【石のやっさん 旧作】人間の女神に見捨てられた僕は虫の女神によって救われる! 旧題:虫けら勇者

石のやっさん

第1話 【第一章 村人編】無能

僕の名前はセイル、辺境の村アイシアに生まれた。


小さい頃に母親が亡くなり、その後父親が亡くなり1人で暮らしている。


この村は、助け合いの精神が強く、子供一人でも生活に困らない位豊かな村だった。


僕には、幼馴染がいる。


彼女の名前はユリア、地味な何処にでも居る女の子..だがユリアと居ると凄く幸せな気持ちになる。


他にもっと綺麗な女の子は居るけど僕には一番大事な女の子だ。


小さい頃から一緒にいて、ユリアはまだ子供なのに僕と結婚したい、そう言っている。



ユリアと仲良くしながら、田んぼを手伝ったりしながら生活をしている。


僕も何時かはユリアと結婚する..そう思っている。



ユリアの両親も優しいし、一生をこの村で過ごすのも悪く無い心からそう思った。



この村では、15歳になったら、成人の儀式を行い、職業ジョブを貰う。


このジョブが重要でその後の人生を左右する。


僕とユリアは15歳、明日この成人の儀式をする。




そして成人の儀式の朝になった。


「どうしたのセイル、眠れなかったの?」


「うん、眠れなくて..」


「それで昨日の夜抜け出したんだね...お互い良いジョブが欲しいね」


「セイルは何のジョブが欲しいのかな?」


「そうだな、農夫でも良いし、猟師でも何でも良いよ..ユリアと一緒に暮らせるならね」


「そうかー、セイルらしいね、私もセイルと離れたくないからお針子とか機織り娘とかが良いな」


「お互い希望のジョブだと良いね」



「やったよセイル お針子のジョブだこれで一緒に居られるね」


「うん、あとは僕がどんなスキルかだな」



いよいよ僕の番だ。




ユリアの時と同じように近隣からきた5人と一緒に並んだ。


神官様から紙を貰い杖に合わせて祈りを捧げる。


すると、紙に自分のジョブが出てくる。


普通、それだけだが、僕の時は天使が降りて来た。



周りの人は嬉しさで興奮している。


天使が降りてきて...真っすぐに僕の方に向かってきた。


天使は僕の前に来ると、顔を伏せ..手を握った。



天使が現れると3大ジョブの可能性がある。


「聖者」「賢者」「剣聖」その可能性がある。


勇者の場合は女神が直に来る。



通常なら大当たりなのだ..だが、この状態から大外れが起きる事がある。


それは俗に「天使のお詫び」と言われている。


本来この世界に生まれた者は必ずジョブが貰える。


だが、ごく偶に貰えない者がいる..それが無能と言われる者だ。


理由は未だに解っていない..昔は女神に祝福されていないとされて「無能」は直ぐに殺された。


だが、天使が直に謝りに来るから、「違う」という意見が出て今では生かされるようになった。



こんな事はまず起きない..100年に一度あるかないかそういう確率だ。


実際に僕も話でしか聞いた事が無い。


そして僕にそれが起きた。


天使が顔を伏せ、「強く生きて下さい」そういう意味で手を握った。



そして天使は天界に帰っていった。


手には白紙のままの紙があった。


僕の無能が、ここに決まった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る