5章 失踪事件

 再発したあと休職にすることになった。ただ1回目と異なるのは自分の中で最後まで振り切らなかったことだ。もう少しわかりやすく言うとリミッターが働いたというのだろうか。本当の意味でのギリギリまでいかないところで主治医と相談したのがよかった。そのため休職期間もそれほど長くなく、通院のみで復職することができた。


 当然のことながら出向先での勤務はなくなり、本社でおとなしく業務をする日々が続く。まぁよくも悪くも及第点レベルの仕事ぶりであっただろう。そんな中同じ会社の別の事務所へ行くように辞令が出た。正直行き詰まり感もあったし、気分を変えるのも悪くないと承諾した。


 半年ぐらい新しい事務所で勤務をこなし、仕事自体はとても順調であった。ただ、家庭内は最悪の状態にあった。仕事を休職したりセーブしていたため、給与は上がるどころか下がっており、手取りの少なさや家事の負担増を妻に指摘され、正直家にいても気が休まる状態になかった。そんななかふと思いたち、気分転換に旅行にでも出かけようと考えた。ただ、夫婦喧嘩中でもあり、このことを誰にも告げずに家を出た。これが思わぬ出来事に発展し、失踪したとみなされたとのである。

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