第35話

いじめに立ち向かう方法。

すごく考えた。

泣き落としも先生に告げ口もせず、いじめに勝つ方法……

ボクなりに行き着いた方法は、これしかないかもしれない。

「おい、来たぞ……」

「おかまぶっこみ〜オカマンボ!」

明るいおねぇキャラになる。

「…………」

「やだやだぁ、もー!きゅうちゃん、困っちゃうんだけどぉー!」

「えー………」

「まさか、あんたたち、私のこと好きだからチョッカイかけてくるのぉーやめてよぉ。ワタシ、好きな子いるんだから〜」

「ま、まじか……」

「何?これ以上なんかするんだったら、……なめまわしてやろうか?」

「ヒィ〜!ご、ごめんなさーい!」

これが、ボク、いや、私の闘いかた。

これからはこのキャラでいく。


その夜、夢を見た。

二人きりのカラオケボックス。

震える女の子の体を抱きしめて、唇が触れ合うだけのキスをする。

大丈夫。大丈夫だよ。

ボクが    を守るよ。

ずっと一緒だよ。

絶対に離さない。


朝起きると、なぜか泣いていた。

「どう、して……?」

胸の奥には、温かな感情が残っていた。

何の夢を見ていたのかはわからないけど、すごく幸せだった。



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