男だけの合コン

タカ 536号機

悲しみにくれる男達

俺こと草間 颯は、女子と関わることが苦手だ。何故か女子と仲良くしていると告白されてしまう。


俺は女子に好意を持たれるのが好きじゃない。好きな女子から以外は。

毎回断るたび、悲しそうな顔をする友人(女)を見るのが辛いかった。


まさか、そんな俺が合コンに参加しようとはこの日までは思いもしなかった。


「はぁ? 合コンに参加させられることになった!?」


朝から元気がなく、不安に思った俺が幼馴染である咲森 風香に聞いてみると予想外の返事が返ってきた。


「うん、友達が風香も来てって断れなくて」


「はあ、まったくお前は」


風香は頼まれたら中々断れないし、それが友達からとなれば尚更だ。


「もし良かったら、合コン代わりに行ってくれない?」


もし、これが風香以外からのお願いであったなら彼は断っていただろう!しかし、相手は風香、それを踏まえた彼の返事は(唐突なナレーション)


「........いいよ」


「本当に」


ぱあっと顔を輝かせる風香。俺は複雑な気持ちである。でも、


「もしかしたら、俺すぐぬけるかも」


俺とて合コンに長くいたくない!


「それがさ、今回の合コン2時間は経たないと出れない食事場所でやるらしくて」


「うわぁ」


風香がここまで嫌がるってことは何かしらの事情があるとは思っていたが....そう言うことか、それがなければ、風香は行ってすぐぬけて帰ってくるという選択肢もあったはずだしな。スン。


「しょうがない、行ってやるよ」


こうして、俺は高2にして合コンに行くことになった。スン。



合コン、それは男女が恋人を求めてくりだす場所!それくらいの認識は彼とてあった。

そして、合コンと言えば男女比は同じ。

つまり、男子が6人なら女子も6人、女子が3人なら男子も3人というこ______(唐突なナレーション)


俺が食事処の風香から教えられた番号の部屋に入ると、そこには、スン。

男、男、男、男、男っておかしくね!?

俺合コンに呼ばれたはずなんだけど!?


「「「「「チッ」」」」」


しかも、全員から舌打ち食らったんだけど!?スン。


ガラガラ また、ドアが開いた?

女将さんぽいのが出てきたぞ?


「指定の人数が揃いましたので、2時間この部屋から出てはいけません。出た場合は」


黙り込む女将さん。


そこで、メガネをした男子が震えながら尋ねる。


「出た場合は?」


「後ろから、トマトでドーンです」


「「「「「「それは嫌だ」」」」」」


東京湾に沈めるとかだったら、冗談だと思うのに! トマトで服汚すってリアルにやられそうだから、すごい嫌だ。


「ってことは?」


体がかなり大きい男子が呟く、


「おいどん達、男子だけで合コンしないといけないってわけだべ?」


お前どこ出身だよっと思いつつ、


「「「「「はぁぁぁぁぁ!!!」」」」」


男子5人は悲しみにくれるのだった。

まあ、俺としては女子がいないから逆にラッキーてなもんだけど。スン。



「えっと、僕は山本 忠太郎 趣味は読書です」


さっきのメガネの男子が自己紹介を始めた。


「おいどんは剛男児 龍太郎 でごわす。趣味は園芸ですにょ」


「俺は一ノ瀬 風太 趣味はバスケをして女の子にキャーキャー言われること....今まで、言われたことないけど」


「わい? わいの番か?

