第4話 「世話係セツラ」

献酌官長は焦っていた・・

自分が見た夢を 解き明かす者を見つけなければならない・

しかしここは 侍従長の牢であり

罪を犯し 捕えられた者と世話役の者しかいない・・

侍従長に呪法師を呼ぶように頼んだが、犯罪者である私を軽視し

まるで聞き入れてもらえない・・


「このまま3日後の・・・

処刑を待つしかないのか?」


そういえば・・噂を聞いた事がある・

呪法師は 夢の内容を聞き

将来起きるヒントを僅かな断片を伝える事が務めてである・ただそれだけなのだと

起こる未来に対して、僅かな予防線は張れるが、

未来を変える力はない、という・・・


しかし『夢見』という領域がある

危機的な状況をより正確に察知し

未来をより良き方向に導く力がある!

それは『神の領域』である!!


呪法師より遥かに優れた先見力を持ち・・

未来を変える力を持つ一族がいる・・それが『夢見の一族』


夢の中に含まれる真理を正確に把握し

より建設的な方向に 導く力を有するのだ!という


≪300年前≫

かつてデルタ王国が危機的な状況にあった時

夢見の一族の族長が、国の崩壊の危機を救ったのだ!と

パロ王の年代記に詳しく書かれており・・

歴代の王達は 幼少期から学ぶ帝王学において

王国の危機の際、必ず『夢見の一族』を探すように!と

教えられてきたという・この話は伝説的な話であり


実際、夢見の一族など存在しない、と思われている

デルタ王国周辺の部落には

多数の民族が住んでいるようだが、それ程力のある一族がいるのなら

王の耳に入らない訳がない、、


しかし先程から・・・

どうにも・・・・・夢見の一族の事が気になって仕方がない・・


「この胸騒ぎは何なのだ?」

献酌官長は、このまま処刑されるのなら

昨晩見た夢を 何とか解き明かし・・自らに下る王からの重罪を

軽減できる道を 探し当てたい!と切に願う・・・


<もし本当に夢見の一族がいたら!>



「献酌官長様!

どうして そのような暗い表情をされているのですか?」


「ん??誰だお前は?」


「私は、あなた様の世話係セツラです!」


「ああ!そうだったな!」

献酌官長の前に 薄汚れた服を着た少年が

何か?を察しているのか?

心配そうな表情をして 立っていた


「坊主よ!

悪いが、私は食欲がないのだ!

食事を片付けてくれるか?」


「どうして食欲がないのですか?」


「お前も知っているだろう?

私は パロ王に対して罪を犯した!

それ故にもうじき処刑されるのだ!

死ぬことが分かっていて・・

食事が喉を通るわけがなかろう!」


「献酌官長様!

あなた様は本当に罪を犯されたのですか?」


「どういう意味だ?

お前に何が分かるというのだ?」


「献酌官長様は

罪を犯してなどおられません!」



「・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

その通りだ!

お前にだけに話すが・・私は・・私は騙されたのだ!

王に捧げるワインに 毒が混入されている事を知らずに献上してしまったのだ・・

それだのに・・王は私を捕え!

毒殺の首謀者として・・その責任を負わせようとしている・・

本当の容疑者は奴なのだ!!!

しかしそれを証明する事など出来ない!

もはや・・・私が助かる道は・・・ないのだ!!!」

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