【短編】ダンジョンニートとスフィンクスの召喚獣

ぺんぎんさん

第1話 プロローグ

 僕の名前は大和健(ヤマトタケル)、高校を中退している。普段は、石川にある家で本を読んだり、ゲームをしたり、小説を書いている。僕は人との関わり合いが苦手なため、一人でいることが多いよく言うボッチだ。


 そんな僕がある日をキッカケに大きく変わった。僕はダンジョンのボスと言われるもののテイムに成功した。日本中でボスをテイム出来たのは僕しかいない。テレビや新聞の取材が多く集まり、僕は社会的に有名な人になった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 ダンジョンマートが金沢にオープンした。当時は、東京や大阪、京都まで行かないとダンジョンに潜ることは出来なかった。月5000円のお小遣いでは、石川から、東京や大阪に行くことは出来なかった。


 ダンジョンは、成功すれば、1日に5万でも10万でも稼ぐことができる夢のような場所だ。小説やゲームのようにモンスターを倒すことで、ソウルポイントと呼ばれるものが得られ、それを用いて、ソウルSHOPで、武器や防具、道具なんかを揃えることができる。


 武器や防具をランクアップしていくことで、狩の効率が上がりより多くのソウルポイントを稼ぐことが出来るのだ。


 僕は何も仕事もしたくないし、バイトもしたくなかった。僕の力と知恵だけで、社会を生き抜き生活したかったのだ。周りからは色々バカにされたそんなこと出来るわけがないだろうと。


 人間やってみなくちゃわからないことがある。それを証明するために、僕はダンジョンマートが金沢にオープンするときにいの一番に並びに行った。


 ダンジョンマートがオープンするのはCMとかで告知されていたので、多くの人が並んでいた。僕は最後尾にならんだ。狐の衣装に身を包んだ色っぽいお姉さんに、整理番号の77番をもらった。


 これは幸先がいいぞ。ラッキーセブンが二つも並んでいる。それからオープンまでひたすらにまった。10時になった。


「ダンジョンマート金沢店へようこそ」


 オープンした。整理番号の順番毎に中へ入っていく、僕の番が来るまでそれから1時間程もかかった。受付で新規登録を済ませ、生命保険に加入し、冒険者カードを手に入れた。


 生命保険ではなんと、1年間の復活特典が得られる、これがないと、ダンジョン内で死んだ際に本当に死んでしまうので、加入は絶対だった。契約料はお金ではなく、寿命1年間だそうだ。僕の寿命はまだ90年もあったので、問題はない。


 これで僕は冒険者だ。転送ポイントに向かい、ダンジョン1階の砂漠エリアに飛んだ。そこには猫耳をつけた女性が立っていた。


「ようこそダンジョン1階砂漠エリアへにゃ~

ミリィが案内するにゃ~

こっちの方にまっすぐいくと、蛇とサソリさんが一杯いるにゃ~

どっちも毒を持っているから気を付けるにゃ~

もし、毒になったら、毒消しを使って早く治すにゃ~」


 と基本的な内容を教えてくれた。僕はひとまずそっちに向かうことにした。


 チャラチャラした、男と女が、ニャンスタにアップしていたオアシスはどこか聞いていたが、僕には関係ないね。早いこと、モンスターを倒して、ドンドン装備をレベルアップし、冒険者として、最強を目指すんだ。


 僕は初期装備の木の棒と布の服をソウルデバイスを使って装備した。瞬時に、私服から、装備したものへと切り替わった。


「すげ~、これがソウルコレクトシステムか~

小説のVRMMOが出来たらこんな感じなのかも知れないな。こっちは生身の肉体を使う分リスクも高いし、レベルアップもないから、厳しそうだけど、その分、やりがいは感じるぜ。」