わいは広瀬橋 浩司 趣味は合コンです」


「僕は山本 菜乃花 趣味は兄で遊ぶことです」


それにつられてか、一斉にみんな自己紹介を始めた。女子がいない為テンションが異常に低いのはさておき。


俺が言いたいのはただ一つ、剛男児よ!語尾は一つにしぼれ。


「山本、山本、もしかしてあんたら双子か?」


広瀬橋が同じ苗字を気にしてか、そう尋ねた。


「「そうです」」


となると、忠太郎は菜乃花の兄ってことになるのか。


「さて、全員自己紹介も終わったことだし、

後はスマホゲームでもして時間潰そうぜ?」


さーて、ゲーム、ゲームっと、


「「「「「待て待て待て」」」」」


「どうした?」


何故か5人から不満な声が上がる。


「「「「「お前まだ自己紹介してないだろ!」」」」」


「する必要あるか?」


「「「「「あるだろ!」」」」」


「でもな」


俺がいいどよむのを見て納得したのか一ノ瀬が呟いた。


「成る程、お前は女子がいないのに自己紹介して何になるってことだな?気持ちは分かる、分かる」


「いや、俺は女子がこようとこなかろうが自己紹介する気はなかったぞ?」


「「「「「何で合コン来たんだ」」」」」


「幼馴染の代わりに仕方なく」


「成る程な、でも一応名前だけ聞いていいか?」


司会役の忠太郎が尋ねてくる。


「はぁ、俺は草間 颯 趣味はゲーム以上」


「颯って言うのか。ってかお前モテ顔だな!もてるもてるだろ!俺には分かる」


一ノ瀬が絡んできた。


「? 告白ならよくされるが?」


「クソが! リア充め」


「ひどい反応!」


一ノ瀬はモテたいけどモテないんだったな。

可哀想な奴だ。


「やめろ!俺をそんな目で見るな!気にしないふりしてたのにモテないから合コンで彼女作ろうとしたら合コンに男しかいないって言うのこ地獄を意識してしまうじゃないか」


「というか、なんでそもそも男しか来うへんかっただ?」


広瀬橋が尋ねる。


「女子は全員急用が入って休みだそうだ」


忠太郎がラインを見ながら答える。


「ほんまにたまたまか?」


広瀬橋が疑念の念を抱いている。

その点に関しては俺も疑問だ。そんなあるのか?


「もしかして、忠太郎兄さんがいるからボイコットとか?」


菜乃花が中々酷いことを言う。


「僕ってそんな嫌!?」


忠太郎可哀想に。だが、菜乃花の意見もあり得なくはない。女子が哀れな男子達を騙してドッキリとかもありそうだが。


「っていうか、みんななんで合コンなんて来たんだ?」



「「「「「彼女を作る為」」」」」


即答だった。みんな目がギラついてやがる。


「っていうか、颯くんは何の為に来たの?」


菜乃花が尋ねてくるが、


「だから、さっき言ったろ?幼馴染の代わりに来たんだって、でも、好きな人がいるから合コンで付き合いを作る気はなかったんだよ」


「好きな人がいるのに合コン、早く帰れ!

そいつがそんなに好きなら帰った方がいい。

合コンなんて来ちゃいけない」


一ノ瀬がそう言うがなあ、


「いや、2時間絶対帰れない上に男子しかいないから大丈夫だぞ?」


「「「「「そういや、そうだった」」」」」


全員今の辛すぎる境遇を思い出したのか地に突っ伏して泣いている。スン。


「って颯くんも泣いてない?」


忠太郎言われて初めて気がついた。俺から涙が溢れていることに。


「ははっ、何だよこれ?何で、涙が」


そうは言うが原因は分かってる。


風香だ。俺は風香が好きだった。けど、今日フラれたようなもんだった。もし、風香が俺のことが好きだったら俺を合コンに行かせることはしなかっただろう。そして、行かせたということは俺は仲のいい幼馴染と思っているってことだ。


「モテ男も辛かったんだな」


うんうんっと一ノ瀬がうなづいているが顔がニヤけてやがる。最悪だ。


「さて、女子もいないし僕達どうしようかと思ってたけど盛り上がっていこうぜぇ」


忠太郎が壊れた。女子がいない合コンそんない嫌だったのか?やけくそだなあれ。


「「「「イェーイ」」」」


みんなもそれに同調する。

こうして、異常にハイテンションな男しかいない合コンは幕を開けた。



2時間が経ち、


「2時間経ちましたので、解放させていただきます」


女将さんがドアを開けてそう言った。


俺達6人は会計に向かいながら喋っていた。


「おいどんはもう合コンに行って女子からライン聞き出せなくても落ち込まないって言えるザマス。何故なら、それ以上の恐怖が今日あったからダス」と剛男児


「女子にもてなくたって、女子が見れればそれでいいや」と一ノ瀬


「「当分合コンはいいや」」と山本兄弟


「合コンってこないなこともあるんやな、奥深いわぁ」と広瀬橋


各々が感想を言い合うなか、俺は。


「別に悪くはなかったな」


俺としては、学校で仲良くしたかった、奴らばっかりだっからな。


「「「「「確かにね」」」」」


俺達は別れを告げ店を出ていきましたとさ。


補足:一応全員ラインを交換しましたとさ。


その後グループチャートを作成、名前は


「合コン被害者同盟」



「今頃、上手くやってるかなぁ颯」


風香はベッドの上で呟いていた。


そもそも、何故女子だけがこないという事故が起こったのか、それは(唐突なナレーション)


「颯が友達作れるといいけど」


風香のせいである。(ナレーション)


「私が普通に男子と仲良くしろ、友達作れっていったって颯はトラウマで中々出来いし、

私の代わりに合コンに行かせて友達に頼んで行かないようにして、誘う男子は颯が前から話したがってた男子を集めたけど」


世の中に偶然などありはしないのだ。(ナレーション)


「颯 男子と関わらないせいで女子が近寄って来ちゃうからなぁ、今までは彼女が出来てないからいいけど、告白されるたび心配になるからやめて欲しい」


颯は気がついていない。


「今日ので男友達に囲まれるようになれば女子も話しづらくなるだろうし、そうすれば幼馴染の私が颯を独占できるのに」


風香の異常なまでの愛情に。



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読んでくださり、ありがとうございます。

もし、これが好評ならアフターストーリー

「奥手な俺と奥手な幼馴染」という慎重派の二人が出てくるラブコメを書こうと思うので良かったら評価の方よろしくです。

勿論、出てきた男子5人もがっつり関わってきます。

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