第18話【おすそわけ2】

「お邪魔します。」

「西野くんきた〜!いらっしゃい?ん〜おかえり!」

「あら、2人一緒に帰ってこれたのねぇ。2人ともお帰り。」


違和感がある。


「突然お邪魔してすいません、これ食後のデザートにと思って持ってきました。」


「気を使わなくていいのにー、でもありがたくもらうわね。それに、昨日聞いてたから、突然じゃないわよー、もちろん突然来たって良いんだから。これからはいつでもきてね!毎日でもいいのよ?」

「へ?昨日?」

齋藤さんを見ると顔を赤らめて俯いてる。

「あ、ありがとうございます。毎日は申し訳ないので、でもまた、来させてもらえたら嬉しいです。」

余計な突っ込みは齋藤さんに申し訳なく思い、お礼だけ伝えた。


「お、お母さん!私たち仕事帰りでお腹すいてるから!早くご飯にしよっ!」


てれちゃって、と言いながらご飯の用意をしてくれる。

齋藤さんのお母さんを見ていると、こういうのが普通の母親なんだなと思う。

自分にはなかった、普通の家庭の温かさ。


ご飯を頂き、デザートを食べる。

温かい料理と、話し声。

全てが新鮮で、少しくすぐったい。


夜も九時を回った所で、帰宅することにした。

帰り際に、作り過ぎたからとおかずやおにぎりを頂いた。


少し歩きたいという事で、斎藤さんと一緒に家を出る。


「今日はありがとね。」

「何言ってるんですか、こちらこそです。楽しかったし、おすそ分けって、お土産まで持たせてもらって。」

「また、来てよね。」

「もちろん。」


10分ほど歩き。

再び齋藤さんの家に向かう。


また明日と、待ち合わせをして、家路につく。


アパートに入り、電気を点けると、慣れた筈の静けさに、少しだけ

寂しさを感じる。


齋藤さんの事をもっと知りたいとか、家族の温もりとか。

自分には無縁だと思っていた感情が大きくなり、少し戸惑っている。

でも、心地よい。


「明日も頑張るか。」

一日の終わりが、心地よいと、素晴らしい一日だったと思えた。

布団に入り、自然と目が閉じて。

深い眠りに入っていった。


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