない。バスケのディフェンスの如く運転席に座っているTの上に座り、死にものぐるいでブーツの先でブレーキを押した。


 正直、ちょっと漏れた…


「馬鹿じゃないですかっ!?馬鹿ですか!?この馬鹿!バックしてないじゃないですかッ!?」


「そんなに怒るなよ、ちょっと間違えたぐらいで…冗談だよ、冗談…オレもちょっとだけビックリしたけどさぁ…」


 何故車がボコボコなのかわかった気がした…

 その後、普通にバックしたが素人が見ても下手な運転だ、才能が無いんだろうな…

 運転中にオレ今、馬鹿って何回言われた?みたいな事をボソボソ言うT。

 前途多難な海への出発だった…違う、忘れてた。


「すいません、今日のクライアントに連絡しても良いですか?」


 と、言ったものの携帯忘れた…


「格好良い言葉を言うなよ、何だよそれ。あぁ外人の奴な。言っといたよオレが。今日シャー借りるって。土産話楽しみにしてるって言ってたな」

 

 今日こそ逃げ道を一発で破壊したレビィが憎いと思った日は無い。


 そして数回事故で死ぬかと思ったが、何とか2時間かけて海に着いた…このスーツ…薄いから暑くは無いんだけど…そのかわり裸でいるみたいで本当に辛い…

 

「さて、NTRに必要なのは1に諜報、2に策謀、3、4がなくて5に腕力と言った所でな?…」


 Tの意味不明な話を聞いていても意味が無い、何故タロァもいない昼の海、人の出入りが多い有名な海岸で、馬鹿みたいな格好で立っているのか…アイマスクと髪型変えているから気付かないと思ったけど…私も大きい方だし、Tは更にデカいので目立つ。

 二人して立っていると奇異の目が凄い。目立ちたくなく無いなぁ…


「Tさん?タロァはこういう人の多いところはあまり好きではないと思います。それにジロジロ見られてキツイです。移動しませんか?」


 Tが腕を組んで…何かを思案している…


「オレも…恥ずかしかったが…お、お前を試していたのだ。良く分かったな…合格だ…褒めて使わす…」


 何言ってんだこの人…帰りたい。

 そして一つ気づいた…この人は多分、コミュニケーション能力が著しく低い…そして頭も…悪い…

 とりあえず人の少なそうな海岸に車で移動しながら、疑問に思っていた事を聞いた。


「そういえばNTR?寝取りですかね?それが得意って自分で言ってましたが…Tさんはご結婚された…その旦那さん?を誰かから寝取ったんですか?」


 まぁ寝取ってないと全然自己紹介と話が違くなるけども…私の所に来た意味もあまり無くなるし…


「ほう?よく聞いた、そうだなぁ…アレは…寝取ったのかなぁ…」


 んん?何、寝取ったのかなぁって!?自分で言っといてナニそれ?頭大丈夫なの?


「オレと今の旦那の馴れ初め…ある所に男2人女2人の幼馴染4人組がいてな。オレの旦那はオレとは別の、もう一人の幼馴染、通称イカと付き合ってたんだよ。ある日な?イカがコソコソ別の男の幼馴染に会ってたのよ、旦那に内緒で隠れてな?んで、ヒロとオレはその合いびき部屋で偶然合流してしまってな?一緒に凸したんだ、そしたらズッコンバッコンやってた。イカとネトが激しくな…それを2人で覗いたんだよ…まぁ、つまりヒロの彼女のイカの浮気現場に遭遇したんだなぁ…ヒロは泣いてたよ、辛い悲しいわんわんわんと…そこへ慰め女、ヒロ喜ばせ組ナンバーワン、犬の警察官より出来るこのオレが…」


 急にハードな話をぶっこんできました…とりあえず旦那さんはヒロっていう人なのは分かったけど、どんどん個人名が漏れるあたり、プライバシーも何も無いし分かりづらい…


「んで、オレはウ○コをしたかったんだけど、ヒロを1人にしておけなかった…だから馬鹿が盛ってる横でオレはウンコを死ぬ程我慢したんだ。そしたらヒロがスマホで撮影を開始してな…お前と違ってオレはウ○コを全力で男にかけるような真似はしなかったよ…耐えて…アイカの家の庭で出した。それが始まりだったな」


