第37話

誰かを占えって言われても……

とりあえず保健室の先生のところに行く。

「あらあら、求村くん。どうしたの?」

「実は……」

ことのあらましを先生に全部話した。

「求村くんのお家がそういう御家系というのは前もって知ってたけど、そうなのね。ちょっと、先生を占ってみてよ」

「いいんですか?!」

「先生ね、占いとかは信じないけど、求村くんの占いは興味あるよ」

カバンからカードを出し、トランプを切るようにシャッフルし、一枚引く。

カップが大きく描かれていて、水が左右にあふれかえっている。

「まあ。可愛いカードね」

「これは、気持ちが溢れかえってる、のかな。うーん、1って書いてあるから、何が一つのことをコツコツと努力してください。って感じかなあ。」

「気持ちが溢れかえってるってのは、どういう意味?」

「それは、水が溢れかえっているカードだから、そう言ってみたんだけど」

「それじゃあ、お客さんは納得しないよ。私は占いの勉強をしてるわけじゃないけど、ちょっと要領を得ないかなって。まず、お客さまに寄り添う占いをした方がいいよ」

悔しい気持ちが胸に広がる。

「ここでさ、占いの練習してみなよ。多分さ、占う経験ってやつを積んだら、きっと変わってくるんじゃないかなあ?」

「いいんですか?」

「いいよ。面白そうだし」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る