第22話『カール様のこんなはずじゃなかった迷宮攻略』


 ――カール・フォン・ライオット(カール様)視点


 クソっ。一体どうなっている!?

 事前に全ての準備を終え、迎えたクラス対抗の迷宮攻略戦。


 僕たちFクラスはハンデにより、他クラスよりも早く迷宮へと踏み込むことができた。

 これも僕の家が学校側に働きかけた結果だ。


 さらに、僕はこの迷宮の地図を持っている。

 後は最短距離を進むだけ。そうするだけで簡単に一位が取れる。


 そうした万全の準備の下、僕のパーティーはこの迷宮攻略において圧倒的優位に立っていた。


 ――そのはずだったのに。



「か、カール様。あの……この道も地図とは違うような……」


「あれ? ここってさっき通った道だったような……」



「何故だっ!?」



 この迷宮の地図は正しい物のはずだ。

 偽物を掴まされたなどあり得ない。


 それなのに――なぜ地図の通りの道が続いていないんだ!!



「カール様っ! 他のクラスの奴が攻めてきました。あれは……Aクラスの奴らです」


「なっ!? 馬鹿な。もう追いつかれたというのか!?」



 最短距離でゴールを目指す。

 そうしていれば迷宮攻略を最後に始めなければならないAクラスと鉢合わせすることなく全ては終わるはずだった。


 しかし、地図の通りに進もうとしては上手くいかず、こうして最上位クラスであるAクラスとも戦闘になろうとしている。


 ――もはや作戦は完全に瓦解していた。


「――退け」


「は?」


「――退けと言っているんだ!! 僕レベルが沢山いるならともかく、お前らみたいな足手まといを連れた状態でAクラスに勝てる訳が――」



 そこまで口にした時だった。



「――せん



「かはっ!?」



 何が起きたのか分からなかった。

 いきなり目の前が真っ暗になり、遅れて自分がやられたのだと理解する。


 意識を失う直前、俺の視界に映ったのは――美しい金の髪がたなびいているさまだった。

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