第13話 barにて

バーに行き、ママさんに愚痴を聞いてもらう。


「うーん、私はきゅうちゃんじゃないから、なんとも言えないけど、それは一方的すぎるわねぇ」

「きゅうちゃん、何かあったのかなって」


小さくなった氷を口に入れて噛み砕く。

粉々になったそれは口の中で溶けて口腔内がじんわりとしびれた状態になる。


「そうねぇ……わからないけど、そうかもしれない。でも、私に言っても仕方ないわよ? 私にどうして欲しいの? ああかわいそうね、きゅうちゃんは意地悪ねって慰めて欲しいの? それとも、きゅうちゃんは性格悪いから二度と会いたくない。出禁にして……ってこと?」


私は……


ヴァージンモヒートのグラスをくるくると回す。カランと氷が音を立てた。


「きゅうちゃんと仲良くしたい、です」


「やっぱりそうよね。そうなら、ちゃんとあの子と向き合わなきゃでしょ。自分の中で考えてもあなたはきゅうちゃんじゃない。あの子の気持ちはあの子にしかわからないもの。だから、受け止めてあげなきゃでしょ」


グラスの中のものを一気に飲む。ミントと炭酸の刺激がカーンと頭に来た。


そうだよね。

考えていてもしかたがないや。


「きゅうちゃん、呼ぼうか? 多分月子ちゃんがいるなら来ると思うよ」


「え……?」


私がいるから、きゅうちゃんが来る?

どういうこと?

私、きゅうちゃんに嫌われてるんじゃないの?

2時間後

ドアチャイムが鳴って、あの子が恐る恐る入ってきた。

「こんばんは……月が綺麗ですね」

「きゅうちゃん、今日は新月だよ」


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