批評を批評する

 X(旧Twitter)で、以下のようなポストを見かけて私は疑問を抱きました。



ラノベ及びweb小説は批評を避ける事で成り立ってきた分野(以下略



 カクヨムの自主企画やXのRP企画で「作品を批評します」と募集するものが少なからず催されており、これに応募される方々も決して少なくはありません。


 これをポストした方に

「私は批評大歓迎ですよ」

とリプしたところ、ご理解頂けたようなので

「批評を避けたという点を訂正してください」

とお願いしましたが

「これは事実ですからね」

との返答がありました。


 ポストされた方は事実である根拠を明示していないので、まずは私が事実を確認しようとXでアンケートを行いました。期間は2023年10月2日18時26分から24時間です。

 投票を操作してしまわないよう、質問文は以下のとおりシンプルにしました。



ラノベ書き・WEB物書きさんに簡単な質問です。


作品を批評されたいですか?

それとも、されたくないですか?



 アンケートにご協力頂いた皆様、ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。


 で、結果です。


 67% 批評されたい

 33% 批評されたくない

 211票


 で、リプと引用リポストの抜粋要約です。


・公平な批評は欲しい。

・自作がより良くなるなら、真っ当な批判も受け止める。

・書評家や映画評論家の批評は避けたい。

・許可していないのに作品とは無関係な批評をされてトラウマ。

・官能のリアルさではなく表現を評価してくださるなら大歓迎。

・ディスられるのは嫌だが、批評は今後の参考やモチベーションに出来るので嬉しい。

・辛口でもいいが暴言はいらない。

・されたい、本当にされたい。

・優しく言ってくれるなら、されたい。

・されたい。とりあえず名前が広がる。

・褒めてほしい。


 標本調査でありますが、批評は決して避けられていないと断言出来ます。痛いのは嫌だ、というのも人情です。叩かれるために創作する方は、ゼロとは言いませんが稀です。

 リプや引用リポストで浮き彫りになったのは、予想どおりでありましたが、批評をかたる非難誹謗中傷暴言の多いこと……。


 私も、的外れな批評を賜って激昂したことが何度かあります。具体的には……やめておきましょう。人の怒りを読んでも楽しくはありません。


 コメ返しをして思ったのは、批評って物語を紡ぐより難しいんですよね、ということ。

 読みます企画や読書・朗読配信者にも言えることですが、まず来たものを全部読むって、それだけで凄くないですか!? ありとあらゆるジャンルを何でも読めるんですよ!?


 私には推理脳がないので、ミステリー小説はトリックなど考えずに「面白いストーリーですねぇ」と流してしまいます。

 文豪の名作でも、合わなければ目が滑ります。読んでトラウマになった大作家、内容に激怒した大ヒット作も少なくありません。

 今まで触れなかった異世界が、未だよくわかっていません。

 なのに書いているんだなぁ。異世界ファンタジーでなければ描けないものを書くために。


 すみません、話を戻します。

 来たものをすべて読んで、批評する。これもまた貴重な存在です。何でも読めて、作品の良し悪しを評価をして、作品をより良くするための的確なアドバイスを行うんです。

 並大抵のことではありません、批評は才能です、批評って難しいんです。


 批評じゃなくて感想ですよね?

 それってあなたの感想ですよね?

 それは感想ではなく感情ですよね?

 というのも散見されます。


 感想がダメとは言いません、むしろ大歓迎です。

 ♡や☆、ブクマは物書き冥利に尽きますし、私は言葉にならない感想が至高だと思っています。

 小説『夫婦善哉』や『蝉しぐれ』、映画『自転車泥棒』や『この世界の片隅に』の感想を上手く言葉に出来ません。他人の感想を目にしても「そうじゃない、それだけじゃないんだ!」と、ひとりで勝手に苦悩しています。


 それでも何が面白かったのか、何がいけなかったのか、それらが明確な言葉による感想が一番嬉しいです。

 

 言葉をください!


 みんな、読まれて評価されたくて公開しているんじゃないですか。全員ではないですが、批評されて作品をより良くしたいんです。傷だらけになってでも前進したい、そう願っているWEB作家は少なくないと、数字とコメントが物語っています。


 批評は避けていません、批評を騙るものを避けているんです。


 さて、この結果をポスト主にお知らせしました。その返信が、こちら。



かつてはそういう論調だったわけで、今回のアンケートと無縁の話


私はこのアンケートをもとに今後は批評をさせていただきますけどね。



 その「かつての」のデータを提示して頂くようお願いしましたところ


 個人が経験で話すことは許されないのか、かつてはラノベは批評するものではないと言われていた、経験にデータを出せとは失礼だ。


と、叱られてしまいました……。


 私も仕事を通して経験の重要性は重々承知しておりますが、何かソースがあれば信憑性も高まるのですが……。


 ずっと一般文芸を読んできたので、この世界には疎いのです。かつてのライトノベルに対する評価のあり方についてご教示頂けると幸いです。

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