「それ、聞かなきゃだめですか?もう良いです。」


 その始まりは全然恋愛と関係ないし、嫌な予感しかしないし、この人の目線ではまともな情報は無さそうだ。

 後、今の所登場人物にまともな人は一人もいないと思った。


「厶!?お前みたいな態度の後輩もいてな、最初はオレの弟子だったのに気付いたらなぁ…自分のクソを直接、男の鼻にねじ込める様に尻穴にホースみたいなの突っ込むようになっちまった…お前もオレに対する態度を改めないと、いつか、あーなるのかなぁ…バレンタインの時なんて、チョコレート浣腸尻穴逆噴射して…ウォオオッ!?」


 私はそんな狂人じみた事しない、一緒にいるとそんな事になるなら、なるべく距離を…と、思ったらいきなりデカい声を出す…今度は何なんだろう?


「タロァマンだ!いたぞ!?…ほ、良かった…」


 ほっ…て、アンタ…不安になってたのか?

 良く見えるなってぐらいの距離…人気の少ない砂浜でタロァとサラが2人でいた。

 もう昼過ぎなのか…2人のご飯の残骸と…手を繋いで…サラは絵を描いている…タロァはサラと遠くを交互に見ながらお話している…


「何で…私…あそこに…いないんだろう…」


 世間からは女神と言われ、そのふてぶてしさは全てを手に入れるという傲慢からの態度と世間からは言われたが…


 結局、私…シアという女は何も手に入れられないのかも知れない…勇気が無く、今も羨ましそうに見ているだけ…ショーケースの人形を横に見ながら、「サラにご本を買ってあげて」と、我慢していた子供の時と変わらない…


 私は…涙を堪えながらずっと見ていた…だって、自分の蒔いた、種だから…


「ヤバいな…シャーはガン見だけど、全く関係無い第三者のカップルの映像って死ぬほどつまらないな…双子はどうせ家にいんだよな…何か面白いまとめサイト無いか聞こうかな…」


 T…ここでネットサーフィン、しかも面白いサイト見るぐらいなら、どっか行ってくれないかな…


 ……私が心あらずの放心状態でずっと見ていると、気付けば後ろでTが日本人の男、外国人の女の二人組と話していた。

 

「貴女が何者だか知りませんが、その姉妹に関わるのはやめてもらえませんか?どこの組織か知りませんがこの国の組織に関わる気は無いので…今ならまだお互い不干渉で済みますよ?」


「ちょっと何言ってるか分からない、オレは乳首で肉も温められない旦那が死んだと思ってロマンチックぶち上げていたが、生きててマジで蒸発しただけと気付き発狂しかけた少年のようなおっぱいの女の娘、藤原の中のイカした女、だーれだ?」


「ナンダヨコイツ、ニホンゴ、デキナイノ?(笑)」


 外国人の女に笑われているT…何やってんの?

 私のこの何とも複雑な傷心した気持ちを返して欲しい…


「ヒイラギ…コイツ、ダメダ、ケソウ。ナンダッタラ、コノクニノソシキモ、ケソウ。ワタシニマカセロ」


「アンシェ、駄目ですよ?この国は棺の国のアレがいるらしいので…目立つのは良くないですよ…」


 外国人の女の周りに不思議な色の蒸気が上がり、目と肩にペイズリーに似た模様が浮かんでいた。

 何だか嫌な気配が…悪意を感じたと思ったら…


「ヌルイナァ…ホント、コノクニノヤツラハ、ヌルッウッ!?」

 フッ…グシヤ…ドサ…


「トランスコンボイの謎、それは一面の一番最初に見えない玉に当たって死ぬ、わかるか?ヒロは言った。コレだ…と。武の到達点とは始まらない事。オレに挑むならまずは殺気を消せ、そして愛に灯をともせ?後、模様が泳ぐ精○に似ていた」


