全寮制湊第2学園・高等部!
夏生
さぁ、高校へ
ついにやって来てしまった、入試の結果発表。というより、高校にやって来てしまったのほうが近い気もするけど。
そんなのはどうでも良くて、今ぼくは、湊第2学園高等部の正門前に立っている。みんな大きさに圧倒されて立ち止まってしまうほどのでかい門と広い校庭。そして、その奥に立ち並ぶ、すごく大きな校舎棟が!
「ここが高校……」
「でかいね」
ついぼくらも声をもらしてしまう。
ところで、さっき湊第2学園‘‘高等部’’と、わざわざつけたのは、高等部と大学部は隣り合っているけど敷地は別だからだ。ちなみに、小等部と中等部は湊第1学園っていう別の場所にあるんだ。近いからいつでも行けるけどね。
この学園は、小等部から大学部まで成績がものすごく下がった、なんか悪いことをしてしまった、とかがなければ、エスカレーター式でそのまま上がれるんだ。
でも、中等部の子たちは他の高校目指す子が多いんだって。
ぼくたちは他の中学から、この学園に受験したパターンなんだけどね。
「創、結果、せーのでいこうか」
はっ、他のこと考えてて忘れてた。今日は、結果を見に来たんだった。いつの間にか紙を受け取ったらしい。
ここの結果発表形式は張り出しじゃないんだね。
「創、いい?いくよ?せーのっ」
バッ
「やったぁ!」
「合格!?」
……ということは?
「「一緒に合格できた!?」」
「良かった〜。他の高校落ちてたから、ここも落ちたらどうなるかと思った。第一志望校、受かれてよかった。」
ほんとにそのとおりだ。良かった良かった。
これでやっと、夢の学園生活!
ここは全寮制だから家に帰れないのは寂しいけど、ここには一緒にいる旭にぃもいるし、高3と高2のおにぃちゃんたちと一緒に学校に通えるし。寮生活も意外と楽しみだったりする。ところで……。
「ねぇねぇ、ここって待ち合わせ場所と違ったかな?」
ここでおにぃちゃんたちと待ち合わせしてたはずなんだけど、全然来ないなぁ。
「兄さんたち、いつも遅刻してるから今日もそれじゃない?」
「そっか〜。」
ここで納得できるあたり、おにぃちゃん二人は相当な遅刻常習犯だということが分かるだろう。だから、いつもはぼくたちが時間を設定してるんだけど、こればっかりはおにぃちゃんたちの都合に合わせなきゃいけなかったので仕方ない。
高校に通って、寮に入って、時間ぐらい守れるようになったかな、と思ったんだけどな。ちょっと残念。
でも、こんな失点は、可愛い方なんだよ。
例えば、赤点取りまくって補習組の、定番メンバーと先生に認識されていたり、調理実習の授業の時、料理をまっ黒こげにしたり(ついでに調理実習室も真っ黒こげ……)、などなど。上げても上げてもきりがない。
それでも、人間性的にはパーフェクトなんだよ。見てない風で見ていたり、さり気なく気遣いができていたり、超イケメンだったり!!
そんなんだから先生達も最終的には許しちゃうんだよ。ズルいよね。
まぁ、春にぃもかっこ良さでは負けてないけどね。
「あ、来た。」
「え?あっほんとだ!お~い!!」
おにぃちゃん達きた!ぼくからお迎えに行っちゃおっ!
「あっ創!まってよ~」
「おにぃちゃ~ん!やっほ~!!」
「おーう!ぐへっ」
思わず勢い余っておにぃちゃんに思いっきり衝突してしまった。タックルみたいだった。
でも、ビクともしないで受け止めてくれるんだよ。イケメン!
ちなみに、ぼくがタックルしたおにぃちゃんは雄飛にぃっていうんだ。ぼくら兄弟の長男だよ。
隣でムッとしてるのが蒼空にぃ。いつもこんななんだけどホントはすごく兄弟想いなんだよ。
そんなおにぃちゃん達がぼくは大好きなんだ。
「お前ら荷物もってこいよ。受かったんだろ。寮は早いもん勝ちだ。」
「了解」
「ラジャー」
早く荷物取ってこないと、おにぃちゃん達と同じ部屋になれない!
「行ってきます!!!」
「わぁ、待ってよ〜。」
つづく
全寮制湊第2学園・高等部! 夏生 @yyuuttoo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。全寮制湊第2学園・高等部!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます