幼馴染の彼女をNTRされても僕は絶対許すマン、しかしもう一人の学園一の美少女である幼馴染が「それが許されるのはサバンナだけ、動物園では許されない」と恫喝する。僕は2人の幼馴染とそっと距離を取るが…?

クマとシオマネキ

楽しく見える日常と憧れ、それを壊すのは僕

第1寝 NTRれる彼女と許す僕、そしてそんな俺を許さない動物幼馴染

第1寝 NTRれる彼女と許す僕、そしてそんな俺を許さない動物幼馴染


 放課後の教室で幼馴染であり彼女である多方面蘭子と向き合う…深刻な雰囲気だ…


「さっきまで…何をやっていたの?」


「ごめん!太郎君ごめん!エッチの練習って言われて!気持ちは太郎君だけだから!それに…太郎君だってシアと会ってるでしょ!?不安なの!」


「え?また練習で!?それに、シアとは何もないよ…ウンコ投げられただけ…」


 僕の彼女は貞操観念がほぼ無いのかも知れない。いや…貞操観念なんて無いな、コレは…無い。


 何故なら今まさに、2回目のNTRが発覚し絶賛、謎の言い訳中だ。

 1回目は親の留守中に自分の部屋でやっていた所を、現行犯逮捕。

 窓を開けたら目があったのだ。幼馴染である僕が隣に住んでるんだよ?僕等の家は戸建ての隣同士で窓を開けるとお互いの部屋が見える。

 そして学校も近い、しかも学校から駅の通学路なのだ。

 通学してる奴もいれば近所に住んでる奴もいる。

 あらゆる角度からバレるとは考えないのか…

 

 そして今回は学校の教室だ…忘れ物を取りに来たらやってた…てか学校終わってから1時間も経ってないけど…何故、平日の学校の放課後に教室で致すんだ…バレるに決まってるだろ。皆、放課後に部活やってんだから。

 いや?もう部活かも知れないな、コレは。毎回理由に練習が入ってるからな。

 ヱッチなことってそんなに凄い練習が必要なのかな?



 さて、このNTRれた彼女は…人見知りの僕が唯一、気さくに話せる幼馴染の蘭子。

 名前に似合わず地味めな黒髪ボブカットにちょっとお洒落な眼鏡、それでも顔は可愛らしいタイプの女の子。そして…内気で流されやすく頼まれると断れない…その上に態度が非常に曖昧な感じ…まさにNTR向きの性格と外見だ。


 そして、ここからが僕の悩みだ。

 僕としては…NTRされても…気持ちが、僕の事が好きと言うなら迎えいれたいと思っている…もし振られてもやり直せるならやり直したい…

 だけど別に、敢えて彼女を寝取ってほしいとは思ってない、そういう性癖がある訳では無い。何故か?


 僕はびっくりするぐらい陰キャでクラスカーストは最底辺。

 エジプトて言えばピラミッドで石を運ぶ人、つまり奴隷レベル。

 可愛らしい彼女がいること自体、奇跡みたいなものだ。

 まぁエジプトの奴隷は待遇が良かったらしいし、別に僕も学校でもイジメとか無いけどね。

 

 とにかくそんなもんだから、こうなること(NTR)はある程度織り込み済みで、僕、犬山太郎は幼馴染の多方面蘭子に、高校2年で同じクラスになると同時に告白した。


「昔から好きだった、付き合ってほしい!」

「うん、私も好きだよ♥」

 そう言って彼女は即答でOKをくれた。まぁ彼女はあまり考えていない感じだからOKだろうなとは思った。



 そして…案の定、早速クラスのサッカー部員との一回目のNTRが起きた。早かった…付き合って、たった一か月でNTR…

 しかし彼女、蘭子はここからが凄い!

