第10話 魔物のくせに生意気だ その2
俺とさまよう鎧の戦いは1時間近く行われた。
俺が聖剣エスカーナで、さまよう鎧を斬る。こいつが俺の攻撃にカウンターをあわせてきたら俺はそれを避ける。俺はそれを何度も繰り返した。この駄天使のせいでな……
「この鎧野郎が――、トドメだ、しねえええええい!!」
『竜也さんって、ほんと、勇者っぽくないですよね』
「だまれ!!」
もうこいつは、タネ切れだ。カウンターをしてこない。だから俺はチャンスと思い、さまよう鎧を滅多斬りにしてやった。しねしねしねしねしね、とリズムよく切りつけて、最後はトドメの一撃をいれた。
「うがあああああああ!」
さまよう鎧は断末魔の叫びをあげた。
そして――、
さまよう鎧は、鎧だけを残し跡形もなく消え去った。
「はぁ……はぁ……、無駄に疲れたぞ」
途中で数えるのをやめたが、こいつは300回以上も俺にカウンターを合わせてきやがった。SPをどれだけ持ってやがったんだ。
『竜也さん~、善行値が50UPしましたよ。でも差し引けば悪行値2950ですね』
「これだけ苦労して、たったの50だと……」
『本当なら500はUPしてましたよ。悪行を行ったペナルティかもしれませんね。でも本当に良かったです。こんなのが2匹も出ちゃうと、わたしがとっても困っちゃいますから、クリアしてしまいますからね、ぼそり』
「うん、何か言ったか?」
『なにも言ってませんよ? (これからも夜のお世話を毎日して竜也さんの悪行値を頑張って増やさないと……、えへへ〜♪)』
俺は、地面に残された鎧を見下ろした。こいつのスキル、カウンターさえなかったら、簡単に倒せたのに……
だがな、原因はエスカーナ、お前だ。必殺技さえ出していれば、こいつは一撃で終わっていたんだぞ。
俺は聖剣エスカーナを睨みつけた。
『竜也さんが私を見てる。
「だまれ!」
まぁ、それでも、こいつは俺の敵ではないな。
『内心、焦ってたくせに、竜也さんたら~、かっこつけなんだから』
「だまれ!」
俺は、戦利品の鎧を手に取った。一応、鑑定してみるか。
「エスカーナ、調べてくれないか」
『この鎧ですか? 調べてみますね』
エスカーナが鑑定スキル【アナライズ】を使用して鎧の分析をはじめだした。その結果が俺の脳内に浮かんだ。
☆☆☆
☆ダークナイトの鎧。
1000年に一度現れる絶望を振りまく悪魔、ダークナイトの鎧。世界を破滅に導く後継者を探している。装備することで闇耐性吸収、物理耐性LV7、速度強化LV7、必殺技、ダークエターナルフォースを覚えることが可能になる。装備するには悪行値2000以上が必要。
☆☆☆
「なるほど」
『うわぁ~、すごいですね。これって、あれでよぉ、レアアイテムですね』
「 あとあれだな。黒い兜にマントさえあれば……俺は……」
『って装備しちゃっうんですか~? だめですよぉ! 「ワレは黒の騎士団」とか、漫画に出てくるようなアレになれると本気で思ってるんですかぁ? 中二病全開で考えないでくださいよぉ。現実をみてください。売り飛ばして
「だ、だめだ、もうこれは俺のもんだ」
二人で言い争っていた時――
地面に六芒星が浮かび上がり、その中心から生首のお化け、ゴーストが召喚された。ゴーストは、黒い兜をかぶり、宙を舞いだした。なぜか、俺の方へと向かってきた。そして、ゴーストは俺の背後から、黒いブレスのようなものを吐き出した。
「な、なんだ、こいつは、また敵なのか!!」
『あううっ、今日は働きすぎですよぉ』
「働いてるのは俺だろうが」
☆☆☆
「ウリィイイイ!!」
ゴーストは断末魔の叫びをあげた。
そして――、
兜だけを残し跡形もなく消え去った。
「はぁ……はぁ……なんだっていうんだ、さすがに体力がもたないぞ」
俺は、残された黒い兜を見下ろした。
こいつは、呪い(小)を持っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます