第2話 祖母の味噌汁

 祖母と朝食のいい匂いが美化みけを出迎える。


「おはよう。美化」


 祖母の優しい声は毎朝心地いい。


「おばあちゃん、おはよう」

 

 そう言っていつもの席に腰掛ける。


 朝ご飯は美化のリクエストで毎朝同じ。ごはんと味噌汁とたまごやき。味噌汁の具は、祖母が毎朝変えてくれている。


「今日は茄子なすと油揚げよ」


 祖母がにっこり微笑みながら、美化の前に味噌汁をよそって置いた。


「わーい、いただきまー」


 祖母の味噌汁はなんて最高なんだ。美化は毎朝思う。冬場は特に体があったまるのでありがたい。血流がさらに増すのを感じて、ふぅっと息を吐く。


 美化の母は看護師で昨晩は夜勤。『腰が痛い』と最近よく言っている。病院で診てもらったら軽いヘルニアだった。


 父亡き後、辛いことを微塵も感じさせずにがんばって働いてくれている母に、美化は感謝と尊敬の気持ちを忘れたことはない。


 美化は身支度を整え、学校へ向かう。


「いってきまーす」


 学校までは自転車で20分。ディープマリンブルーのフレームの自転車は、美化のお気に入りだ。


 今日も2月にしては暖かい風が、ほほを、太ももをでる。


 3つ目の信号の赤で止まる。じっと青になるのを待っていると、美化に声をかけてきた少女がひとり。


「みーちゃん、おはよう!」

 

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