4 謎のゴーグル

 ゴーグルが……しゃべる?


「ジャン、ねつでもあるんじゃないのか?」


 べんきょうのしすぎで、あたまがおかしくなったのかな?

 ジャンはじゅうさいでオータルだいがくかよてんさいしょうねんだ。


 だいがくではソーサリー・ストーンのけんきゅうをしている。ジャンのしょうらいゆめはつめいさきようなジャンは、むかしからけいやラジオをなおしたりするのがとくだった。


しつれいだなぁ、ねつなんかないよ。いいか、てろよ、シグマ!」


 ジャンは、びっくりさせてやるぞとわんばかりに、にやりとわらった。

 ゴーグルにたくさんついているボタンのなかから、ひとつをえらんです。みぎがわのレンズのフレームについている、ひときわおおきなボタンを。

 そのボタンをしても、ゴーグルには……なんのへんこらなかった。


「へえ、こりゃまた、ずいぶんとくちなゴーグルだなぁ、ジャン」

「あれぇ?」ジャンはくびをかしげた。「おかしいなあ」


 ジャンがもういち、ボタンをす。おなじボタンを。ゴーグルはくちなままだ。


「こんなはずじゃ……! くそ! なんでだ!?」

 ジャンはひょうじょうきつらせて、ゴーグルのボタンをたりだいしはじめた。


「さっさとだいがくけよ、ジャン」

 シグマはあくびをして、テーブルからはなれた。

「おれはするからな」

 ふるめかしいもくせいのベッドにこしかけ、とんしたの、やわらかなもうにくるまった。


「なにってんだよ、シグマ! だいがくより、せいだいはっけんのほうがだいだろ!」

「しゃべらないゴーグルが、せいだいはっけんなのか?」

「しゃべるゴーグルなの! これ、テンルウやまつけたんだから」

「テンルウやま……」

 シグマは、むくりとじょうはんしんこした。「きんだんつけたのか?」


 ソーサリー・ストーンのないには「マルス」とばれるりょくがたくわえられている。

 そして、ソーサリー・ストーンやマルス・タンクがつかったしょのことを「きんだん」とぶ。

 マルス・タンクというのは、マルスをためておくつつのようなかたちようのことだ。


「テンルウやまのマルス・タンクやソーサリー・ストーンは、ぜんかいしゅうずみなんだろ?」

かくつうとかがまだあるかもしれない。それできの、うちのだいがくけんきゅうチームで調ちょうったんだ。そしたら――」

「そのゴーグルをつけた?」


 うなずいたジャンは、ゆびさきでメガネをくいっとちあげた。

 シグマはベッドからると、テーブルにかれているゴーグルにかおちかづけてみた。

 ゴーグルがほんとうにしゃべりだしたら、まちがいなくせいだいはっけん

 だけど、そんなにすごいものかいしゅうメンバーたちがのがすかな?


 マルス・タンクやソーサリー・ストーンのかいしゅうぎょうは、まずかいせいやくにんぐんじんたちがした調しらべをする。それでもんだいなしとはんだんされると、みんかんぎょうしゃかいしゅう作業さぎょうらいる。

 かいせいきょをもらったがくしゃや、プロのぼうけんがそのメンバーにくわわることもある。


かいしゅうぎょうには、たくさんのひとたちがさんするよな? ジャンは、そのぜんいんが〝しゃべるゴーグル〟をのがしたっていうのか?」

「とにかくさ、ちてたんだって」

 ジャンははんろんしてきた。「マルス・タンクのちよぞうのひとつに」

かいしゅうぎょうかかわったひとか、だいがく調ちょうたいいんとしものじゃねえの、このゴーグル」

「それはない」と、ジャンはすぐさまていした。

「なんでそういきれるんだ?」

「すくなくともだいがく調ちょうたいのメンバーはみんな、このゴーグルのことをっている。シグマがったように、かいしゅうぎょうさんしたひととしたんじゃないのって、めつけてた。そのときは、から、このゴーグル」

「しゃべらなかった? じゃあ、なんでひろったんだ?」

「ぼくがびんぼうだからだよ」

 ジャンはがっくりとかたとした。「ってるだろ」

「ひろったゴーグルをろうとしたわけか?」


 こうばんとどけろよな、とはおもったものの、シグマもびんぼうだからジャンのちはわかる。


ふるどうのあるおもてどおりにったら、きゅうにしゃべったんだ、ゴーグルこいつ

ほんとうかぁ……?」

「ウソじゃないって。『おはようございます』ってったんだ! それでびっくりして、ゴーグルをとしちゃってさ。そしたら、こんきゅうにしゃべらなくなって……あわててゴーグルのボタンをした。そしたら、レンズがひかって、またしゃべりだして……」


 がくしゃのタマゴのくせに、はなしないようかんぜんにファンタジーだ。


「なあ、シグマ、ぼくはおもうんだ。このゴーグルはぜったいに、マルスのやくさいのころにつくられたものだって。ぼくたちのらない、むかしがくぶんめいさんなんだって!」

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