 何と更に2週間後、隣のクラスのイケメンにNTRれた…

 あまりの速さになんか20日以内に連続NTRしないと蘭子は爆破でもするのだろうか?と思った程だ。

 人の噂も七十五日とあるが、僕の耳には常に入ってくる…「ねぇ犬山君、彼女、寝取られてない?」と… 

 酷いときには本当は僕が間男なんじゃないかと噂が立つ場合がある。


「でも気持ちは太郎君なの!分かる?分からないかなぁ?太郎君は?童貞だもんね…とにかく太郎君が言うならもう二度としないから!お願い!嫌だよ!私!別れないから!」


 すがりつくように懇願してくる、何か一瞬、煽られた気がしたけども…一回目も同じ事言ってたじゃん…とは言わない。

 しかしまぁなんだろ…いつも気持ちは僕にあると言われると何だか納得してしまう自分がいる。

 よく数少ない友達からは、「遊ばれてるんだよ」とか「キープされてる」と言われるが、僕は顔も並、成績も中の下、運動は出来ない、なんの才能も無ければ特筆した趣味も無い。

 そんな僕をキープする意味が分からなければ、遊ぶ意味も分からない。

 うちは金が無いのは知っているだろうし、金目的なら近所に住んでるんだからすぐ足がつくだろう。

 だから気持ちは僕にあると言われれば本当に好意があるんだと納得する…


 お互いの家族からは「えっちは卒業してからだよ!」(片方は勝手に卒業したが)と言われているので、僕は学校卒業してから童貞卒業出来れば御の字だと思っている。

 そう、僕は彼女が好きなのだ…やめてほしいけど、同時にふわふわ緩い(色んな意味で)彼女が好きなのだ。これが惚れた弱みってやつかなぁ。


「分かった、もう二度としちゃ駄目だよ…」


 とりあえず言ってみるものの…するんだろうなぁ…

 蘭子も「私…頑張るからっ!」とやる気だ、安心しろ蘭子。しないやつはそもそもそれ、頑張らないし、頑張るものじゃない。


 お互い納得した雰囲気になり、彼女は部活のテニス部に行った。僕の予想だと次はテニス部の先輩だろうな…しかしまぁ…中学まで野球部のマネージャーやってたのに何でテニスかなぁ…


 帰宅部の僕は蘭子を見送り一人で家に帰る。

 約束された勝利ならぬ約束された童貞卒業…そして約束されたNTR…今は高校2年になったばかり…まだまだ先は長い。



 そんな事を思いながら帰っていると、もう一人の幼馴染である小学校の時に転校し、高校1年の途中で南アフリカから編入してきたらしい東欧系ハーフである図浦ズウラシアが校門に立っていた。

 仁王立ちでその顔はどうも怒っているように見える…嫌だなぁ…


 綺麗なブロンドと妖精と言われる様な整った顔立ち、夏は小麦、冬は白雪の様にガラッと変わる艶々の肌、クリっとした緑眼が特徴の学校でも有名な美少女である。

 言葉は少ないが普段はまるで彫刻の女神像の様で、たまに笑ってみせれば人を惹きつける花のような笑顔、成績はそこまでじゃないが、元々日本人離れした運動能力で陸上部とバスケ部を掛け持ちをして、2つの部活のエース。締まるところは締まり、出る所は出た美しいプロポーション、告白する男子が他校含めて後を絶たないらしい…というのは友人の評価だ。しかし、残念ながら…


「さっきの何?許す?ここは日本!気持ちじゃないよ!カラダ!気持ち良いじゃないよ!ココロ!誰だって番いは一人!私の気持ち!馬鹿!」


「声が大きいよ…別に良いじゃないか…許したって…」 


「うるさい!そんなの駄目!許すな馬鹿!ここ日本!ノンハーレム!ハーレムじゃない!馬鹿!」

 

 本当にうるさいな… そして近所の公園に力づくで「馬鹿!」と言いながら引きづられた…さすが運動部、力が強い…じゃなくておかしいよ!

 そのまま個室トイレに押し込まれた…前回(NTR一回目)の時はここからがヤバかった…そして前回と同じ事をするようだ。

 まずいきなり「馬鹿!」と言いながらビンタ…そして「馬鹿!」と言いながら鼻を全力で噛まれながら上半身裸にされた…何故NTRされた被害者の僕が…とは思う。


 ちなみに彼女の「馬鹿!」はただの罵倒ではない。

 動物に造詣深いが言葉が苦手な彼女は馬と鹿の中間という動物ということで「なんだかわからないモヤモヤした時」に使う言葉らしい。

 つまり様々な意味があるが、前後の文脈を考えないと全く意味が分からない。

 しかも棒ロボットアニメのツンデレ風に「あんた馬鹿?」ではない。

 「馬鹿!」と言い切る昭和生まれが得意とするパワハラスタイルだ。


「ねとられたんでしょ!?もう良いじゃん!ねぇ!なんなの馬鹿!やめろ!私にやってよ!やってってば!馬鹿っ!」


 ガチャッ!


