第44話 welcome back キメラーーーー!!!ですわわわ

「では、そろそろ帰りますの! 美月に連絡しておきますわ!」

「あ、うん」

急に帰るという宣言をされて、相槌を打つ以外何もできない。というか僕は今滅茶苦茶気恥ずかしいが凉坂さんは何を思っているんだろうか。


片付けなども特にせず、彼女の後ろを歩いて、立派な和室から出た。

再び廊下をしばらく進み、屋敷の外へと歩いていく。

来るときは集中しすぎて気が付かなかったが、結局ここはどんな場所だったんだろうか。


「ねぇ、凉坂さんここは結局どういう場所なの?」

「ここはわたくしが何となく好きなものを集めた場所ですわ! さっきのはお茶をしてお話をするためのお部屋ですの!」

これまたぶっ飛んだ金持ち回答が帰って来た。まあ、もうこの程度では動かない、それにしても和風が好きなテイストだなんてイメージとは違ったな。


建物から出て周りの広大と呼んで差し支えない大地と、木がベースで作られた風情漂う建物を見て立ち尽くす。


「凉坂さん、和風好きなんだね」

「はい、そうなんですの! でももっと好きなものを外観にも組み込もうとしたら、最初は物凄く変な風になってしまって、外観だけはデザイナーの方にちゃんと作って頂きましたわ」

最初はどんな見た目だったのだろうか、洋風、和風、中華それだけじゃなく宇宙テイストの建物を合わせた建造物キメラを予想する。どう見ても良いイメージではない。

外観はデザイナーさんにお願いしたらしいが、もしかしたら他の今考えたようなイメージは今日見ていない部屋に飾られてているのかもしれない。


「まあ、とにかく今日は楽しかったよ、ありがとう」

「啓さんに喜んで頂明けて嬉しいですわ!」

彼女は今日一番、いや昨日出会ってから一番の笑顔をこちらに向けてくる、僕の本心の一言でこんなにも喜んでもらえるなんて、というこちらもかなり嬉しい気持ちになる。


僕が照れてしまっているからか、また無言の時間になってしまう。あまり話が下手な方じゃないはずなのになぜだろうか。

深呼吸しながら「まあ元々僕は美人に対しては会話が上手い方じゃないしな……。」という言い訳を自分に言い聞かせた。


「そろそろ美月来るみたいですわ!」

「そうだ、片付けとかしてなかったけど、大丈夫なの?」

「はい、後で使用人の物が掃除してまいりますわ!」

何か凄く申し訳ない気持ちになる、何か無意識に汚してなければいいのだが……。


そんな事を考えていると、遠くの方から猛烈なエンジン音が聞こえてくる、これは今朝聞いたものと似ている。

音の方向を振り向くと、遠くから猛スピードで近づいてくる見覚えのある高級車があった。やはり美月の車だったようだ。

ビューンとあっという間に車が僕らの前に止まり、僕たちは新しい日常の待っている家へと帰っていった。

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