第48話 いたずら電話? それ話許せませんわ! わたくしお相手を探して見せますわ!!

いつも通り鳴り響く携帯電話をスルーして後回しにする事にした。どこかの僕が頑張ってくれるはずだ。

「啓さん出なくてよろしいんですか?」

「うん。たぶん、いたずら電話だし」

「まあ大変ですのね、私の方でいたずら電話のお相手を探しましょうか? いたずらで電話を使うだなんて許せませんの!」

「い、いやいや大丈夫大丈夫、そこまでの事じゃないから」


危なかった、そうだった彼女に冗談は通じないことの方が多いし、適当に困ってるとでも言えば強引なやり方で解決してくれる。彼女の前では簡単に嘘なんかついちゃいけないんだ。


「いつか見つけ出したらその時はわたくしが、いたずらは良くないと教えて差し上げますの」

危ない、彼女の思考は危ない。やっぱり悪い人間がそばにいたら彼女はコロっと騙されてしまうタイプだろう。そんな人間を常識を教えないのは非常に危険だ。


とは言ったものの僕一人ではどうすればいいのか分からない。


「凉坂さんは困ったことがあればどうやって解決する?」

「そうですね、私でしたら信頼のできる方に相談しますわ! これからは啓さんにも相談に乗ってもらいます予定ですの!」

かなり照れる事を言われる、恥ずかしい。恥ずかしい。


少し嬉しさを持った言葉を受けて、もう一度言葉を考える。

誰かに頼るか。僕の家族はうーん、楽観的な母親に僕の事に対して興味がなさそうな兄弟、父は放任主義。

無いな。絶対にない、僕の家族には絶対に頼れない、それに凉坂さんがぶっ飛んでいることを知っていながら母親は放置したという前科がある、そんな人間たちに彼女の事は任せられない。


次に美月など凉坂さんの家の使用人さんたち、美月を見るに頼りにならない、美月のせいで凉坂さんはもしかしたら人類の事を全てドMだと勘違いしてしまっている、それに十数年間も凉坂さんの事を教育していて一般常識があまり見についていないところを見るとそちらも頼りには出来そうにない。


それならやっぱり僕の友達か、先程電話がかかってきた朝人の顔が頭に浮かんでくる。彼はノリがいい、そして一度凉坂さんの奇行を見ている。それならば話が早いし僕の苦労もちゃんと話せばわかってくれるはずだ。


友人の中なら一番話が通じてどうにかしてくれそうなのも朝人だ。ほぼほぼ決まりでいいだろう。


「ごめん凉坂さんちょっと電話してくる」

「もしかしていたずら電話の相手と喧嘩ですの? あんまり強引にしてはいけませんわよ! 何か困ったらわたくしに言ってくださいね」

どうやらヤル気満々といった風だ。

「いや、喧嘩するわけじゃないけど……。 まあ気持ちは嬉しいよありがとう」


僕は席を外して、さんざん後回しにしていた、いたずら電話の張本人へ通話を掛けを始めた。

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