第17話 ガリウスの事情
ガリウスの前には拘束されたココが居た。
「勇者の心臓はどこにある。」
持ち物を調べたがどこにも見つからなかった。ココがどこかへ隠したに違いないとガリウスは確信していた。あれはシャイナー教団の弱点となる。もし敵対勢力の仕業であったならばなんらかの動きがあるだろうし、関係ない者の仕業だったなら金にしようとするだろうと考えていた。
ガリウスは疑問だった。ココはどういう立ち位置なんだろうか。
ココに鑑定の魔術をかけても無効化されてしまう。自白させようと精神操作の魔術をかけても無効化される。彼女はかなりの魔術耐性を持つようだ。それでいて彼女からは魔力反応が感じられない。
問いかけてみても無言を貫きこちらを睨み付けるだけ。
「身体に聞くしかないようだな。」
ガリウスは部下に指示を出した。
教会に似つかわしくない暴力的な雰囲気を漂わした男がココの胸ぐらを掴んで頬を叩いた。しかしその後も首を傾げながら何度も叩いた。
ココは知らん顔しているし、男は困惑していた。
「いったいどうしたと言うんだ。」
「叩けないんです。あ、いや、叩けるんですが叩いた感覚が無いんです。」
「じゃあ、指の1本2本折ってやれ。掴む事はできるんだろ。」
「はい。あ…。触る事が出来なくなりました。」
「何をやっておるか。」
ガリウスはイライラしてココを蹴飛ばした。
しかし確かにココを蹴った筈なのに布を蹴った様な感覚だ。ココが動いた気配は無い。
「お前は何者だ。」
ガリウスは『頭痛の呪文』を使った。
魔術の効かない相手だけど呪術ならどうだと使ってみたが、効果はなかった。
後は攻撃魔法ぐらいしか試すものはないが、教会の中でそんな事をしたら教会を破壊してしまう。
「あなたとシマムラはどんな関係なの?」
「やっと喋ったと思ったら何を言っている。お前には関係ない事だ。だがこちらが話したらお前がこちらの質問に答えてくれると言うのなら教えてやろう。」
「ええいいわ。先ずあなたのことから話して。」
「ああ。先ず、勇者の死体を見たなら勇者がヒトでは無い事には気づいているな。」
「そんな事は、最初から知っているの。」
「そうなのか。本当にお前は何者なんだ。」
「話を続けて。」
「わたしは簡単に言うと、勇者のメンテナンス用員だ。勇者が敵にやられた時に回収してきて修理する。そのバックアップメンバーのチーフだ。」
「解ったわ。だからメインパーツのジェネレーターが欲しいのね。」
「お前は本当に何者だ。何故それを知っている。」
「それは、俺から答えよう。」
「何者だ。」
ガリウスも周りの者もあちこち見回したがすがたを見つけることが出来なかった。
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