第4話



珍しく雪が降った日

キミは窓辺に張り付いて

落ちてくる白を見つめていた

飽きることなくずっと


シューシューと音を立てるストーブ

部屋の熱気に曇る窓ガラス

薄いレースのカーテンが

所在なげに揺れる

その狭間から見える外の世界に

焦がれるような眼差しで


ふわりふわり落ちてくる雪が

僕にはちぎれた心に見えた

白くて甘くて取り返しがつかなくて

手のひらで受け止めながら泣いた


儚く水へと還ったそれは

もう二度と空を舞うこともない

キミの胸のなかにだけ

しんしんと降り積もる

誰にも見えないその雪が

しんしんと降り積もる





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る