第4話 会長と朝チュン

「ん…ああ」


今は一体何時なのだろうか。ふと窓の外に目を向けるとちょうど朝日が登ってきているところだった。つまり今は大体5時ぐらいだろうか。

なんで時計を見ないかだって?簡単なことで思いっきり会長に抱きつかれていて身動きがとれないからだ。絶対に離さないとばかりに力を入れてくる。そして昨日は全くそう思わなかったのだが俺の腕に抱きついているせいで大きく変形してしまっているその大きな胸を触ってみたいという気持ちが出てきてしまった。

このままだと主に俺の精神が危ないので。


「会長起きてください。俺の腕の感覚がなくなってきてますから」

「………スピィ……ムニャムニャ…」


反応なしか…。どうにかして会長の拘束を解かないといけない。そのためにはまず腕をどうにかしないといけないのだが…。案の定というべきか男の俺が思いっきり引っ張ってもびくともしない。それにちょくちょく会長の胸に手が当たっているため全くと行っていいほど解決ができない。



「…ん…蒼くん……」


しまいにはそう言って更に俺に抱きつく力を強めていってしまう。

段々と俺の理性がゴリゴリと削れていき、頭が朦朧としてきた。一体何の洗剤を使っているのか、とてもいい匂いが刺激的に鼻孔の中にはいっていく。


「ちょっと…いい加減に離してください」


もう一度開放してもらうために力を込めるのだが……これもまた失敗に終わってしまった。そもそもここはラブホテルのため完全密室。助けを呼ぼうにも呼べない。第一女に襲われていますって言っても誰がそれを助けるのかは疑問だが。

結局というもの俺はもう一度寝ることにした。

結論からいうと眠れなかったが。




「ん~~あ~~~」


そして更に一時間後会長はやっと目を覚ました。会長にとっては一瞬の出来事かもしれないが俺にとっては拷問でしかなかった。


「よく眠れたかしら?」

「眠れたといえば寝れましたが朝から別の意味で疲れました」

「もしかしてアッチの運動でもしてたのかしら」

「するわけないじゃないですか。そもそも出会って数時間の人を襲っているあなたに言われたくないです」

「まあ冗談よ。私は処女喪失してないからね」


まだ、の部分を強調してくる会長。つまり処女を喪失することは確定事項というわけだ。

ただ今の俺にはもっと大事な事があった。


「一旦服着替えませんか?」


まあ昨日は会長は下着姿で布団の中に入っていたわけだ。ただ今の会長は下着姿ではないとはいえ、上に一枚シャツを着ているだけの状態だった。しかもシャツのボタンは3段目まで開けられている。


「えーめんどくさいからやだ。それに今日は休みでしょ」

「まあ確かに土曜日ですけど…そういうことじゃないと思います」

「私がいいんだからいいの。それにこのホテルは私のお父さんが経営してるからいいの」

「いや会長のお父さんって確か製薬会社の社長ですよね」

「正しくはこのビルのオーナーってこと。もともとこのホテルはビルを改装して立ててあるの」

「なんでそんな事知ってるんですか?」

「お父さんがお母さんと色々する場所が欲しかったからって」

「会長の変態の理由は親譲りだったのか」


俺は頭を抱える。子は親に似るとはよく言ったものだ。そのせいで俺が貞操を失う羽目になりそうだったのだがな。まあ一つはもう失ったが。


「そういえば今日もここに泊まる?お父さんに声かけてこの部屋を使わせてもらっているからいつまでも住めるよ。ここは普通の部屋だけどVIPルームに変更もできるよ」

「なんでホテルに住むんですか…。せめてマンションとかにしてください」

「だってホテルならベッドが一つしかないから毎日朝チュンできるでしょ」

「毎日朝チュンって俺たちどれだけ活発なんですか」

「私は毎日できるわよ。一緒に頑張りましょうね」

「俺は無理ですけどね」

「ああそういえばもうあなたと婚約したことになってるから」

「なんでそうなるんですか。俺名前書いてないですしそもそも親に許可もらってないでしょうが」

「許可もらってるわよ」

「え?」

「私この前あなたのお義父さんとお義母さんに挨拶しに言ったわよ」


まじで意味がわからない。というかなんで俺の両親はそれを許可してるんだ。俺の人権どこ行った。


「お義父さんとお義母さんが心配してたわよ。高校生になっても彼女の一人ができないって」

「なんでそうなるんだよ」


しかも漢字の変換が完全に変な方向に飛んでいってるし。というかなんで俺の親は息子の許可も取らずに勝手に話を勧めてるんだよ。


「大丈夫。安心して。私が彼女になりますって言ったら泣いて喜んでいたから」


ドンと胸を叩いて自信満々に話をする会長。絶対俺親に誤解されたわ。そもそも付き合ってもないしなんなら会長とはほとんど初対面と言っても過言ではない。でもなんだろうか。なぜか会長と話していると初対面ではない感じがする。


「まあそれよりもさっさと帰らせてくれませんか?」

「えー無理かなぁーーー」

「デスヨネー」


そうしてまた俺たちはまた帰るか帰らないかという低レベルの口論を始めるのであった。




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まじですいません。急に9話中6話を消してしまって驚かれた方も多いと思います。

そこまで深い理由はなくて、単純に3話以降の内容が一話とうまく繋がっていないことに気づいてしまって急遽内容を変更して投稿をしようと思います。本当にごめんなさい。

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