Root 26 光る雨。夏休みの締め括り。


 ――雨音と共に奏でる二十四時間テレビ。


 窓に見える雫はさりげなく、この夏の終わりを告げていた。


 その締め括りは、夏休みに残された宿題……

 僕らの手によって残された、最後の課題……


 机の上は、テキストの山脈。それから麦茶。舞台はこの僕、星野ほしの葉月はづきのお部屋。集い合う都築つづき怜央れお君と、ある意味では先生のようにスパルタの匂いを発散させる中村なかむら美路みちさん。


 ……って、先生だった。


 怪しい以外の何ものでもない風貌。迷彩色のツナギと深く被った帽子。それもまた……あっ、そうそうミリタリーという単語を思い出した。まさにそれだった。


 でも、でも何で?


「何で今日に限って違うの?」と、心の声がそのまま表沙汰に。つまり出ちゃったの。


「いきなり何?」「その恰好。何でワンピース? それに帽子もなしで」「お前なあ、今は宿題だけに集中だろ? ったく、何考えてんだか。少しは怜央を見習ったらどうだ」


 その言葉通り黙々と、怜央君は集中する。


 あまり騒ぐと「うるさいぞ」と怒られそうなオーラ―が見える。だからだから、あなたしにしか喋られないじゃなの。メリットを捜すのなら質問。少しでも和やかな雰囲気。


「はいはい、美路先生。わからないとこ教えて欲しいのお」


「何だ何だ? 急に素直に? 甘えた声出してもな、宿題は自分でするものだぞ。テキストは後ろの答え見て書いちゃ駄目だけど……まあ、うちのテキストにはないけどな。特別性なので。何せそれつくったの私だから。どうだ? これも七不思議だと思わないか?」


 美路さんはニカッとして、僕の顔を覗き込む。


「臨むところ」「そうそう、そう来なくっちゃ」


 もしかしたら、この夏の七不思議は、この人が原因だったのでは? 初めから終わりまで……でもでも、こんな形でまさかのエンディングを迎えるとはね? 一先ずは……


 ハヅキルートの√の意味。さっき僕が美路さんにした質問は、そのことについてだ。


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