 トイレのドアの鍵を締められた…前かがみですっごい睨んでる。

 最初の頃は、僕はどうすれば良いんだろう?

 と、思ったものだが…2回目となる今となっては多分、自分にビンタをしろ、鼻を噛め…という意味何だと思う。


「出来ないよ…ソレ、亀だかビーバーだがなんだかの求愛のなんでしょ?…僕、彼女いるし…」


 そう、彼女がやっているのは動物の求愛行動なのだ…

 前回はこの流れから最後に「馬鹿!」と言いながらサッとスカートからパンツをおろし自らのウンコをひり出し「馬鹿!」と言いながら全速力で投げつけて来たんだ。多分ゴリラの求愛行動だと思う。


「彼女!?あれが!?太郎ノット意気地!馬鹿!不能デカ○ン!イ○ポ!」


 案の定、スカートの下に手をやってパンツを下げ始めたので、その手を抑え込みパンツ半脱ぎで止めた。うんこだけは阻止する。

 前回制服にうんこが付いた時は母親に本気で怒られた。全然落ちないらしい…


 そしてシアを黙らせる為に…以前帰り道でシアがやってほしいと言ってた事をやってみよう。それで諦めてくれたら良いな。

 とりあえずパンツを全部脱がさない様に便座に無理くり座らせる。


 そして壁を手でドンってしながら、顎をクイっと上げてこちらを向かせる。


「な、なんだなんだ…なんだなんだなんだ?どうなる?なんだ?♥」


 やたら目だけキョロキョロしているシアが何を言っているのか全く分からないが、とりあえず記憶を辿りながら決め台詞を言ってみる。



「シアの瞳、美しい色しているな、ジャングルかよ?オレをそこに住ませてくれないか?」



 って、前に言えと言ってセリフを言う。

 シアは「そんな事言われたら、一生メスの顔」とか訳の分からない事言っていたけど…


「あっ♥あっ♥あっ♥あっ♥…」


 あ、これは子供が見てはいけない顔だ。舌で出て目の視線があってない。多分、脳を何かされてる…

 うわ、よだれが…ん?便座の方が音が…


 プリップリリ…ポチャン…ポチャン…ショロロロロロロロ…  ガチャ!


 僕は鍵を開け素早く外に飛び出して走って逃げた。後ろから「アッ♥!?マッ♥!?」と一際大きな声とガタタと大きく倒れる音が聞こえたが、聞こえなかったふりしてとにかく逃げた。


 家に入り部屋と窓の鍵を全部閉め、母親にシアが来ても家に入れないよう言った。

 1分後、シアが来たようだ。早い…


「おばさま♥こんばん♥わ♥太郎君♥いますか♥プリ♥プリント♥忘れて♥みたいで♥」 


「あら、シアちゃん!あがってあがって、太郎は2階の部屋にいるわよ!」


「あり♥ありがとうございます♥おばさま♥」


 シアは外面は凄く良い、僕にしか早口大声原始人みたいな言葉を使わない。

 てゆーか、ほとんど喋らない。数少ない丁寧な言葉を使って擬態する。

 それになんせ外見が外国妖精モンスターだから贔屓目に見ても美しいの化け物だ。   

 だから大概の人は無条件で何でも許す…


「太郎♥おかしいだろ?馬鹿…太郎はシアを殺した、心臓が凄い。それで逃げる…太郎はシアを『ステイ!』で殺す気か?何で鍵を締める?焦って小も大も拭かないでパンツ履いてしまった、どうする?」


 がちゃがちゃがちゃ…ガチチ…ドアの外に明らかに強い獣の気配と臭いがする…怖い。

 失敗した、発情するとは思わなかった…大変だ。


「太郎…おかしい…太郎、あけてみる。扉を。太郎、もう馬鹿って言わない…太郎…好き…太郎…太郎君…太郎ちゃん…太郎さん!」


 ドアの下の隙間から紙がFAXの様に流れてきた。


『無駄な抵抗 よせ 諦めろ 太郎 シアより』


 僕は諦めない、彼女は所詮、獣。彼女の発情は3〜4時間で落ち着く。

 部屋のドアから消えたと思ったらベランダに隣の部屋から侵入してきた…人の家をなんだと思っているのか知らないが、こうなると部屋から出れなくなる。テントを襲うクマの様に周りをウロウロし始めるからだ。