 外国人の女は突然、人形の様に手足の関節、顎の骨が外れたようになり崩れ落ち、蒸気と模様が消えた。

 一瞬、Tが動いた様な気がするけど全く見えなかった。


「「「え?」」」


「お前、何者だあらっ!?」

グシヤ…ドサ…


 同じタイミングで日本人の男は素早く胸ポケットに手を入れ、一瞬銃のようなものが見えたと思ったが、胸に手を入れたまま女と同じく関節がグニャグニャになり顎の関節が外れて崩れ落ちた。

 Tは足で二人を仰向けにした。


「首外すと死ぬし、うつ伏せにすると顎はめて舌切る可能性があるからな。仰向けが一番!」


「「らー!あるあらー…るあー…」」


 顎と多分、首以外の関節を外され仰向けでうめく2人…顎が外れた状態で絶望した顔してる…

 何で私がタロァとサラのデートを悔し見ている横で、ヴァイオレンス路線が始まっているのか?


「Tさん?な、なな、なにやってんすか?」


「いや、お前がお昼後からのシクシクウォッチングを邪魔しないようにしただけ。てゆーか何かいきなり面白コンビが絡んできたから瞬殺しただけだが?なにか問題が?とりあえずまとめサイトは後にして、双子にコイツら回収してもらおう…どうせ眼鏡絡みだろ…ろくな事しねぇなアイツラ…」


 私は聞き逃さなかった…男女2人が『その姉妹に…』と言った。

 もしかしたら…何となく私とサラの事だと思うけど…Tは何か知ってると思うけど…Tの説明でなにかわかるとは思えなかった。

 それに誰が強いとか心からどうでもいいけど…Tは世界で一番強いらしいし…そんな人に上手くいかない人の気持ちが分かるのかな…


 刹那、フッとタロァとサラの方を向いた時、2人の唇が重なっていた…


『ア…アハア?えぇ?』…の、脳が受け入れない


 この世界に入ってまともな恋愛を捨てている人間なんて腐る程見た。

 大人になれば、恋を繰返し敗れれば…簡単に受けいれる事が出来るようになる言い方をしていた…が…繰り返せる程の痛みだと…言っていた…


 …………そんなの、嘘だ…………………


「ヒイイイアア!?ウワァァァァァァァンンンッッッ!!!」


 何で何で何で!?私が先にしたんだよ!?約束のキスしたんだよ!?何で他の女としているの!?嘘つきっ!う、浮気者!!…違う!違うよ!嘘つきは、私だ!唇だけじゃない!色んなモノを奪われて!私は…


『ふうぅぅぅおおおぉぉぉぉぉ!?!?!?』


 Tが奇声をあげ痙攣し始めた…邪魔しないで欲しいし、そもそも私の愛している人が私以外の人にキスしている…こんなもの…悲しいもの見たくなかった…私はTを掴み、気持ちをぶつけた。


「何でこんなもん見なきゃいけないんですか!?こんなに辛いなら見なくても…諦めてしまえばっ!こんな気持ちに!嫌だっ!わらしは!どうずればいいでずがぁっ!?…え?」


 え?Tが白目になって絶望的な顔をしている?何でよ?辛いの私ですが?何かブツブツ言っているし…


「私…はだかの…聖火ランナー…暗闇の…街中走る…おっぱい丸出しで…股も…丸出しので…オリンピックの音楽で…1人で…」


 はぁ!?何言ってんだこの人…よく見ると手に虹色の棒みたいなモノを尻の穴に当てがい始めた…何やってんの…


「殺す…皆殺し…また…負ける…ヒロ…たすけ…出たら…止まらな…人格ゼリー…負け……………シャ…手を…押せ…入れ…ろ…早く…死ぬ…」


 はい?何かガタガタ震えながらブツブツ意味不明な事を呟くT…ケツに何か押し込もうとしてるけど…

 まさか押せって?この棒を尻の穴に入れる手助けをしろというの?



※どうなってしまうのか?(いつもの)


 


 

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