12 なんで

「あー楽しかった」

「それはよかった、誘ったかいがあるなぁ!」

 お会計をしながらそんな話をする。さらっと払ってくれるところあたり、手慣れてる気がするんだよな〜。ま、一緒に勉強するの楽しみ。てか勉強楽しみって思ったの初めてかも!!これが家族効果ってやつ?いつも家族と居るとあっという間に時が過ぎるように感じるし。こんな義理な家族でも"大好き"だって思えるのはなんでなんだろう。長い時間いること?心から信頼できること?いつも不思議なこと。今度玲吾と考えられたらいいな。


 そんなことを考えていたら、もう家に着いていた。

「「ただいま〜」」

「ねぇ、どっちものパパとママ来てる」

 深刻そうに話す冬羽を見て、急がなければという気持ちに駆られる。

「大丈夫、ゆっくり行こう」

 玲吾はいつも欲しい言葉をくれるよね。精神が落ち着かないときもいつも安心させてくれるんだよね。大好きだなー。窓から入る西日が当たり、赤く見える。熱かとちょっと心配したじゃんか。やめて?なーんてね


「で、なに?」

 単刀直入に聞く鈴。すっかり大人っぽくなっちゃって。てかなんでおばさんみたいなこと言ってんのよ私。でももう小6だもんな、私と玲吾が『姉弟』になったとき。というかなんで呼び出されたんだ?

「ふー、まずごめん。先に謝っておく。一回しか言わないぞ…美和が亡くなった」

 は…。どういうこと?美和さんは秀吾と玲吾の実母。つまり私のお義母さんだということ。

「交通事故だ。」

「交通事故…」

 冬羽が誰共々なく呟いた。なんで…なんでそうなってしまったの…?どういう経緯?誰か一緒にいたの?次々に疑問が生まれてくる。

「……とりあえず解散、みんな心の整理が必要だからさ」

 私が最も言いたいことを簡潔にまとめてくれた。これが語彙力の差っていうのかな(笑)









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