第三部 妖魔の森

1 盗賊団キツツキ ふたたび

「あいつら……こんったら、こんったらァ! ぜぇったいにゆきそこしずめてやる!」


 かくったデザインがイカつい、にんりのどうしゃ

 そのこうせきで、ミサキ・コゲラ・ヤマセはいきおいよくっていた。


「あんななさけないかたは、とうぞくれだよ!」

 つづけてそうったしゅんかん、「へっっくしょぉぉんッ!」と、またくしゃみがた。

 こりゃいたな、とミサキはおもった。


 あのくらいピンクいろのボブカットのおんな、たしかローザとったむすめほうにびっくりして、ぶんだけでなくティボルトもポーシャもマルカムも、ひとりのこらずぜんいんぜつさせられた。ましたときにはがたまえだ。

 このふゆのキタウミのしまはものすごくさむくなる。

 やまのあたりはとくにえこみがひどくなるので、どうしゃのなかのだんぼうきもわるい。

 じょしゅせきのポーシャも、ミサキのとなりのマルカムも、くしゃみがまらないようだ。

 ひといちばいじょうなティボルトだけが、ふだんとわらないようでハンドルをにぎっていた。


つぎったら! つぎったら! ボッコボコの、グッチャグチャにしてやる!」

 ミサキはこうせきでひたすらげんだ!


「そらまたせいのいいことですがね……それで、これからどうします、キャプテン?」

 ティボルトがきいてきた。「びょういんですか、それとも、シグマたちをいますか?」


「んなもん、シグマたちをうに……おやぁ? なんだい、ありゃ?」


 ミサキたちのくるまはちょうどテンルウやまのふもとまでりてきたところだ。

 がたの、まだよるやみひろがるえきにはひとひとりいなかった。

 しゅうへんしょうてんみんも、まるでのようだ。ひっそりとしずまりかえっている。

 そんなしきこうがわに、ほのじろすうひかりえた。

 えきをはさんだかいがわどうを、ライトをつけたたいりょうくるまはしっていく。


「……ようもりかう調ちょうだんですよ!」

 ミサキのとなりにすわっていたマルカムが、かるこしかしながらった。


「ふうん。でも、なんであんなにおおぜいくんだろう? しかも、こんなにはやくから」

 じょしゅせきのポーシャもきょうぶかそうに、シートベルトごとからだまえにかたむけている。


調ちょうだんってのはさ、ああいうもんさ」

 くるまえきまえいちていさせて、ティボルトがこたえた。

かいせいやくにんぐんじんけんきゅうしゃたち、あとでかいしゅうぎょうにたずさわるみんかんぎょうしゃもいるんだ。けいさつなんにんどうこうしてたとおもう。それで、あれぐらいおおぜいになるんだよ」

 ティボルトはとうぞくだんのなかではミサキよりゆいいつとしうえ十七じゅうななさいまえにマルス・タンクとソーサリー・ストーンのかいしゅうぎょうごとをしていたらしい。だから、くわしいのだ。

がたしゅっぱつするのはうまあつまってこないかんたいだからさ。けんぶつきゃくについてこられてもめんどうだからな」


「――ってことはだ!」

 ミサキはひだりおやゆびなかゆびをパチンッとらした。

「よし、めた! ひらめいたぞ! ティボルト、ていへんこうだ!」

 こんみぎをかかげると、調ちょうだんいちばんうしろのくるまをビシッとゆびさした。

なまなシグマなんぞ、もはや、どうでもいい。あんなおちゃまぼうけんより、ようもりかう調ちょうだんをこっそりうんだよ!」


「……うって、いまからですか?」と、ティボルトがミサキにふりかえった。


「いまわなくて、いつうの!?」

 ミサキのみぎは、とおざかっていく調ちょうだんさいこうくるまゆびさしたままだ。

「あのジュズまるとかいうかいにんぎょうぬすみそこねたけど、うわさじゃあ、ようもりにはたいりょうのマルス・タンクとソーサリー・ストーンがねむっているらしいじゃないか」


 このタイミングで調ちょうだんつけたのも、なにかのえんだろう。

 ミサキは「にひひ」とわらった。


「せっかくだから、わたしたちキツツキもにあずかるんだよ! もだまるとうぞくだんらしくね。さあさあ、いな。ようやく、おもしろくなってきたじゃないか!」

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