 まぁ良いか、トイレはまだない行きたくないし、仮眠でもしよう…と思ってシアのいると思われるベランダをみた。

 カーテンの少し空いている隙間から、緑眼部分の少なくなった、瞳孔の開いている眼が見える…目を逸らし寝た振りをする…しまった、鍵付きの雨戸にすべきだったか…


「太郎!今眼が合った!そらした!外道!太郎!アッ!♥太郎!聞こえて無い!?太郎♥クッ♥タッ!♥ロァッ!♥タロァッ!♥オァッ!♥」


 ベランダで何をやっているか知らないが何も聞こえないし見えない…おやすみなさい…


 一時間ほど経つがまだ何か音が聞こえる…諦めないようだ…


「ちょっとシア!裸!?太郎君家のベランダで何やってるのっ!?やだ!?何その手!?はしたない!」


 むむ、隣に住む幼馴染、蘭子の声がする。今日はNTRされなかったのかな?部活にしては早いお帰りだな。


「お前に言われたくない!尻軽猿女!モンキーゴーホームッ!」


 外で揉め始めた…僕はサッとトイレに行き母親に風呂と飯は遅めにすると伝えて部屋に帰り、自分の世界に入る為(目と耳を塞ぎたいから)にVRゲームを楽しんだ。


 2時間ほど楽しんだ後にカーテンを開けると誰も居なくなっていた。

 スマホには蘭子から「シアが居たんだけどなんかあった?」と入っていたが「特には…今日は帰ってVRでロボットゲームをしてたよ」と雑に返しといた。

 ゆるふわでお洒落に目がない彼女はゲームの話題を出すと沈黙する。

 そして蘭子とシアは小学生の時から相性が悪くいつも喧嘩している。

 

 

 色々事情を知る友人からは何でシアと付き合わないのかと言われるが、彼女はあまりに色々逸脱している。まず、シアの告白の断り文句が


「彼氏いないって聞いたよ…だから俺と付き合ってくれないか?」

「ゴメンナサイ…アナタ…クソ野郎じゃないから…」

「クソ野郎…じゃない?よくわからないけど好きな人でもいるのか?」

「好きな人…そう…クソ太郎…クソ太郎以外は…付き合わない…犬山畜生…」


 一時期告白した先輩を巻き込み「何かの暗号ではないか?」と話題になったが、小学校時代からの友人はすぐ気付き、言われた。


 「あれ、太郎の事だろ?何で付き合わないの?まぁヤバいの知ってるけど蘭子よりマシだろ?」


 蘭子よりマシとは微妙に聞きづてならないが、シアについては思うところがある。アレは一種の熱病のようなもので、もう少し時間が経ったら…冷静になれば僕如きに無駄な時間を使ったと思う筈だ。

 ゆるふわ蘭子をNTRならまだ良い。蘭子だからな…で済むからだ。


 しかしシアは違う…シアの悪い部分は時期に無くなる部分だと思う。学び努力し、学校生活を送っていれば、見た目通りの高嶺の花が出来上がる。

 そして全く釣り合わないカップルが出来上がった時、その格差によって僕の脳が本気で破壊されるだろう。と、小説等を見て予測した。


 まぁ結局、僕は臆病者な訳だ。


 蘭子に告白する前にシミュレーションしたことがある。

 もしシアと付き合い、シアが普通の凄く綺麗な女子になり…シアが真の人気者になった時、そして僕の事が好きと言いながら…だけど頼りないからとNTRでもされたら?…考えただけで吐いた…

 その話を友人にしたら言われた…自己肯定感低すぎない?…と。


 そりゃそうだ…僕は「実は…」系主人公じゃない。本当に何も無いからなぁ。

  


 そんな事を思いながら窓ガラスを見る。

 血文字で何か書いてある…

『ゆるさん ぜったい ゆるさん おかす たろ ばか』



 僕の高校生活は色んな意味でまだまだ続く…(絶望)




 

 

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