第20話 マキシマムゴージャス

Side エスカーナ


「これもいれて、これをまぜてじゃーん、マキシマムゴージャスの完成です。竜也さん、喉がかわいていませんか、とっても健康にいい飲み物なんですよ、一気に飲んでくださいね、たっぷりありますから、えへへ、おかわりどうぞ、って、もしもし、聞いてますか? ミリカちゃんも、もうすぐこちらにヤッテくる頃だし、(わたし気づいたんです。私一人だけで竜也さんを縛るのはダメだって、ここまでヤっても、まだ地球に戻ろうと諦めない竜也さんを説得するには、この世界の人間を使うのが1番、効果的ですよね。孕ませれば流石に諦めるかもしれないですよね。もちろん、私も孕ませてもらいますよ、えへへ、まぁ、たかだか100年程度の寿命ですし、ああ、許せない、ほんとに許せないですけど、我慢です)」


⭐︎⭐︎⭐︎


Side龍也


 そして、意識が戻った時、すでに夜になっていた。なんてことだ、腕時計を見ると、あれから丸一日が過ぎている。不貞腐れた俺にエスカーナが媚薬をたっぷりしこんだ謎の飲み物を大量にすすめてきやがったのだ。半年間のお預けもあって、かなりハッスルしてしまったようだ。記憶が途切れ途切れになっているな。効果が絶大すぎるだろう。マキシマムゴージャスとやらは、なんて恐ろしい飲み物なんだ。この駄天使が、うん? どういうことだ、エスカーナと一緒にあられもないアヘ顔で気絶している淫乱ピンクなこの少女は、はて、どこかで見たことあるような、たしか……、かすかな記憶をたどると。


☆☆☆


 深夜の出来事。


「……ぅ……ぁ……らめぇ、りゅうやさん、もう……ゆるひて」


 俺の隣で力尽きて倒れているエスカーナ。さすがにリミットを超えた俺のマキシマムモードになった性剣には一時すらあがなうことができなかったようだ。よし次だ次。


「もう、やぁらぁよぉ、おにぃ、こんなの、わたし、くるって、だめだよぉ」


 まだまだ止まらない。止めることができない。俺の性剣がまだ止まらない。マキシマムゴージャスめ、いや、これも全てエスカーナのせいだ。駄天使め、とことん本気で今日はやってやるぜ、泣いて叫ぼうか、無駄だ。壊れようが、慈悲はないとおもえ、俺はその日、聖獣になったのだった。


 ☆☆☆


 まさか、夜訪ねてきた、ミリカちゃんまで俺は勢い余って、ついやっちゃったのか!! 


 てか全然、記憶にないぞ。 ふむ、こうやって見ると、二人はまるで姉妹のようだな。アヘっている顔も同じでそっくりだ。清楚可憐な容姿を持った二人がここまで見事に朽ち果てるとは、これを俺の手で作り変えてしまったのか、あのミリカちゃんだとは気づかなかったほどだからな。我ながら恐ろしいな。ああ、だが、実に良かった。満腹満腹、姉妹丼で美味しくいただきました。ご馳走様でした、ではなく、いや、これはまずいぞ、エスカーナ以外とやっちまったなんて、って、起きないな。少しまってみるか。ミリカちゃん、生きてるのか、ピクピクしてるだけで、反応がないぞ。おい、エスカーナ、ダメだ、こいつ、早くなんとかしないと、


⭐︎⭐︎⭐︎


「うーん、おにいさん、できちゃうよぉ」


「な、なんだってー!」


 ね、寝言か、ふぅ、ところで、何が出来ちゃうのかな。ミリカちゃん、僕には分からないな。まじで、どうする、これは、だめな奴だ。考えろ、考えるんだ。


 俺はゲンドーなポーズをしながら、しばし考え込んだ。


(いっぱいダしちゃいましたね。計画通り、キリッ)


⭐︎⭐︎⭐︎


「おにぃさん、おにぃさん」


 ミリカちゃんの瞳に呪いでもかかったかのように、ピンクの❤マークがついていた。しかも俺にべったりすりよりながらも俺の性剣を優しく撫でようとしてくるのだ。エスカーナ2号、いや淫乱ピンクを誕生させてしまった。あー、なんてこった、こんな姿を宿屋のばばぁにでも見せたら俺はどうなるのか分からん。学園の友人にそそのかされて、イメチェンしたんじゃないかって誤魔化すか? このままだと宿まで追放されるかもしれん。それだけは、なんとしても阻止しなければ。


「これ、なんとか治らないのか?」


「アー、ホントーに困りましたね。聖気を大量に取りこみすぎたせいで、ミリカちゃんが聖気中毒になっちゃったのかもしれません。あーコマリマシタ。定期的な聖気を注入してあげないと狂っちゃって死んじゃいますよ? アー見捨てるなんて可哀想デスよね。ハジメテをこんな形で奪われてしまった可哀想なミリカちゃんを中毒者にした竜也さんは見捨てないデスよね? ヒトデナシではないデスよね? 」


 言葉が片言になっているぞ。デスデスデスよと、仮にも天使のくせに死を振り撒くよう言葉を連発しやがって、こいつとはこの世界に来てから長く一緒に、暮らしているから流石に分かるぞ。機嫌が良い時は語尾にえへへがついてくるのだか、今回に限って語尾が一切ついていない。マジで切れてやがるぞ。


「お、お前があんなものを俺に飲ませるからだろうがって、うわ、包丁投げるな、刺さるだろが」


 いきなり包丁を投げつけるとはあいかわらず恐ろしい奴だ。だか、なんか癪にさわるな。浮気しましたね? 竜也さんを殺して私も死にますと、いつものエスカーナなら言うはずが、まったく襲ってこないぞ、明らかに何かがある。それに目が笑ってないが大人しすぎる。


「あはは、今回はわたしにも落ち度がありますから許してあげますけど、ミリカちゃん以外のニンゲンに手を出したら………………絶対に許しませんよ? 」


 目のハイライトが、完全に消えてるんだが、大丈夫か?


 くそっ、まずはミリカちゃんを元に戻す手段を考えないと、帰る手段はその次だ。特攻薬はあるのか、それとも解呪か。いや、聖液しかないのか、いや、やりすぎたら、さらに悪化するかもしれん。ダメだ。考えろ、考えるんだ。


「あ、あの、ですね、おにぃさん、お茶をどうぞ」


「あぁ、ありがとう、ミリカちゃん、うまい、もう一杯って、おい、マキシマムゴージャスじゃないか」


「「えへへ」」


 こうして第二ラウンドが、開始されたのだった。今日も長い夜になりそうだ。俺の異世界旅行はいつ終わるのだろうか。



 

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