05 異世界ラブホよ、永遠に

 資金とドラゴン族の娘を入手した俺は、ラブホへ戻った。

 ユナと合流すると、驚いて失神しかけていた。



「……へ? そ、そのドラゴン族、だれ?」

「クエストで入手した」

「うそ……」


 信じられないと、ユナは目を白黒させた。


「パルテノンです。よろしくお願いしますね」

「は、はい……よろしくです。――って、ウチで働く気!?」

「そうなりますね」

「えー! 啓示さん、どうしよう……ウチ、バイト代出せないよ?」



 そ、そうだった!

 お金がないんだった。

 頭を抱えていると、パルテノンが微笑んだ。


「大丈夫です。お金はいりません」


「「マジ!!」」


 俺もユナも同時に驚く。

 それではボランティアみたいないなっちゃうし、ちょっと心苦しいのだが……俺もお金は貰うつもりはないし……まあいいか。



「ユナ、すまないがパルテノンを雇ってやってくれ」

「むぅ……分かった。本当にお金は出せないよ?」


 パルテノンはあっさり頷く。

 握手を交わし、ここに契約は完了した。


 従業員二人目が誕生だな。



 パルテノンには、さっそく壁の残骸……瓦礫がれきの撤去をお願いした。もちろん、俺も手伝う。



「ああ、そうだ、ユナ」

「ん?」

「80万ベルな」


「え? こんなに!?」


「クエスト報酬のちゃんとした金だ。壁の修理費やホテルの経営に充ててくれ」

「……啓示さん、ありがとう!!」


 ユナは喜んで泣きそうになっていた。

 良かった、コイツが喜んでくれるのなら俺はそれだけでがんばれる。


 その後、80万ベルの内10万ベルを使い壁を修理した。


 更に、余ったお金で内装を大改造。


 魔女の館から、ピンク色を意識したラブホテルに改装した。


 雰囲気が明らかに現実世界のラブホだ。



 それからというものの、客が一気に増えた。



「わぁ、啓示さんに手を加えて貰ってから凄い人が来てる!!」

「そうだろ。やっぱりあの外観はまずかったんだよ」


 今や1日10~30組だったのが、30~60組と倍増した。

 入店しやすくなるだけで、ここまで違いが出るとはな。



 ――数日後。



 売り上げも一気に増え、利益が出るようになった。



「以前とは比べ物にならないよ、啓示さん」

「パルテノンも慣れてきて、ベッドメイキングをこなせるようになった」

「凄い成長だよね。お嬢様とは思えない働きっぷりだし、良い子だよ、パルテノンさん」


 パルテノンが看板娘となっていた。

 単純にパルテノンに会いたいから来る客も増えたし、おかげで助かったな。



 最近は調子も出てきて、俺は異世界で働く楽しみを得た。

 ストレスのない自由に生きられる世界。


 俺は、このクロノス帝国でこれからもユナ、新たな仲間であるパルテノンと共にラブホ経営をしていく。



「いらっしゃいませ! 美男子エルフさんとムキムキドワーフの二名様ですー!」



 ――って、まて。

 この美男子エルフ、どこかで見覚えが……ていうか、男ドワーフと!?



 この異世界にも、そっち趣向があるんだな。けど、売り上げの為だ。


 自由を掲げているオリンポスは、どんな種族でも歓迎する。



「啓示さん、どうしよう……美形の二人がっ」

「ユナってBLとか好きそうだな」

「大好きです!!」



 そんな元気よく断言しなくとも!!




【あとがき】

 異世界ラブホ経営は以上です。

 試行錯誤してみましたが、難しすぎました(汗)

 また長編にできる機会があったら考えてみます。


 今回は短編として完結させていただきます。



 他の作品も追ってくださると嬉しいです。応援ありがとうございました。



無人島Lv.9999

https://kakuyomu.jp/works/16816927860344761869


無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

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異世界ラブホ経営 ~無能サラリーマンは異世界で世界最強~ 桜井正宗 @hana6hana

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