スクールカースト最底辺の彼女たちは、実は光り輝く原石だったらしい

みゃあ

プロローグ(上位組)


 スクールカーストという制度は、どんな年代においても、どんな学校であっても存在してしまうものだと俺は思う。

 実際、ウチの学校にもそんなクソ制度がひっそり……いや、大胆に存在していて、明確に分けられた集団を見ては、やるせない気持ちにもなったりする。

 


 「美友みゆう、今日もえらいバッチリ決めてきたな」

 「そーいう雅也まさやだってかっこつけてるじゃん」

 「バーカ、かっこいいのはもともとだ」

 「誰もそんなこと言ってないんですけど」

 

 いま、俺の視界から見て左側にいる二人の会話を聞いてもらった。あそこにいるのがこのクラスでカースト上位に位置付けられてる、いわゆる陽キャ組だ。

 まず男の方、相良さがら雅也は、このクラス内で一番のイケメンだともてはやされていて、そのことを自分でも分かってるきらいのあるやつだ。あまり関わりたくないタイプである。

 次に女の方、かしわ美友は、男子連中がお近づきになりたい女子No,1に選ばれてる(らしい)美少女だ。

 肩まで伸びた明るく染められた髪に、勝気そうな目元、小さくまとまりのある顔立ちは、可愛いというよりかは美人といった感じ。

 天は二物を与えずと言われるが、彼女の場合は顔だけでなく身体つきも目を惹いた。

 制服の上からでも分かる胸元のふくらみ、キュッとくびれた腰回り、すらっとした足。どれを取っても一級品とうたわれる代物だと、俺の友人が話していた。


 そんな二人の周りには、いつも人が集まってくる。もちろんカースト上位に位置してるようなチャラチャラしたやつらだけだが。

 楽しそうに話をしてるその光景を、ほかのみんなは遠巻きにチラ見してる。おおかた憧れでもあるのかもしれない。



 かくいう俺――結城ゆうき公平こうへいも、そんなやつらを自席から眺めている人間の一人である。

 別に、あのグループに憧れがあるというわけではなく、単にヒマなだけだ。友人はまだ登校してきてないし、隣の席も空いている。

 もともと人付き合いが多いタイプでもないので、人間観察ぐらいしかやることがないのだ。


 「ん、美友なにスマホいじってんだ?」

 「もうっ、あたしのことはほっといていいから、話進めて」

 「雅也嫌われてやんの~」

 「うっせ」


 ぼんやりその光景を眺めていると、ふいに身体が震えた。ポケットに手を入れると、スマホに通知が来たらしい。イヤな予感。


 『じろじろ見んな』


 送信してきた相手は、柏美友。

 その名前を確認した俺は、声を上げた。


 「バレてたか」


 ガン見してるつもりはなかったんだが。

 適当に返信をして、スマホをしまう。


 ……一応補足をしておくと、美友は俺の幼馴染みである。

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