第45話 監視カメラ? 盗聴? 無法も法ですわ!
家に着くまでにメイドにからかわれて、シートベルトを外して外に飛び出しそうなお嬢様をなだめながら心の整理をした。
最近は迷ってばかりで、心が揺らぐこともしばしばだが、彼女に一般常識を付けさせてパワーの使いどころを教えるという事は間違っていないと思う。
それにしてもこれから考えることは多いな、というか教育面に関しては使い物にならないメイドや楽観的な母親以外に凉坂さんの事を知っている人物はいない。
だから、対処法なんかは僕一人で考える以外他ないよな。
「はぁ」と心の中で大きめなため息を付く。誰かに相談出来たらな。
「どうしました、啓様?」
「美月、いや別に何でもないよ」
誤魔化すように適当に返事をすると、「罵倒がない」とでも言いたげな、不満そうな眼をされる。
小声で「なぁ、美月、凉坂さんってどうやったら自分の力をコントロールしてくれると思う?」聞いてみる。
すると、無表情ながらも驚いた素振りをされた。
「彩様は自分が力が強い事を自覚しております、本人が思っている以上に力があることが、彩様にとってのコンプレックスでもあるのです」
コンプレックス、それにしては良いように力を使っているような気がする、困ったらパワーで解決しようとしている節も見えるし、実際にそれが上手く使えているようにも思える。
まあ人のコンプレックスなんて探るようなものじゃないか、僕なんかよりもずっと一緒に居る美月がコンプレックスだとハッキリ言っているのだからそれは信じるしかないだろう。
「という訳なので啓様、彩様の力が強いなど言ってはいけません。そんな事を言われても嬉しくはないでしょう、乙女としても言われても嬉しくないでしょう」
「まあ、そういうものか……。でもあの力強さはどうにかしてあげなきゃ困ると思うんだけど」
「それに関しましては啓様が何かする必要はございません、私達使用人の仕事です」
かなり強めの言葉でハッキリと言われた。
「でも、僕も一緒に暮らす以上無視はできない」
「啓様、啓様が彩様の事を気にかけてくれているのは私としても、とても嬉しいです。しかし、それと彩様のプライベートな領域に踏み込むことは良くないと考えています。踏み込んで領域を間違えないでください」
もっと強い言葉で言われる。
「プライベート領域は確かに大切だな」
「分かって頂けましたか」
「ああ、だから僕のプライベートも大切にしてもらう事は?」
「啓様は24時間365日私の同僚が程度監視しております、もちろんお風呂場と自室には監視は無いので安心してください」
「初耳なんだけど、部屋の壁かドア壊されそうって方の心配で言ったんだけど、そんなに監視されてたの?」
「はい、沢山の方々に私達の秘密の会話が聞かれてると思うとゾクゾクしますよね」
「しないよ!」
監視の先の人と近くにいる凉坂さんにも確実に聞こえる声で僕は答えた。
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