この最強スキルで無双したからって、美女達によってこられても迷惑なだけなのだが……。冥府王は普通目指して今日も無双する

覧都

第1話 目覚め

「うわあー」


「お目覚めですか、ノコ様」


 僕は寝室のベッドの上で悪夢から目覚めた。


「マ、マリー、何で僕の夢の中での名前を知っているんだい?」


「クスクス」


「あーー、あの黒猫がマリーだったのかーー」


 僕は日本という異世界の国の廃墟で、黒猫に暗闇へ連れ去られる悪夢を見ていた。


「私は、ノコ様が夢の中で生まれるところから、今、目覚めるところまで全部見ていましたよ」


「じゃあ、話しが早いね。今日から僕はノコだ。僕の姿を夢の中のノコと同じにして、あと……、次からは人の夢をのぞかないでね」


「はい」


 僕の名前はノコ、スキル<冥界の王>を持つゾンビだ。

 死霊ダンジョンの最下層に引きこもっている、ダンジョンのラスボスだ。

 マリーは、黒い服を着た美女のゾンビだ。生きていたときは大魔女だったらしい。

 現在の階級はクイーンで、階級が上がって生きていたときと同じ姿になっている。

 とてもいたずら好きのゾンビクイーンで困っている。


「お目覚めですか。ヨシト……」


「あっ、ローズ。僕は今日からノコっていう名前に変えたから」


 ローズの言葉をさえぎって、名前を伝えた。


「冥界神様から手紙が来ています」


「わかった、後で読むよ」


 ローズというのはゴーストでマリーと同じく階級はクイーン。

 ゴーストの固有スキル<憑依>で、エリサという賢者に憑依している。

 エリサはとても美しい女性ですごい賢者だったらしいのだが、大昔ローズを怒らせて、その日以来、憑依され続けている可哀想な女性である。


 そして、僕の持つスキル<冥界の王>は、ゾンビやゴーストなど死霊系モンスターを自由に使役できる最高位スキルというものだ。


「僕は夢で見た、ノコの人生が可哀想過ぎるので、地上に出て隣で微笑む普通の彼女を探すよ」


 夢で見たノコは、見た目も冴えないし虚弱体質で、幼い頃はいじめられ、三十四歳になった今日まで、彼女いない歴イコール年齢のさえない男だったのだ。

 ふと、後ろを見たらローズが服を脱いで、ブラジャーをはずそうとしている。


「こらーー!! ローズさん、何をしているのですかー!!」


「あら、地上など行かなくても、私でよろしいのでは無いでしょうか」


「だめだー。その体は、エリサさんの体で、ローズの体じゃ無いでしょー」


「いいのですよ。こいつもいつまでも処女じゃあねー」


 その瞬間、ローズの顔が真っ赤になって、部屋の外に走って行ってしまった。


「あら、あら、まあまあ」


 なぜ、ローズが真っ赤になって部屋を出て行ったのかは、わからなかったけど、マリーはすごくうれしそうな顔をして満足げだった。

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