 僕は、ダッシュして、サソリと毒蛇の所へ行った。


 お~~~お~~やってるやってる。学生服を男の子がきゃ~きゃ~言いながら、モンスターと戦っているミニスカの女子を守りながら、やっていた。


 おっ、彼女連れじゃないですか。羨ましいね。でも、あんなトロトロやってたら、最強なんかにはなれないよ。僕はその戦いをスルーして、どんどん奥へ入って行った。


「ふ~ここなら、誰もいないし僕の狩放題だね。出て来いよモンスタ、僕が相手をしてあげるよ。」


大声を上げたため、毒蛇とサソリが砂の中から2匹ずつ姿を現した。


 僕は木の棒を構えて突進していった。毒蛇が噛みつこうとして飛びついてくるが、僕は棒を使って払いのけた。そして、地面を張ってくるサソリを見つけ思いっきり蹴り上げた。


「空中なら、身動きできないし。お得意の尻尾も使えないだろ。」


「蠍よ喰らえ。月刀(げっとう)。」


 月のように円を描きながらサソリに向かって、木の棒を振り下ろした。胴体に直撃した。体力がゼロになったため、モンスターは煙となって消え、魂石が落ちた。


「よし、一匹討伐完了だ。」


 そうこうしているうちに2匹目のサソリと毒蛇がキタので、バックステップで回避して、また、サソリを蹴り上げ、同じ用にして倒す。


「残るは蛇だけだな。」


 蛇は軟体なため、下手にてこずると木の棒に撒かれて、そこから伝って噛まれてしまう。そうならないために、僕は、木の棒を鞘に納めるような形で腰に構えた。また、毒蛇が次は2匹一遍にとびかかって来た。


「必殺、抜刀術 ゼロの型 疾風(はやて)』


 腰から抜いた木の棒で空中に入る蛇を左から一刀で、切り落とし、返す二刀目でもう一匹を切りふせた。

「また、つまらぬものを切ってしまった」


「カチン」

 きちんと効果恩を発しながら、腰に木の棒を納める。

 モンスターは消え、魂石が落ちていた。


「さっ、どれくらいのポイントがもらえるのかな」


まず蛇1個の魂石を拾った。


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:5』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「うわ、少ない。鉄の剣を買おうともったらら1000ポイントは必要なのに。これを200匹倒せ と。うっわ~~~面倒だわ。」


 続いて、サソリの魂石を拾った。


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:8』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「3ポイントしか上昇しないのか。ちまちまポイント集めはやってらんないよ。こうなったらちょっと早いけど奥の手を使おう」


スマホを使って、蛇とサソリが好む音を最大ボリュームで流した。そして、スマホに糸を付けて、砂の上に置いて、僕は距離を取った。周辺から続々と、モンスターがやってくる。もう10匹、20匹処の騒ぎではない。うん、こんなものか。一気にやるぞ。僕はスマホの糸を引いて素早くたぐり寄せた。


「おまえら、ご苦労さんな。悪く思うなよ。」


 リュックにしまってあった。エアガンを用いて、一斉射撃する。体力がなくなればいいだけだから、最低1のダメージを何発も当てれば終わるんだよ。


「ふぅ~~終わった。」

 あとには大量の魂石と大量のビービー弾が残っていた。


「さすがにこれを砂粒の中から拾うのは大変だから、魂石だけ拾うか」


ちょっと数が多いけど、全部拾った。


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:213』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「へ~今ので40~50匹ほど倒したのか。結構楽勝じゃないか。」


その後は、場所を移動しながら同じことを2~3回繰り返していた。


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:1024』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「お~~結構貯まったな。こういう狩の方法は、新規登録で込んでいるスタート初日しか出来ないからな。ざっくり稼がせてもらいましょうか。」


その後も延々と同じ方法を繰り返し、貯まったポイントは


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:10086』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 結構貯まったな、明日にはボス狩りも始まるだろうから、様子を見させてもらおう、どうやって倒すか状況を見定めないとね。


 翌日も朝から並んで、1時間待ちほどして中に入れた。今日も朝から、範囲狩りで、稼げるうちにポイントを稼ぎまくった。


 新規登録者の多い1日目と2日目は、えてして、ダンジョン内の探索者は少ない傾向にある。それにずぶの素人ばかりで装備も貧弱だし、モンスターを倒すのに時間もかかる。これが慣れてくると、装備の強化により、モンスターを倒すスピードが上がる。それは、冒険者同士でのモンスターの奪い合いを意味するのだ、


 なので僕は、今この時に思いっきりポイントを稼がなくてはいけなかった。基本的にに少ないお小遣いでやりくりするには金沢でしかダンジョン探索が出来ないが、それもここ1週間でしかない。


 2階が開放されていないダンジョンのため、すぐに限界が来てしまう。ある程度ここで装備を購入し、売却益で資金を作り、東京か大阪、果ては京都にあるダンジョンを攻略しに行く必要があった。


もう、朝からず~~~っと閉店の2時間前までは前日と同じ作業をずっと繰り返していた。

おかげでポイントは


◆ ◆ ◆ ソウルデバイス ◆ ◆ ◆

『ソウルポイント:30452』

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 となった。これでかなりレベルの高い武器が買えるし。初級の武器もいくつか買えるだろう。それを今ここでたむろっている冒険者にそこそこの現金で売却してしまえば、そこそこの資金は稼げるのだ。


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